#虫 #蚕 卵をかえしてみる

IMG_5654s ひさしぶりのお蚕ネタです。夏に産ませた卵の話をします。

 今年飼ってたのは春嶺鐘月という一代交雑品種です。二代目は親と同じ性質にはなりません。が、楽しみで飼う分には問題ないし、わたしはお蚕の交尾が好きなので今年も産ませてみました。

IMG_5654s ▲カイコの産卵風景と卵の色の変化。7月の写真です。

 お蚕の卵は、生まれたばかりと時はミルク色というか、象牙色というか、少し黄色がかった白です。

 もしその卵が10日後くらいに孵化(ふか)する卵ならば、すぐに色が変わることはありません。一週間くらい白いままで、ある日突然フッと青黒くなって、それから間もなく孵化します。こういう卵を非休眠卵とか言って、産卵から孵化まで8〜10日くらいです。

 しかし、もしその卵が冬を越さないと孵化しない卵ならば(そういうのを休眠卵とか越年卵とかいうのですが)、産卵から半日もすると赤茶色になって、翌日には黒っぽく変化します。

蚕の卵

奥の黒っぽいのは休眠卵
手前の青っぽいのは非休眠卵の8日目(孵化寸前)

 春嶺鐘月に産ませた卵は、どれもみんな休眠卵でした。冬を経験して、春にならないと孵化しません。

 こういうのを、人工的に孵化を早める(好きな時に孵化させる)こともできるんですが、その方法はけっこう複雑で、産卵後何時間で何度で冷蔵し、何パーセントの塩酸溶液を何度に保って何分浸し、水につけて酸を抜いてから、何度で保温してどうのこうの…と、色々複雑でハードルが高いんです。

 まあ、それはプロが確実に孵化させるための方法ですから、成功率が低くていいので、もうちょっとお手軽にやれないかなあって、思いますよねえ。

【冷蔵してから室温で放置→孵化せず】

 それで、去年は(小石丸と琉球多産蚕を飼ってました)産卵後に冷蔵庫に保存して冬の寒さを体験させてから、1週間後、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後…と段階的に出してみました。夏で暑かったので保温はせず、室温で放置しただけです。しかし、どれも孵化しませんでした。

【3ヶ月間冷蔵してから25度くらいで保温→孵化した】

 卵は沢山あります。今年も何かやってみることにしました。ただ夏が厳しすぎて何もする気にならず、手をつけたのは10月に入ってからです(つまり産卵後3ヶ月以上たってしまってる)。

 やはり酸で刺激する必要があるのかなあと思うんですけど、プロがやるみたいに塩酸溶液を使うのは、趣味でちょっとやるレベルを越えるんですよねえ。そりゃ薬局で名前書いてくれば塩酸は手に入りますが。

 それで、馬鹿みたいな話ですけど、とりあえず酢を使ってみました。食用の醸造酢です。

卵A:冷蔵3ヶ月後に人肌くらいに温めた酢に数10分浸し、水につけて酸を抜いた後に、保温する。

卵B:冷蔵3ヶ月後に、何もせず保温する。

 AとBを、もう秋で気温が下がっていたので、今回は保温してみることにしました。

IMG_8341s  これは水槽の下にいれるヒーターで、ベタとかウーパールーパーとかを飼うのに使うみたいです。わたしはサカサクラゲを飼うのに使ってました。このヒーターを卵といっしょに発泡スチロールの箱に入れておいたらどうでしょう。

 事前に温度計をつっこんで実験してみたところ、箱の中は22〜25度くらいで、それ以上には上がらないみたいでした。これなら箱が溶けたりもしないでしょうし、卵には適温かなあと。

IMG_8340s  こんな状態で、毎日あけて様子を見ました。

 すると、10日後に…

IMG_8342s  孵化しました。おお、やった!

 でもちょっと待って。酢に浸してないのも孵化しちゃってる。酢は関係なかった(爆死)

 ずぼらな実験なので、ツッコミどころがありすぎるんですが、とりあえず次の3点は気になります。

1. 去年の失敗は、加温しなかったせいでは?
2. 冷蔵は3ヶ月も必要なのか? 1ヶ月や1週間ではだめなのか?
3. 品種により孵化しやすさは違うのだろうか?

 3を確かめるのは難しいですが、1と2ならば来年また実験できそうです。

 我ながら、小学校の夏休みかって感じの実験ですが、まあこんなもんでしょう。

 今回孵化させたお蚕は、もう餌の桑が手に入らない季節なので、残念ですがカエルにやったりして処分しました。

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珍獣ららむ〜 の紹介

特技はおりがみとお蚕の飼育と世の中の役にたたないこと全般です。養蚕が普通の仕事だったらニートでヒキコモリの体質から脱出できそうな悪寒がします。DQ10はほぼ引退しました…だってストーリーが完全にソロゲーなんだもの。/ちなみにわたしが珍獣を名乗っているのは1999年からで、イモトよりも古いです。ワンピースは知らん。イモトですねって聞かれるとあっちがマネだと答えたくなる。 twitter などでは chinjuh です。

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