#本 『あるとしか言えない – 赤城山徳川埋蔵金発掘と激闘の記録』

IMG_8168s 突然思い出して図書館で借りてきた本。

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 この本はTBSの「ギミア・ぶれいく」というバラエティ番組の企画で、コピーライターの糸井さんが赤城山の徳川埋蔵金を掘った時のドキュメンタリーです。20年ちょい前の話ですねー。本も1993年に出版されたものです。突然昔のことを思い出して、図書館を探したらあったので借りてみました。

 赤城山に徳川の埋蔵金があるっていう話はけっこう有名なんです。水野さんという人が明治時代から三代かけてずーっと埋蔵金を探しています。なんでも、初代の義父にあたる人が秘命を受けて大金を赤城山に隠したと言い残して亡くなったそうで、その件に関する言い伝えや手記などが沢山残っているらしいです。

 江戸城が開け渡された時、御金蔵をあけてみたら空っぽだったんだそうです。幕末の徳川家は火の車だったろうから大した蓄えがなかった可能性は高いのですが、さすがに300年もつづいた一国の政府に一銭の蓄えもないのはおかしいとも言えます。「幕府再興のための資金を持ち出していずこかへ埋めた者がいる」という話が出てくるのは当然のことかもしれません。

 水野家の初代は、義父の遺言をもとに埋蔵金を探す決意をして、東京の家を処分して赤城山に移り住みます。それから代々、ずっと埋蔵金を探しているのです。

 わたしの子供の頃は、そういう不思議な話を紹介する子供用の読み物がけっこう出版されていて、埋蔵場所を示すとされた黄金の家康像の写真(ただし白黒)などをワクワクしながら眺めたものです。それをテレビ局が大金を出して、大々的に発掘しちゃおうというんだから面白くないわけがないです。

 結論を言うと番組の中では埋蔵金はみつからなかったのですが、ただ、何もないとしたらおかしなことが次から次へと出てきます。このあたりに埋めたとされる場所を掘ってみるとあきらかに柔らかい場所があり、周囲の土と違う部分を取り除いていくと立派な縦穴や横穴になり、その穴の中に石垣があったり、櫓を組んだ跡がみつかったり… ヤラセにしては規模が大きすぎる、確かに何かあった場所なんです。

 時には超能力者を呼んできて透視してもらったりもしてました(そもそも超能力を検証するために埋蔵金を透視させようっていうのが最初の企画だったらしいです)。霊能者の慈雲法師が稲荷社を移動したりもしてましたね。埋めた場所の手がかりとされる稲荷社が、もとは別の場所にあったというので、法師が祠をだきかかえて「正しい場所はここか、まださきか」なんてことを言いながら山の中を歩き回ったんです。結局それほど遠くない場所に移動しただけみたいだけど(笑)

 シュリーマンかなにかのようにロマンを追い求める糸井さんやスタッフたち。金が出るかどうかより、この先に何かあるかもしれないという期待が画面から溢れ出すようで、とにかく毎回、楽しくて楽しくて仕方がなかったなあ。

 番組でも言ってたかもしれないけれど、この本には衝撃の事実が書かれています。黄金の家康像が実は銅製だったこと。水野家の初代が掘り出したのではなく、近隣の住人が自分の土地から出てきたと言って初代に渡したものだということ。家康像を捏造することで自分の土地を水野家に買い取らせようとしてたらしいんです。

 この番組の発掘作業は想像以上に本気だったので、水野家初代が残した書類を専門家に依頼して解読してるんです。そうしたら像が銅青だったことや、仲の悪い隣人が持ってきたものだってことまで書いてあったらしいんですよね。黄金の家康像の存在が「赤城山には必ずある」の根拠だったのに、まさかそれが偽物だったなんて。というか、3代かけて何十年も探してるのにそのくらいの古文書も解読してなかったという驚き。いや、もしかしたら二代目くらいは知ってたかもしれないけど、資金集めのために知っててわざと誤解を広めてた可能性もあるかもしれないです(笑)

 だとしても、実際掘ったら穴があったわけで、じゃあ、あの穴はなんのためのものなんでしょう。実は番組見てた時もかなり気になっていました。幕末にあれだけの穴を掘るとしたら、人足を何人ぐらい雇ったのか、何ヶ月かけて掘ったのか。いくら山奥だからといって長期にわたれば人のウワサにもなりそうだし、作業にあたった人足をどうやって口止めしたのか。秘密を守るために全員斬り殺すなんてのも伝説としては面白いけど、考えにくいじゃないですか。穴はおそらく本物なんです。ただそれは埋蔵金を埋めたのではなく、鉱山か何かの跡なんじゃないかと…

 しかし、その可能性を考えても番組は面白かったので、もう一度見たいからDVDかなんか出してほしいな。

 本はもちろん絶版で、Amazonでも楽天でもプレミアがついてる…!


 デイリーポータルZにこんな記事も。

◎デイリーポータル:赤城山のその後
http://portal.nifty.com/special/1031/index.htm

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珍獣ららむ〜 の紹介

特技はおりがみとお蚕の飼育と世の中の役にたたないこと全般です。養蚕が普通の仕事だったらニートでヒキコモリの体質から脱出できそうな悪寒がします。DQ10はほぼ引退しました…だってストーリーが完全にソロゲーなんだもの。/ちなみにわたしが珍獣を名乗っているのは1999年からで、イモトよりも古いです。ワンピースは知らん。イモトですねって聞かれるとあっちがマネだと答えたくなる。 twitter などでは chinjuh です。

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