何処からの手紙:「崖を降りて見えるもの」

IMG_8733s 何処からの手紙」最後に訪れたのは日立駅。

 昨日は水郡線の玉川村・上小川・常陸太田のストーリーを見て回った。それで日が暮れてしまったので、いったん東京の自宅に戻った。茨城県内で宿泊するより安あがりだったからだ。

 午前中は虎塚古墳の内部一般公開を見に行って(どっちかっていうと十五郎穴のほうが面白かったけど)、お昼ごろ日立駅に着いた。

日立駅。なんだこのオーシャンビューは!!! pic.twitter.com/pJRQxC6H7e
posted at 11:41:31

 日立に降りるのは、ひょっとすると初めてかもしれない。国営ひたち海浜公園に行った時はともだちの車だった。日立駅はいつできたのかわからないけど、やけに洒落たガラス張りの建物で、太平洋が一望できた。

 「何処からの手紙」日立のストーリーは「崖を降りて見えるもの」「日鉱の鉱山 本山跡地」だ。最初の「崖」は駅前だと書いてある。駅は崖の上にあり、崖下には駅から見えない世界があるという。

日立駅の何処からの手紙は、この階段を降りて一回りして駅に戻る。途中に枯れたアジサイがあったり、ベランダから道行く人を見てるおばあちゃんがいるとか、そんばストーリーだった。行ってみる。
posted at 11:49:04

 看板には「復興交付金で整備した津波避難階段」と書いてある。長い階段だった。ビルでいうと何階分あるだろう。

なるほど、見晴らしがいい。それはやけにオシャレな駅からでもわかったけど、階段を降りると人の住む場所がある。これは駅から見えない。 pic.twitter.com/hqhNavnoC3
posted at 11:52:09

駅に戻った。写真は下から写したもの。下にあるのは昭和な感じの古い家ばかり。崖上に見えるのはガラス張りの駅カフェ。このギャップには何か感じるものがあるね。アジサイの家やハーレーはそこに暮らす人の象徴ではあっても特別なものじゃない。 pic.twitter.com/Cp8ohAzccE
posted at 12:15:54

 崖下には生活感のある古い民家がある。これは日立の駅からはまったく見えない。どの家も古く、生活感がある。古くなってはいるが、昔は洒落た建物だったんじゃないかと思える家も多い。目の前が海なので、建物の傷みが激しいのかもしれない。駅のまわりの都会的な風景を思うと別世界だった。これが銀河鉄道999か何かだったら「崖上は裕福な機械化人の世界、崖下は虐げられた生身の人間の村」みたいな話になりそうだけれど、そんな陳腐なことでもない。わたしが降りてきた避難階段を、割烹着を着たおばちゃんが上って行った。きっと駅の向こう側にあるイトーヨーカドーにでも夕飯の材料を買いに行くに違いない。このギャップは単純に面白かった。

「崖を降りて見えるもの」には、民家の玄関先にあるアジサイや、ハーレー(バイク)や、道行く人に手をふるお婆ちゃんが語る物語だ。物語といっても特別面白いことではない。自分がそこにいることや、どんな風景が見えるのか、誰だってひとつやふたつ持っている思い出話などを語っている。観光でこの駅に降りても、崖下を見ることはないかもしれないけれど、そこにも人の暮らしがあると教えてくれる。

IMG_8733s  日立駅の海岸口と中央口を結ぶ跨線橋はガラスが赤や黄色に彩られ、異次元に迷い込んだかのようだった。面白いので写真をと思うのだけれど、人通りが多くて慌ててこれしか写せなかった。変わったデザインの駅だなあと思っていたら、これ自体も県北芸術祭の参加作品なのである。ダニエル・ビュレン「回廊の中で:この場所のための4つの虹 ー KENPOKU ART 2016のために」

お腹が空いたけど駅カフェは行列になってたのでシビックセンターのほうにあるいてきた。このバスもkenpoku artの作品だね。ノアのバスだって。なかで生き物が飼育され、野草も栽培されてる。 pic.twitter.com/Ulse8iv9QM
posted at 12:22:14

IMG_8735s ▲ノアのバス

手紙には日鉱博物館が紹介されてたけど、バスで30分くらいかかるらしい。気にはなるけどまたにする。シビックセンターに #プラネタリウム があるはずなので見て帰る。たしか午後に1回生解説番組があるはず。
posted at 12:38:28

 日立のストーリーはまだ残っている。「日鉱の鉱山 本山跡地」だ。具体的には日鉱記念館への誘いになっている。これまでのストーリーがそうだったように、行けばきっと、思ってもみなかった何かがあるかもしれない。しかし、それはいつかまた来るときのためにとっておくことにした。何かやり残しておけば、またここに来る理由になるから。

カフェ バン ドゥという店で食事。Cランチと紅茶。合わせて900円。 pic.twitter.com/NP30NYPtwJ
posted at 12:47:10

 このあと科学館とプラネタリウムを見てから電車に乗り、土浦で途中下車して古本屋を眺めて、また電車に乗って家に帰った。

 「何処からの手紙」は、なかなか素敵な旅への誘いだった。実在する郵便局にハガキを書き、その返事として招待状のような手紙が届く。そういう手紙が届くこと自体も少し面白い体験だけれど、それを手にして実際に見に行くことで作品が完成する。できあがったものは人それぞれ、答えはない。

◎茨城県北芸術祭:何処からの手紙
https://kenpoku-art.jp/artworks/g01/
 芸術祭は11月20日までだそうだ。それまでなら、まだ手紙は受けとれるかもしれない。常陸太田の若柳などは芸術祭の期間中でなければ入れないだろうけれど、それ以外ならばいつでも見に行けるんじゃないだろうか。

カテゴリー: たべたもの日記, 旅行, 街歩き タグ: , パーマリンク
avatar

珍獣ららむ〜 の紹介

特技はおりがみとお蚕の飼育と世の中の役にたたないこと全般です。養蚕が普通の仕事だったらニートでヒキコモリの体質から脱出できそうな悪寒がします。DQ10はほぼ引退しました…だってストーリーが完全にソロゲーなんだもの。/ちなみにわたしが珍獣を名乗っているのは1999年からで、イモトよりも古いです。ワンピースは知らん。イモトですねって聞かれるとあっちがマネだと答えたくなる。 twitter などでは chinjuh です。

何処からの手紙:「崖を降りて見えるもの」 への1件のフィードバック

  1. ピンバック: ときわ路パスで茨城県の旅 | 超・珍獣様のいろいろ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>