何処からの手紙:上小川駅「自分を枯らす木」「ピンクと緑のホワイトプリン」

IMG_8530s 何処からの手紙」をめぐる旅、二番目は上小川駅に行く事にした。

上小川駅到着。ここでは枯れそうな木の話と語りに行くことになってる。けっこう山の中だ。ちょっと寒い。 pic.twitter.com/6cWpOATfs0
posted at 12:30:04

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 上小川駅で電車を降りた。そろそろ昼なので、どこかで食事したいなあと思う。けれど駅前はこの調子で、食堂などなさそうだった。「ホワイトプリン」ののぼりを出している竹内商店は営業中のようだった。ひょっとしたらパンくらい買えるかもしれないので、他に何もなかったら帰りに寄ってみようかと思う。

 「何処からの手紙」は、茨城県内に実在する四つの郵便局にハガキを出して、招待状のような手紙をもらう。手紙にはその土地に存在する人や物が自分の過去を語ったりする短いストーリーが書かれていて、実際にその土地に行き、実際に見聞きすることで完成する芸術作品だ。

 「芸術といえば聞こえはいいが、実際には村おこし町おこしの類いで、人を呼んでお金を使わせたいわけでしょ」と、来るまでは思っていた。実際、上小川のストーリーには上小川キャンプ場をこの旅の宿泊先として紹介しているし、そこの女将さんが作るホワイトプリが名物なのだと書いてある。体よく買わせようということじゃないのかと。

 しかし、実際に来てみると、思っていたのと違う。玉川村もそうだったけれど、駅前には観光客が立ち寄れそうな店がろくにない。観光客どころか地元民さえ見かけないような淋しいところだ。こんなところに人を呼んだって誰が特をするんだろうと思う。

 とにかく手紙に書いてある場所へ行こう。最初は「自分を枯らす木」にしよう。

これが製材所か。たしかに知らないと通り抜けられないオーラが出てるな。でも公道なんだって。 pic.twitter.com/rrh6OhWMbz
posted at 12:40:48

 製材所を通り抜けると川原に下りる道があった。川は久慈川である。JR水郡線には何度も乗った事がある。東北に遊びに行くと、帰りは郡山から水郡線で水戸に抜けることにしているから。水郡線には奥久慈清流ラインという愛称がついているが、そのくせ窓からはろくに川が見えないのが不満だった。いつも車窓から眺めるだけだったけれど、途中下車するとこんな風景があるんだな。

 砂と石ころの川原を歩いて行くと、枯れかけた木があった。

木は枯れそうになると自分で枝を折ってみたり、花を咲かせてたくさん実を落としたりするものだ、と手紙に書いてあった。これがその木らしい。言われなければ立ち止まって見ようとも思わない…かっていうと私普段からこんなんばかり見て歩いてる気がする pic.twitter.com/ZMz2QcY73u
posted at 12:52:35

 看板ひとつなく、ただ木があるだけ。手紙にはもうすぐ枯れてしまうだろうこの木を見取って欲しいと書いてあった。

 昼食も食べずに歩き続けているので、石ころにこしかけてしばらく見ていた。すると、自動車が入ってきて、木の前にゴゴッと止まった。出てきたのは自分と同じか少し年上のカップルで、やはりこの木を見に来たらしい。この旅ではじめて自分以外の探索者を見た。

 記念写真を撮って欲しいと頼まれて、シャッターを押してあげた。「やっぱりKENPOKUですか?」と聞かれて、「ええ」と答えたら、「これを見に来るなんて通ですね」と言われた。手紙に誘われて来ただけなので、何を言われているのかイマイチよくわからない。

 あまり深く話さなかったけれど、その人たちは「何処からの手紙」のことを知らなかった。芸術祭のスタンプを探してると言われて、今度はこっちが「え、スタンプなんかあるんですか?」と首をひねる。同じ場所にたどり着いたのに目的が違い話が噛み合わないのが面白かった。

さっきの木はもしかしたら、あれ自体がアートなのかも。何処からの手紙と関係なく見に来た人に会ったよ。
posted at 13:19:33

 次は「ピンクと緑のホワイトプリン」だ。駅のほうに戻って、まったく反対方向に歩くとキャンプ場があるはず。

そしてこれがプリンのキャンプ場で… pic.twitter.com/QqiwhQDq0J
posted at 13:20:10

自慢のホワイトプリン。いただきます。 pic.twitter.com/SVvk7CDixZ
posted at 13:20:54

 古ぼけたキャンプ場だ。テントも貼れるが、バンガローもある。壁はピンクと緑に塗られているが、色あせて剥げかけていた。手紙には震災のあとに訪れる人が減ったと書かれている。地震そのものより、その年の台風で久慈川が溢れたのが痛かったそうだ。バンガローが流されて復旧に8ヶ月かかったという。

 しかし、わたしが到着した頃、バイクで乗りつけたグループが手慣れた様子でテントを張り始めたし、車の人も来ていた。もう11月でキャンプの季節でもなさそうなのに、これだけお客がいるなら繁盛しているのかなと思う。県北芸術祭の間だけのにぎわいかもしれないけれど。

IMG_8530s  キャンプ場の売店にも「ホワイトプリン」の看板がかかっていた。ここの女将さんの手作りだという。ホワイトプリンはここでも買えますかと聞いたら、おじさんが出てきて「ええ、もちろん。どうぞどうぞ、中に入ってください」と、昔の銭湯で牛乳を売るのに使っていたみたいな縦型のショーケースの前でプリンの説明をしてくれた。プリンは1個250円くらいで、プレーンのほかにコーヒー、ココア、チーズ、季節の果物入りなどがあった。みんな美味しそうだったけど、プレーンと林檎を買った。

「県北芸術祭ですか?」
「ええ、そうなんです」 「飴屋法水さんはすごいもんですね。もう何人も見に来てくれました」
「このバンガロー、写真で見ましたよ」
「ボロボロですみませんねえ」
「いやあ、こういうのがかえっていいんですよ」

 そんな会話をして、わたしは久慈川の見えるベンチでプリンを食べた。キャンプ場なんだからキャンプしてもらわないと商売にならないだろう。プリンだけで帰っちゃう客なのに親切だったな。

目の前が久慈川。キャンプ場って、キャンプしないと近づきにくいからどういう所か分からなくて、一生近づかずに終わりそうっておもってたけど、こういうところも悪くないな。夜はたぶん星がきれいだろう。あとで値段調べよっと。 pic.twitter.com/icp3CgD7c5
posted at 13:24:50

ふう、プリン美味しかったー。のんびり駅方面に戻るか。
posted at 13:27:10

久慈川。なんてきれいな川なの?! pic.twitter.com/MjToFFNttR
posted at 13:32:06

上小川駅に到着。駅はポケモンジムになってた。#ポケモンGO はポケストップやジムを渡り歩く楽しさをもっと追求すべき。今のままじゃ飽きて当然。 2分後に電車が来るので移動します。 pic.twitter.com/t5VBgm4kHo
posted at 13:59:14

 駅に戻ると、ちょうど次の電車の時間だった。竹内商店には寄る暇がなかった。あまりにも電車が少なすぎて、もう1本遅らせると日が暮れてしまいそうなのだ。次は常陸太田に降りる予定。

水戸行きに乗った。上菅谷で乗り換えて常陸太田に行く予定。 電車の本数が少ないので、うっかり乗り過ごしたら戻れそうもないです(日が暮れるので)。そしたらあきらめて帰るw
posted at 14:06:43

今日はどうやっても日立方面には回れないので、それは後日と思っている。なんとかいう古墳が明日まで一般公開だそうなので、家に帰って予定を組んでみて行けそうなら明日また来ちゃうかも。こっちで一泊とも思ったけど帰ったほうが安くあがりそう。半端に近くて半端に遠い茨城県。
posted at 14:14:10

上菅谷〜。無事乗り換えられました。向かって左が乗ってきた水戸行き。右がこれから乗る常陸太田行き。 pic.twitter.com/gShXAwQ1wS
posted at 14:54:03

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珍獣ららむ〜 の紹介

特技はおりがみとお蚕の飼育と世の中の役にたたないこと全般です。養蚕が普通の仕事だったらニートでヒキコモリの体質から脱出できそうな悪寒がします。DQ10はほぼ引退しました…だってストーリーが完全にソロゲーなんだもの。/ちなみにわたしが珍獣を名乗っているのは1999年からで、イモトよりも古いです。ワンピースは知らん。イモトですねって聞かれるとあっちがマネだと答えたくなる。 twitter などでは chinjuh です。

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