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東金町金蓮院境内二十一箇所(石版)

IMG_9618s 東金町金蓮院境内の、二十一枚の石版をまわる小さな霊場巡りについて。

IMG_9618s

 葛飾区東金町の金蓮院というお寺の境内に、上の写真のような石版が沢山あるのですが、それらをよく見ると絵が刻まれており、番号が書いてあります。どうやら境内で完結する小さな弘法大師霊場めぐりになっているようです。

 石版の枚数は、わたしが適当に写してきた写真で1〜20番まであるのですが、弘法大師霊場だと、88ヶ所でないならば、21ヶ所である事が多いので、もう1枚どこかにあると思われます。

 1枚1枚に、何かの絵が浅く刻まれています。どれも浅すぎて肉眼では何が刻まれているかさっぱりわからないのですが、拡大してトレースしてみると、いくつかは意味のありそうな絵になったので、ひとまずここに20番まで貼ってみます。


第一番

金蓮院01番s

 地蔵菩薩のような仏様の姿に見えますが、残念ながら何の場面なのかは今のところ不明です。


第二番

金蓮院02番s

 川か海のような水辺で弘法大師とおぼしき人が座禅を組んでいます。弘法大師は室戸岬のような海辺で修行をしたという話がいくつもあるので、そういった場面かもしれません。


第三番

金蓮院03番s

 弘法大師とおぼしき僧侶の後ろ姿が刻まれており、空中に何か描かれているのですが、残念ながらハッキリしません。衣が立派なので、唐から帰朝して帝に重く用いられるようになってからの姿かもしれません。


第四番

金蓮院04番s

 これも海辺での修行中でしょうか。空を見上げているので、金星が降りてきて口から入るという虚空蔵求聞持法を行っているところかもしれません。


第五番

金蓮院05番s

石版の手前に植え込みがあり、絵の全体がどうやっても写らず、見える範囲もあまりはっきりせず、まったく意味不明な状態です。


第六番

金蓮院06番s

 寺のようなところで何かをしている後ろ姿が描かれています。


第七番

金蓮院07番s

 女性の後ろ姿が描かれています。弘法大師関連で有名な女性だと、母親の阿刀氏(あこや、あこう、玉依御前など、異説多し)かもしれません。老いた阿刀氏が大師をたずねて寺に来ますが、女人禁制のため男装して近づこうとします。すると大きな岩、または火の玉が降り注ぎますが、大師が察知して法力で助けるという話があります。


第八番

金蓮院08番s

 空に月か太陽のようなものが描かれており、弘法大師とおぼしき僧侶が身をかがめて何かしています。

 三日月を呼び戻す話があるのですが、それは修行中の事なので、立派な袈裟を身につけているので違うような気がします。

 あるいは空に妖星が現れたため、法力で落としたという話もあるのですが、これも修行中の話だったような気がします。


第九番

金蓮院09番s

 何かの軒下にたたずみ、上を見ているようです。

 建物が部分的にしか見えないのではっきりしませんが、応天門の額の話かもしれません。書の達人として知られるようになり、都の応天門の額を書いてほしいと依頼されますが、応の字の上の点を書きわすれて、そのまま額がかかげられてしまいます。そこで大師は墨を含ませた筆を下から投げて、寸分の狂いもなく応の字に点をつけた、という話があります。


第十番

金蓮院10番s

 池のような場所に弘法大師と思しき人がたたずみ、池の上には龍がいます。

 守敏という僧侶との雨乞い勝負を描いたものかもしれません。守敏も位の高い僧侶でしたが、帝に手品のような法力を見せて取り入っていたので、大師がやりこめて面目を潰してしまいます。

 怒った守敏は世界中の龍王を一ヶ所に集めて封印し、世の中に雨が降らないようにしました。そうすれば帝は大師に雨乞いをさせると思ったのです。龍王は封じてあるので、何をしても雨など降らないという計略です。

 しかし大師は深く瞑想して守敏の計略を知ります。そこで天竺の無熱池に住む善女龍王を東寺の神泉苑に勧請し、世の中に雨を降らせました。

 善女龍王は法華経に出てくる沙伽羅龍王の娘で、女性でも悟りの境地に到達できることを証明した人です。弘法大師や守敏も三地という位の菩薩ですが、善女龍王はそれよりももっと高い位の菩薩なので、守敏の法力では封じる事ができなかったのです。


第十一番

金蓮院11番s

 弘法大師とおぼしき僧侶の背後に火炎があり、前には水が流れています。

 弘法大師は不動使者の法を行いました。この行を行うと迦楼羅焔と呼ばれる邪悪なものを浄化する焔が現れたそうです。

 また水想観という瞑想をすると、家の中でも本物の水が出てきて池のようになったと言われています。


第十二番

金蓮院12番s

 大師が空中に何か字を書いて(おそらく龍の崩し字)、それが鳥のようなものを追い払っています。

 これには思い浮かぶ伝説がいくつかあります。

 まず、唐での修行中に、師匠の恵果阿闍梨があまりにも大師を重く用いるので、60人の兄弟子たちが嫉妬して、大師に法力勝負を挑みました。

 ある弟子が筆で文字を書くと、それがチョウやトンボになり、飛び始めました。そこで大師が龍の字を書くと、大きな龍が現れてチョウやトンボを飲み込んで天高く飛び去りました。

 あるいは空中に大般若経の魔事品(まじぼん)を書く話かもしれません。空中に書くのですから見えるはずがないのですが、大師が書いた文字は光り輝いてはっきり見えたと言われています。


第十三番

金蓮院13番s

 これはまったくわからない絵のひとつです。舟が描かれているようですが、人物は描かれていません。


第十四番

金蓮院14番s

 珍しくはっきりと読み取れる絵なのですが、何の場面なのはかまったくわかりません。上部に御簾が描かれ、その下で僧侶が経典を読んでいるか、書き物をしているような絵です。


第十五番

金蓮院15番s

 立派な袈裟を着た大師の隣にうつむいた女性がいます。

 女性が出てくる逸話もそれなりにあるのですが、どれも決め手に欠けるような気はします。

 七番のところで書いた母親が寺に訪ねてくる話の続きかもしれません。別れを惜しむ母に、大師は池に映る自分の姿を書きとって母親に渡したと言われています。

 あるいは諸国行脚中に親切にしてくれた貧しい女性たちの話かもしれません。中でもありそうなのは、凍える夜に、ある家の戸を叩き宿を求めますが、この家は老女の一人暮らしでその日の薪にも困っていました。しかし、お坊様を凍えさせてはいけないと、老女は大事な織機を打ち壊して囲炉裏にくべましたと言われています。しかし、旅の途中だと、このような立派な袈裟を身につけているのは不自然かもしれません。


第十六番

金蓮院16番s

 これも何の絵かまったくわからない1枚です。背景に大きな山が描かれているのが手がかりかもしれません。


第十七番

金蓮院17番s

 これまたわからない1枚です。手に菅笠を持っているので、諸国行脚中の姿(修行大師)かもしれません。


第十八番

金蓮院18番s

 上部に御簾が描かれており、空中に蓮華の座に乗った仏様が描かれています。板の間のようなところに衣のようなものが置いてあるか、あるいは誰かが深く頭をさげて礼拝しているかもしれません。

 弘法大師は即身成仏の悟りを得ており、深く瞑想して大日如来になることができました。唐での修行中にも法力勝負をしかけてきた兄弟子たちに大日如来の姿を見せたと言われているし、帰朝してから帝の前でもその姿を見せています。この絵だと、帰朝してからの話のような気がします。


第十九番

金蓮院19番s

 これも、まったくわからない1枚です。


第二十番

金蓮院20番s

 背景に高い山のようなものが描かれ、手前に九輪のある塔の屋根のようなものが描かれています。

 弘法大師ゆかりの塔といえば、ひとつは京都の東寺にある五重の塔です。東寺は大師が帝から賜った寺ですが、五重の塔は未完成で大師が奔走して完成させたと言われています。

 また、高野山に金剛峯寺を開く時に、最初に着手したのも塔だったと言われています。


第二十一番

 未発見です。数を数えずに写真を撮ったので、21番が足りないことに気づいていませんでした。見落としているだけのような気がするので、後日また探しに行きたいと思っています。


 以上は、わたしが知っている伝説と、石版の絵を結びつけたものですが、弘法大師の伝説は昔話のようなものも含めれば膨大な数にのぼり、もっと絵に近い例もあるかもしれません。

 また、石碑の類いは光の加減で刻まれているものがよく見えたり見えなかったりします。別の日に再挑戦すれば、見えなかった部分が見えるかもしれないとも思います。

 というわけで、この記事は「今のところこうではないか」という覚え書きのようなものです。

 「こういう話の場面ではないか」というような御意見はコメント欄へどうぞ。

 ただし、わたしは最近自分のブログをろくに見ていないので、コメントをいただいても気づかない可能性が大きいです。反応がなくても無視しているのではなく、本当に気づいてないだけなので、あまり気にしないでください。よろしくお願いします。

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