シャーレに入ってるのは、今朝になって出てきたお蚕で、そんなに数はいません。一日くらいの差なら、脱皮後の餌やりで成長が揃うかもしれないけど、今回は混ぜずに分けてそだててみようかな。
古い餌の上に新しい餌をのせてやると、勝手にのぼってきて、新しい餌を食べ始めます。古い葉から新しい葉への移動は、この小さい虫にとっては大移動だと思うのですが、みんな力強く這い上がってきます。
蚕の餌
蚕(かいこ)と呼ばれ、糸をとるために育てられている虫は何種類かいるんですが、ふつうに「蚕」と言ったら学名で Bombyx mori というカイコガ科の虫のことで、今わたしが飼ってるのもこれです。こっちの蚕のことは「家蚕(かさん)」と言うこともあります。
家蚕は桑の葉しか食べないのが普通です。まあ、例外もなくはないですが珍しい例ですから、桑しか食べないと覚えておけば間違いありません。
桑は育てるのが簡単なので、庭があるなら一株くらい植えておくといいです。あっという間に大木化するので、使わない年でも忘れずに切らないと大変なことになります。うちでは秋に根元近くから切るんですが、それでも翌年には脇目が伸びて巨大化しますから、手心を加えないほうがいいです。ほんとに。植木鉢ではそこまで育たないかもしれません(鉢植えにしたことがないのでよくわからない)。
桑は、英語でマルベリーとか言って、桑の実を食べる人がいるので、樹木を扱ってる園芸店で普通に売られてます。桑にも品種が沢山ありますが、とりあえずどれでもお蚕は食べます。
ところで、お蚕には家蚕のほかに、野蚕というのがいます。
ヤママユやサクサンなど、ヤママユガ科のまったく別の虫の繭からも絹糸がとれるのですが、こちらは「野蚕(やさん)」と呼ばれていて、餌は桑ではないし、飼い方もぜんぜん違います。東南アジアや中国では、野蚕の飼育も盛んです。野蚕もおもしろいんですが、糸を取るほど育てるには餌になる木(クヌギ、コナラ、サクラ、クリなど)を大規模に育てる必要があるので、家蚕ほど簡単じゃないです。ヤママユは大きな緑色の美しい繭を作りますよ。
桑の実
▲桑の実。うちの桑の木にたくさんなってます。よく熟れた桑の実は甘くて美味しいです。写真には赤いのや白いのが混ざってますが、それはまだ未熟な実です。
この実のことを群馬では「どどめ」と呼んで、この実の色を「どどめ色」と呼んでました。
なぜか子供の頃「どどめ色」という言葉を使うのが流行って、イソジン液みたいな赤黒いものを「どどめいろーwww」と言うだけで妙に楽しかったです。そんな遊びをしていたら、大人に「お前らどどめがなんなのかわかってるのか」と言われたので、わたしは真顔で「桑の実ですが何か」と答えたんですが、どうも養蚕をしない地域の人は女性器の色を「どどめ色」と言うらしくて、語感が面白いだけじゃなく、エロく聞こえてる人もいたのかって、わりと大人になってから気づきました。
ウィキペディアに、女性器をどどめと言うのは、女性器の色が年を経て赤黒くなるからだ、と書いてあったけど「そうか?経血の色が熟した桑の実そっくりだからじゃないの」と思ったわたしは、人として間違った世界に足を踏み入れてるかもしれません、けらけら。
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