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リアルな狛犬(狛犬はどちらが雄なのか?)

 神社にいる狛犬。必ず二頭セットで、片方が口を開いている阿形(あぎょう)、もう片方が口を閉じている吽形(うんぎょう)です。狛犬は雌雄セットで、どちらかが雌なんだと信じられてます。

 じゃあ、どっちが雄で、どっちが雌なのか。わたしは漠然と、陰陽でいうと、阿が陽なので雄、吽が陰なので雌だと思っていたのですが、どうも違うみたいなんです。以下の写真は足立区の千住本氷川神社(せんじゅもとひかわじんじゃ)の狛犬です。ちょっと見てください。

続き

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▲千住本氷川神社の狛犬で、ここの場合は向かって右が吽形、左が阿形です。亀有の香取神社とは位置関係が逆みたい。あまりこだわって見たことなかったんですが、どっちが主流なんでしょう。

 陰になっていてわかりにくいのですが、両方ともいい感じにお尻をあげているので注目して見たのですが……

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▲これは口を閉じている吽形さん。お尻の部分が陰になっているのでコントラストを変えてみます。すると……

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▲うわーーー、おちんちんがあるーー!!!!

 えー、これ雄ですよね。雌にこんな盛り上がりはないですよね??? ってことは吽形が雄で、阿形が雌なんでしょうか。確かめてみましょう。

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▲こっちは阿形さんのお尻。

 ほら、口をあいてる阿形さんのお尻には、モッコリがないですよ。やっぱりこちらは雌ですね。アラびっくり。考えてたのと逆だった! そもそも阿吽は仏教のものだし、陰陽は中国の思想で、ルーツも違うのでこの場合関係なかったのでしょうね。

 ところで、そもそも、狛犬が雌雄で番(つがい)になっているというのは本当なんでしょうか。いや、千住本氷川神社の狛犬はあきらかにオスとメスですけど、普通は尻をついて座っているから性別なんかわからないんですよ。子どもを連れてるからって雌とは限らないじゃないですか。

 狛犬の正体が犬じゃなくて獅子(ライオン)だというのも広く信じられてることですよね。ルーツをたどるとメソポタミアやエジプトの神殿を守っているライオンの石像にたどり着くとも言われています。だとしたらたてがみのある狛犬は、両方とも雄なんじゃないでしょうか?

 が、しかし。敵は狛犬です。獅子だというのが幻想なのかもしれないんです。もとはライオンだったかもしれないけれど、ライオンがいない中国に伝わったあたりで、似てるけど別のものに変わってるんだと思うのです。たとえばシーズーみたいな犬に。犬だったら雄でも雌でも長毛種ならたてがみ状になるでしょう?

 で、狛犬って本当に雌雄で番なんですか?

 白々しいので書きますが、一応検索はしましたよ。雌雄だっていうのは後付けだよって書いてあるサイトがけっこうありますね。でも、中国あたりじゃ多くの瑞獣がオスメスでセットなんですよ。麒麟も鳳凰も貔貅(ひきゅう)もそうです。雌雄がそろっていて力を発揮するものらしいんです。中国を通ってきた狛犬に雌雄の違いがあっても不思議はないような気もするんです。ね、だんだんわかんなくなってくるでしょう?

おまけ:千住本氷川神社の千社札

ファイル 354-5.jpg
▲これは旧社殿ですが、中央に「康元秋(秋元康)」って書いてあるんだけれど、作詞家の秋本氏が貼りに来たのでしょうか??

千住本氷川神社はここです


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タグ:神社仏閣 エロ 寺社幻獣

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  • 2008年06月18日(水)14時39分
  • 日記

コメント一覧

Goudeau 2008年06月19日(木)23時57分 編集・削除

以前麒麟のことを調べてみたことがありますが、あれももともとは雌雄などは無く、時代とともに次第に雌雄が言はれるやうになつて、今では麒と麟のつがひであるといふことになつて、結婚式の縁起物になつて居るやうですネ。

狛犬といふものには大いに興味があります。「コマ」といふ語は「渦巻き」を意味する、と河内の風変はりな民俗学者、若尾五雄(多分もう亡くなつてゐるでせう)が言つたのが気になつてゐます。このひとは『河童は渦巻である』といふ奇妙な本を書いて居ます。

日本神話のなかの「ウズ」の名を負ふ神さま、アメノウズメ、ウズヒコらが、天皇の行列の露払ひ、道案内といふ役目を持つことと、「コマ」の名を負ふコマイヌは、なにか関係がありさうです。私の今のところ、「コマイヌは、天上の神々の露払ひとしての、積乱雲ないしは、雲気の渦巻きを霊獣として表したものである」と考へて居ます。

珍獣ららむ~ 2008年06月20日(金)08時21分 編集・削除

おおっ、麒麟の雌雄なども後付けなんですか!
そうなると狛犬にオスメスがあるというのも怪しい話ですねえ。
コマ=ウズというのは、一体どこからくるのか想像もつかないけれど、
狛犬や、獅子が雲と関係していそうなのは、
あの姿を見るとありそうな話に思えてきますねー。

Goudeau 2008年06月20日(金)10時39分 編集・削除

コマ=ウズについては、回転するものとしての独楽(コマ)といふ語以外、あまり分かり易い根拠はありません。河童の異名のひとつ「コマビキ」についての考察から、

・子供を水中に引き込むものとしての河童とは渦巻きを指すのではないか

・頭の皿に水がなくなると河童は衰弱する、とは渦巻きのウツロが消滅すると渦巻き自体が消滅することを指すのではないか

これが若尾五雄氏の主張のあらましです。(実際はもつと複雑な論証を経ての主張です)

他に、コマ地名が、ひとつは水辺に(浅草の「駒形」など)ひとつは山岳に(駒ケ岳)関連するといふ事も参考になるかもしれません。

私自身も語源説のみを根拠とする仮説はたいして信用しません。珍獣様が仰つたやうに、図像的なウズマキの方面から考察することを併せて考へるのがよいと思ひます。

失くした釣り針をめぐる、ウミサチ・ヤマサチの兄弟げんかの神話で負けた兄のウミサチは、天皇の宮居の狗(いぬ)となることを弟に誓ひます。これがハヤトの祖といはれますが、平城京の井戸から発掘された「ハヤトの楯」の文様は、逆S字型、ぶつちやけていふとウズマキ模様です。ハヤトたちは、平城京の門番をするとともに、天皇の行列のさきばらひの役目を果たし、川の屈曲部(ウズマキの出来易い場所?)などにさしかかると狗の吠えるやうな声(狗吠)を発したと言ひます。(『延喜式』「隼人司條」)・・・この話をコマイヌのかたはらに置いてみると実に面白い。(と思ひませんか?)

長々と失礼いたしました。

Sari 2008年06月20日(金)16時04分 編集・削除

Goudeauさんのウズのお話、面白いですね~。
狛犬の尻尾を見る度に、雲みたいと思ってました。
大昔、どこかで読んだ狛犬の話、断片でしか記憶にないのです。
狛 駒 高麗 巨摩郡 クマ 熊襲 小暮さん(笑

ここでどんなふうにお話が展開するのは楽しみです。


千社札といえば、どこの神社にも貼ってあるのがあるそうで
一部でかなり話題になってました。名前は忘れてしまったのですが・・・

珍獣ららむ~ 2008年06月20日(金)19時41分 編集・削除

 コマ! そうか、独楽だったのか。わたしゃ寝ぼけてますね。たしかに狛→独楽→ぐーるるーる→渦巻きだー!! 隼人の話はとてつもなく面白いです。そこまで聞いたら渦巻きと犬がスカッと繋がりました。ワクワクしますねー。

 しかし、今度は Sari さんの「木暮さん」がわかりません(笑) コマがクマになるあたりは訛りなんでしょうか。でも木暮さん???

Sari 2008年06月20日(金)23時35分 編集・削除

うーーんとね・・・と考えてみたんですが、何の本を読んだのやら(^^;)
たしか、高麗・高句麗出身の渡来人は東国へ沢山渡り、群馬県・上野に住み着いた人も多かったそうで、その人たちは『高句麗』本場の発音は分からないけど『こーくり』→小暮と名乗ったとかいう話だったと思います。
ちょっと検索してみたらこんなのがありました。学者じゃないけどhttp://blogs.yahoo.co.jp/raspberryko/21775133.html

珍獣ららむ~ 2008年06月21日(土)09時44分 編集・削除

 なるほど。コークリでコクレなのか!

 群馬に渡来人が多かったというのは、わたしも聞いたことがあります。多胡郡という地名があり、そこには古墳時代に瓦を焼く工房があったらしいんですが、渡来人の技術でやってたとか。多胡という地名は胡人(外国人)が多いと解釈できるんだそうです。

コマからどんどん離れて行くけど、うちの渡来人関係のコンテンツを(最近そうでもしてあちこちにリンクを残さないと検索で上位に来ないということに気づいた)

◎羊太夫という群馬の伝説的超人のことを調べに行った日記(8日あたり)
http://www.chinjuh.mydns.jp/taglibro/200307/200307.htm
 日記じゃないページにしようとか思ってるうちに忘れてほったらかしだ。でも今はブログじゃないと検索にもひっかかりにくいし無意味。ヤな世の中になった。

珍獣ららむ~ 2008年06月21日(土)09時45分 編集・削除

もうひとつ

◎羊太夫の伝説
http://www.chinjuh.mydns.jp/ohanasi/sheep/0001.htm
 群馬から奈良まで馬で二時間ほどで駆け抜け、毎日往復してたと言われる超人。空飛ぶ船に乗ってやってきたとも言われてる。渡来人じゃないかとも。

Goudeau 2008年06月21日(土)09時45分 編集・削除

「小暮さん」の件は多分「高句麗」の朝鮮語よみ「コグリョ」あたりと関係しさうですネ。コマと渡来人を関連づける説のあることは承知して居ますが、私はさして魅力を感じません。ウズマキ説に、ある種の宇宙論的ひろがりが感ぜられるのに比べて、それこそ「語源説のみに依拠した仮説」以上のものではないやうな気がするものですから。

珍獣ららむ~ 2008年06月21日(土)09時56分 編集・削除

 たしかに、ワクワクするような説となると、コグリョがコグレになるだけでは足りないですね。高句麗と小暮が結びつくことで、何か大きなストーリーが見えてくるようじゃないと。

 あ、羊太夫、わりとちゃんとまとめたページもあった。作った本人が忘れるほどコンテンツあるのに何の役にもたってない。

◎昔話の舞台をたずねて
http://www.chinjuh.mydns.jp/ohanasi/tanbou/0002.htm

愛犬家 2010年12月31日(金)05時27分 編集・削除

yahooの知恵袋では雄雌の区別が無いが正解とされていますが、
記載の千住本氷川神社の狛犬さんの様に多くの神社では
雄雌が明確に判別できます。

珍獣ららむ〜 2010年12月31日(金)09時22分 編集・削除

 愛犬家さんこんにちは。
 知恵袋や、その他の多くのサイトで雌雄の別がないと言っているのは「本来はなかった」と言ってるだけだと思います。
 二頭いたら「つがい」に見立てるのはごく普通のことなので、実際にはオス・メスを作り別けている狛犬作者がたくさんいたのでしょうね。

 

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