葱聾(そうろう) ソウロウ
葱聾(そうろう)

 獣には葱聾が多く、そのかたちは羊のようで赤い鬣(たてがみ)を持っている。(西山経一の巻)--047
 

絵・文とも『山海経』より


 

 たてがみといっても、馬のように首にはえたのや、ライオンのように顔のまわりにはえたのや、猪のように首から背中にはえたのがあるが、特に鬣と書かれた場合は首筋から生えた毛のことで、あごひげも含まれる。すると、ひげの立派な山羊の類が候補にあがるだろうか。

 ヒマラヤに住むマーコールは頬から喉にかけて、見事な長毛が生えているが、残念ながら毛色は白だ。
 ヒマラヤタールにも首から背中にかけて長い毛があるが、これも白い。

マーコールマーコール
 ヒマラヤの山岳地帯に住む。
アメン神の羊アメン神の羊
 アメン神は太陽神とも同一視された時代があり、エジプトの王様はアメン神の化身だと言われていた。アメン神の聖獣は羊で、羊の角に似た形の古代生物をアンモナイト(アメンの角)と呼ぶのはそのためである。

 正体が実在の動物とはかぎらない。たとえば、「アメン神の羊」も葱聾の候補にあげられそうだ。

 古代エジプトでは羊をアメン神の象徴と考えて、羊を型どった彫像や壁画が多く残した。その羊にはなぜか立派なたてがみがあるのだ。

 こういった羊の像には足がライオンのようになっているものもあるから、カツラではなく雄ライオンのたてがみのつもりなのだろうか。

 また古代エジプトでは正装するときには剃髪してかつらをつける習慣があった。アメン神の羊もかつらをつけて正装しているのかもしれない。


 とにかく、エジプトにはたてがみを持つ羊がいるわけだ。学校で習う歴史は縦の流ればかりを追うので、横のつながりを忘れがちだが、中国は古い時代から広く交易をしており、エジプトやメソポタミアへも人が行き来したということはないのだろうか。

 はるかアフリカやヨーロッパの文物でもインパクトの強いものならば中国まで噂が伝えられていたことだろう。

 
 
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