もっとホウキョウについて

 
ジオシティーズのご近所さん、けもののへやあきのさんからこんなメールをいただきました。
 羊のホウキョウの項で、サルーキなどのハウンドに似ているとのお説。アフガンハウンドをご存知と思いますが、現在のあのストレートのロングヘアの毛並みは、イギリスなどで改良されてああなったもので、原型のアフガンの視覚猟犬は、縮れ毛のセミロングなのです。
 あのへんの山岳野生ヤギに似てるので、それのことかも知れないなあと思いました。この種のハウンドは指がけっこう長いので、その辺も合ってるかなと思いつつ、でも脇に目とは何事!?
 目で獲物を追うタイプの猟犬で、視界の隅でも、ちらっとでも動くものには必ず気付くとこから来てるのでしょうか。視覚ハウンドの特徴として、他の犬種より、視野そのものも広いですし。
 貴重な情報ありがとうございます。犬について書かれた本は数ありますが、原種のことまで書いてある本は少ないので、こういった情報は本当に助かります。ホウキョウの脇の下についている目を視野の広さに結びつけるあたりも、犬に詳しい方ならではのひらめきですね!珍獣はかなり当てずっぽうで書いているのですが、あきのさんのメールを読んで、やはりホウキョウは犬だと確信してしまいました。

 アフガンハウンドの原種の写真がどっかにないかと探したんですが、さすがにみつかりませんでした。がっかり。セミロングの縮れ毛のアフガン……ちょっと見てみたいなあ。


 
 こんなことを書いていたら、またもやあきのさんからタレコミがっ。
 「世界の犬種図鑑」(誠文堂新光社)のP.307に載っている、タイガンという中央アジアの犬がアフガンの原種によく似ているとのこと。珍獣もさっそく本屋さんで探してみました。
 なるほど、この感じはヤクとかシロイワヤギとか、もさもさっと毛が生えるウシ科の動物に似ているような……短い毛の犬しか知らない人が見たら、おもわず羊にたとえたくなるような犬ですね。
 サルキー、タイガン、アフガンハウンド……これらの犬はみんな猟犬で、獲物を追い回して疲れさせる役割をになっていたそうです。ウサギのような小動物だけでなく、時には狼や豹にも果敢に立ち向かったそうです。「虎の牙……人食い」という強そうなホウキョウの特徴にますます一致しそうです。

 また、同じ本のサルキーの解説に、こんなことが書いてありました。

 コーランに曰く、「サルキーは犬ではない。これは私達の必用と喜びのためにアラーがお恵みくださった贈物である」
 イスラム教の成立は『山海経』よりずっと後ですが、かのマホメットがわざわざ書き記すほど、サルキーという犬は特別だったのでしょう。おそらく、サルキーに限らず、優秀な猟犬は大事にされていたと思います。
 犬なのに犬ではないと言われるほど特別扱いされている猟犬たちを、『山海経』の作者はホウキョウのような珍獣として記録したのかもしれませんね。
 

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