記事一覧

ウサギ肉

ファイル 1158-1.jpg
▲これが遠山郷のスズキヤで買った兎肉です。買った時は凍ってたんですが、持ち帰る間に解けました(もちろん発泡スチロールの箱を用意して、凍りもらって入れて帰ったので傷んじゃいませんよ)。

ファイル 1158-2.jpg
▲袋から出しました。昔の人は、ウサギは「とぶ」ので鳥の一種だとか言ったそうですが、こうして見ると肉もニワトリそっくりです。


ファイル 1158-3.jpg
▲塩コショウで炒めてみました。食感も鶏肉そっくりです。黙って出されたら獣の肉だとは思わないですね。ただ、ニワトリなんかよりずっと味が濃いんですよ。すごく美味しい!

 西洋でもウサギは狩猟肉のカテゴリーですよね。ウサギなら飼えそうなのに、なぜ家畜として定着しなかったんでしょう。やっぱり卵をとれないからかなあ。ニワトリだったら毎日卵をとった上にハレの日にはつぶして肉も食べられるけど、ウサギは潰さないと収穫できないんですよね。肉用に飼うならウシやブタのほうが効率はいいでしょうし。

タグ:2011年7月長野旅行 食材

豆腐百珍:粟とうふ

卅九 粟菽乳(あわとうふ) しき葛あんに擦山葵をきおぼろ豆腐の烹調よきを湯をしぼりてもり其上へ雞卵(たまご)の煮ぬきの黄(きみ)ばかりをみつしりとふるなり

 煮ぬき玉子というのは固ゆで卵のことです。黄身をふりかけて粟(あわ)に見立てるのですから、金(かね)のザルで裏ごして使うのでしょう。今風に言えば「おぼろ湯豆腐のミモザ」といったところでしょうか。想像しただけで美しさが伝わってきます。

ファイル 1133-1.jpg
 うーん、ワタクシが作るとなんかイマイチ? 市販のおぼろ豆腐をそのまま茹でたのは絵的に失敗でしたね。どちらかといえば絹ごし豆腐を手ごろなサイズの賽の目にして茹でて使ったほうがよかったかな。

 昔のひとはおぼろ豆腐も自分で作ったでしょうし、きっとこんな固まりではなく、一口分くらいのかわいらしいものを用意したんでしょうね。

 今回の料理は卵黄を使って粟に見立てます。ところが豆腐百珍には粟を使って女郎花(おみなえし)に見立てる料理もありまして、それについて著者は「まことに好事家の趣向なるべし」と書いています。わざと別のものに見立てるところがオシャレなんですね。

タグ:豆腐百珍

豆腐百珍:横雲とうふ

三十 横雲とうふ 壱挺をひらに四ツほどにきりて青海苔の細末を厚くふりまた其上へ同しとうふを合せておし豆腐にするなり ○前編[十五]おしとうふの下(ところ)見あはすべし

 横雲とうふは豆腐百珍後編に見える料理です。豆腐・青海苔・豆腐・青海苔……と段々にして切り口を横に長くたなびく雲に見立てたものです。

 前編に「おしとうふ」というのは下記のようなものです。

十五 おし豆腐 布に包み板を斜(ななめ)にして並べのせつぶれぬほどの圧石(おもし)をかけよく水気をしぼり生醤油酒しほ等分にて煮染(にしめ)小口にす

 ようするに豆腐の水切り法を説明しているのですね。豆腐を布巾で包み上に皿をのせて重石にするやり方は今もまったく同じように料理の本に載っています。

 豆腐百珍の前後編には、おしとうふのようにしなさい、という指示があちこちにあるのですが、おそらく重石をして水を切るところまでを参考にしなさいと言ってるんじゃないかと思います。

 たとえば今回の横雲豆腐なんて、層にした状態で煮染めたら、お湯の中でバラけてだめっぽいです。

ファイル 1132-1.jpg
 というわけで、豆腐・青海苔・豆腐・青海苔……の段々を作って重石をして水を切ったのがこれです。

 うー、あんまり美しくありませんね。青海苔は市販の青海苔粉をそのまま使いましたが、すり鉢かなにかでさらに細かく挽いたほうがよかったのかも?

タグ:豆腐百珍

おやつ:堂々引きネキ飴

ファイル 1130-1.jpg
 飴なんですが、ちょっとかわってる。中双糖・水飴・黒糖でできていて、たぶん何度も引き伸ばして空気を入れて、ふわっとしたところをぎゅーっと引いて切ってある感じ? 持ってみると軽くて、口の中にいれるとたちまちとけはじめます。噛むと歯にくっついてしまうので、噛まずにお茶を飲みながら口のなかで溶かしているとウマーという感じです。

◎山屋御飴所HP
http://www.808on-amedokoro.com/
 ここの商品紹介によると、引きネキ飴は10月から翌5月までの季節限定商品らしいです。高温多湿の季節はとけちゃうからですね。今年はもう製造を終えて秋の再会をご期待くださいという感じみたいです。

 わたしは5月の菓遊庵祭り@日本橋三越で買いました。23日までなのでもう終わってますね。

 素朴なお菓子でこれだけで食べるとただ甘いだけなんですが、意外なことに紅茶にあいます。長野県は松本市のお菓子だそうです。

タグ:おやつ

豆腐百珍:松露豆腐(霰豆腐)と釈迦豆腐

 釈迦豆腐、松露豆腐どちらも揚げ豆腐です。

ファイル 1127-1.jpg

九 霰豆腐(あられどうふ) よく水をおししぼり小骰(さい)に切り笊籬(ゐかき)にてふりまはし角とりて油にてさつと煠(あけ)る也 調味好ミしだひ ○少し大きなるを松露(しやうろ)とうふといふ

 小さいのを霰(あられ)、少し大きいのを松露(しょうろ)というそうです。大きさからいうと霰より松露なので後者の名前をとります。

 揚げ物だから水を切ったほうがいいと思い、あらかじめ重しをして水切りしました。それから賽の目に切って、笊(ざる)に入れてふりまわす……うーん、たしかに角は取れるけど、霰や松露を思わせるほど丸くなりませんでした。水切りしたのがいけなかったのでしょうか。しかし水を切らなければ油が跳ねそうですしね。

 とにかく揚げてみたら上の写真のようなものになりました。うーん、苦労してまで作るものかな、これ。「さっと揚げる」くらいじゃただの豆腐なんだよねえ。やっぱりもっと丸くして見た目で勝負しないとダメなんでしょうね。





ファイル 1127-2.jpg

五十三 釈迦とうふ 中骰にきり笊籬(いかき)にてふりまはして角とり葛をあらりと米粒ほどに碎き豆腐に纏しつけ其まゝ煠るなり

 こちらは釈迦豆腐です。やはり籠に入れてふりまわし、角をとるとあります。そこへ、葛を荒くくだいたものをまぶすとありますが……あー、くっつきませんよ、葛の粒が豆腐にくっつきません。やはり豆腐に押しをして水を切ったのがいけなかったでしょうか。

 仕方なくやや水をつけてみると、ついたことはつきましたが、豆腐より手に葛がついてしまいます。もったいないなあ、現代では吉野葛が高いのに。

 それでもなんとかまぶしつけて油に放り込むと……おっ、いけてるかもしれない。葛の粒がぷうっとふくれてカリッとなりました。このつぶつぶがお釈迦様の頭に見えるから釈迦豆腐ですね。

 このまま山椒塩でもつけて食べたらいいのでしょうが、つい出来心で出汁に醤油を少し入れたのに浮かせてみたら…
ファイル 1127-3.jpg
しまった、揚げ出汁豆腐になっちゃったじゃないか! ポイントは豆腐がお釈迦様の頭に見えることなのに、こんな出し方をしてはいけませんね。でも味は最高でした。

タグ:豆腐百珍