記事一覧

和歌山からも柚餅子が来たー

 みなさん、聞いてください。またもや柚餅子(ゆべし)なんですよ。先日、能登の中浦屋ってところの丸柚餅子をいただいて、ついでだからって青梅の勝仙閣ってところの珍味柚餅子も買ってきて紹介しましたよね。

 青梅のを和歌山の美味しいもの担当のひろこ様に送ったところ、ネタにはネタじゃ、これでもくらえー、とばかりに和歌山は龍神村というところの柚べしが送られてきました。なんという柚餅子の応酬でしょう!

ファイル 1224-1.jpg
▲これが和歌山県産の柚べしです。和歌山ではゆうべしとも言うらしいです。和歌山では主にごはんのお供として食べるとか。
http://www.iyashi-kumano.jp/kensyoku/yubesi.html


ファイル 1224-2.jpg
▲開けてみるとこんな感じの黒い物体です。くりぬいた柚子に麦味噌や落花生などをまぜたものを詰めて、蒸してから干したものということです。青梅のと似てますが、それよりちょっとウェットです。


 食べてみると、中浦屋、勝仙閣のどちらとも違って柚子の皮の部分が分厚いです。そして味噌味なんですが青梅のに比べて甘さも強いです。これはこれで美味しい!

 前にも書きましたが、わたしは子供の頃、この味噌系の柚餅子がだいっきらいで、こんな不味いものを誰が食べるんだろうって本気で首をひねってたんですよね。でも、大人になってからこうやって食べ比べてみると、意外にも美味しいので当惑しています。今ちょっと柚餅子マイブーム中です。


◎関連記事:柚餅子よ、わがトラウマフードよ
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1219


ファイル 1224-3.jpg
▲右奥が能登・中浦屋の丸柚餅子(中身はもち米で甘くてほのかに醤油味)、左手前が青梅・勝仙閣の珍味ゆべし(中身は味噌と松の実などのナッツ類)

ファイル 1224-4.jpg
▲手前が中浦屋、奥が勝仙閣、それぞれスライスしたもの。


◎中浦屋(能登)
http://yubeshi.jp/

◎勝仙閣(青梅)
http://yuzunosato-shosenkaku.com/

◎竜神味噌加工組合(和歌山)
http://ryuujinmiso.shop-pro.jp/

タグ:おやつ 食材 郷土料理

柚餅子よ、わがトラウマフードよ

 子供の頃、家に柚餅子(ゆべし)がありました。家の誰かが買ったとは考えにくいので、もらいものだったと思います。

 それがどんなふうに食卓に上ったか、よく思いだせません。ご飯のおかずじゃなかったことは確かです。完全にお菓子だと思って食べたんですから。

 それが柚子の加工品であること、柚子をくりぬいて皮だけをお釜のようにして、中に何かを詰めたものだったことは、はっきり覚えています。それを丸かじり……するわけないので、おそらく切ったのが食卓に上ったはずです。でも、どんな切り方をしてあったのか、思いだそうとすると頭の中に霧がかかって先に進めなくなるのです。

 わたしはその、柚子の加工品を、完全にお菓子だと思って一口食べました。

「げっ、何これ、臭いし、不味い……ぺっ!!!」

 それがわたしと柚餅子の最初の出会いだったのです。

いつの頃からか柚餅子がただのお菓子になってる件について

 時は何十年も流れまして、珍獣様も脱皮や合体を繰り返してすっかりお年ごろの大人に変態しました。大人になってから何度か東北へ行きました。東北へ行くと、柚餅子という名前で餅菓子みたいなものを売ってますよね。

▲たとえばこんなのとか。かんのや の「ゆべし」です。

 ゆべしって、柚餅子のことですよね。でも、かんのやは柚子の香りなんかぜんぜんしない、甘いお菓子です。かんのやに限ったことじゃなくて、ちまたで見かける柚餅子は、みんな甘いお菓子なんです。

 それでふと、子供の頃のことを思いだすわけです。

 昔食べたのは、強烈に柚子臭かった。
 昔食べたのは、甘くなかった。
 昔食べたのは、ズバリ言って味噌味だった。

 あれは一体、なんだったの?!

トラウマフードとの再会

 そんなある日、はてなの id:paluko さまが能登・中浦屋の短冊ゆべしのことをダイアリーに書いてらっしゃったのであります。

◎おや友練馬支部・改:[和菓子]中浦屋「短冊ゆべし」
http://d.hatena.ne.jp/paluko/20111018/p1
 なんと、中浦屋の柚餅子は、お菓子なのに茶わん蒸しの具にしたり、お吸い物に入れたりするっていうじゃないですか!

 これを読んで幼き日の思い出が一気に噴き出し「子供の頃に見たものは、柚子に何かをつめてどうにかしたもので、丸くて黒くてすごく変わった味がしてました。それが大嫌いで、なんでこんな気持ちの悪いものを食べるんだろうって思ってたんです(どんなひどい言い様だ)」と手が勝手にタイピングして送信ボタンを押していたのです。ポチッとな。

 すると慈悲深く親切な paluko さまは「それならこの柚餅子をおたべなさい、家来になるのですよ」と、わたくしに中浦屋の柚餅子を送ってくださったと、そういうわけなのです。


 ただ、ちょっと待ってください。わたしが子供の頃に食べた柚餅子は、中浦屋のとも違うんです。

http://yubeshi.jp/shop/yubeshi/maru-yubeshi/post-2.html
 この説明によると、中浦屋の柚餅子には砂糖や水あめが入ってますよね。醤油も入ってますが、順番が最後なので、甘さのほうが勝ってると想像します。中身はもち米だそうですし、たぶんそれほど理解不能な味じゃないと思います。

 それで、せっかくだから、幼き日に食べた、あの黒くて丸くて柚子臭くて味噌味で、思わずペッてなっちゃう柚餅子をどっかで調達してこようと考えたわけです。

 題して「柚餅子をたずねて約二時間、東京都青梅市でトラウマフードを探せ!」計画が発動したのです!!!

 いや、ただ検索してみたら青梅市の沢井ってところで昔食べたみたいな柚餅子を作ってるところを見つけたから買いに行っちゃっただけなんですけどね、えへ。

◎青梅プチ旅行
http://d.hatena.ne.jp/chinjuh/20111022
 そのときの道中記はここの書きました。柚餅子を作ってるのは「ゆずの里・勝仙閣」という料亭旅館です。事前にメールで在庫を問い合わせたら、わざわざ買いに来る人がめずらしかったのか、旅館の人がいろんなこと教えてくれました。

これが丸柚餅子だ

ファイル 1219-1.jpg
▲これが paluko さまから戴いた中浦屋の柚餅子です。公式サイトによると、砂糖・水あめ・醤油などで味付けしたもち米を、柚子釜に詰めて、蒸して干したものだそうです。


ファイル 1219-2.jpg
▲そしてこの写真の手前のやつが、青梅の勝仙閣まで買いに行った味噌入りの柚餅子です。柚子釜に八丁味噌、松の実、胡桃、胡麻、八味ゆずを詰めて、蒸してから干したものだそうです。中身は違うものの製法は中浦屋のとほぼ同じです。


ファイル 1219-3.jpg
▲切ってみました。手前が中浦屋で、右奥のサラミみたいなやつが勝仙閣です。写真撮ってる間も柚子の香りがすごいです。

 あ、そうだ、申し遅れましたが、わたくしは子供の頃、柚子の香りが大っきらいだったのでございます(あくまで子供の頃の話で今は好きです)。あの頃だったらこの香りだけで逃げたかもしれません。

実食:中浦屋編

 それでは食べてみます。ドキドキするなー。
 まずは中浦屋のやつからね。
 もぐもぐ……

 うん、これは普通かな(っておい)。美味しいです。味は御手洗団子のたれみたいな感じ。甘くて醤油味。お菓子というほど甘くはないけど、充分にお菓子として理解できます。

 っていうかですね、このお菓子っぽいやつをお吸い物や茶わん蒸しにするんですか? なんかそのほうが意外。もっとしょっぱいのかと思ってた。

 触感は中津川のからすみに似てます。からすみより少し柔らかいかな。

http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=824
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1218
 中津川のからすみについては、この辺読んでください。

 中浦屋のを料理に使うんだったら、もしかしたら中津川のカラスミも料理に使ったりする?? しないかな。こっちはほんとにしっかり甘いから。


[追記]
 その後何度か食べてみると、「御手洗団子のたれ」っていうのはかなり違うなと思いました。けっこう甘いです。遠くかすかに醤油の香ばしさがあります。

 そしてしっかり柚子の感じが残ってます。キンカンをかじると舌がピリッとして苦味がありますね。柚子の皮の部分はそれに似てます。

[追記2]
 茶わん蒸しにして食べてみました。蒸すととろりととけて卵とからみあい、柚子の香りがただよって悪くなかったです。椎茸や銀杏とともに薄切りにして少量入れたのでかろうじてご飯のお供でしたが、もし沢山入れたら甘いのでプリンのようになるかもしれません。それはそれでデザートとして美味しそう。


実食:勝仙閣編

 じゃ、次は勝仙閣のを。
 ぱくっ、もぐもぐ……

 うー、
 あー、
 ええと……あれ?

 なんだ、美味しいや(おいおい)。
 不味い、ペッってなるのもネタのうちだと思ってたけど、月日って珍獣様の味覚をも変えるんですね。

 これは確かに子供の頃に食べたのと同じタイプのものだと思います。強烈に柚子の香りがして、味は完全に八丁味噌。カツオ節の匂いもします。子供の頃に食べたのは、もしかするとさらに砂糖が入って甘みそ味だったかもしれません(甘くなかったと書いたような気もするけど、そもそも記憶があやふやなもので)。

 でも、勝仙閣のはお菓子ではないですね。完全に珍味。酒の肴やご飯のお供にするものだと思います。まあ、お茶菓子がわりに漬け物を食べる人もいるから、丸柚餅子だっていけなくはないですけど。

 子供の頃にペッペッっとなったのは、お菓子だと思って食べたら味噌味だったのに驚いたのかもしれません。子供は理解できないものを不味い、嫌い、恐いって表現しますからねえ。

 先に書いたとおり、子供の頃は柚子の香りが大嫌いで柚子味噌田楽なんか泣くほどイヤでした。なぜかわからないんですが、柚子の香りをかぐと紙の匂いを思い出すんです。柑橘のいい香りの向こう側から、昔の電車の水飲み場に置いてあった臭い紙コップのにおいがしてくるんです。

 実は勝仙閣の丸柚餅子をじっくり味わうと、今でも紙コップ臭がほのかに鼻に残るんです。これは柚餅子のせいじゃなくて、わたしの鼻が何かを紙と誤認するんだと思います。

 でも、子供の頃にくらべて味や香りの許容範囲が広がってますからそんなの全然問題なくなってました。トラウマあっさり解消です。味噌入りの丸柚餅子、おいしいじゃないですか。
ファイル 1219-4.jpg

◎ゆずの里・勝仙閣(トップページ)
http://yuzunosato-shosenkaku.com/
◎江戸の珍味!丸柚餅子(通販)
http://yuzunosato-shosenkaku.com/SHOP/T007.html
 勝仙閣は東京都青梅市にありますが、多摩川の上流にあって東京とは思えないような山深いところです。なかなかいいところでしたよ。

忍法・丸柚餅子返しの術

 ちなみに、このままでは家来にされてしまうので、palukoさまには勝仙閣のゆべしを送っておきました。あと、和歌山のおいしいもの担当 ひろこ様にも送り付けといたので後はよろしくお願いします(笑)

[追記]和歌山の柚餅子もいただきました
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1224

タグ:おやつ 食材 郷土料理

コメント一覧

ひろこ (10/27 17:51) 編集・削除

ん、届きました。

しばらく寝かして、ちょっとあれこれするので、
まあその内に。

珍獣ららむ〜 (10/28 06:21) 編集・削除

へーい、ゆっくり堪能してください。
賞味期限来年の春までですから余裕ありまくりです(笑)

長野ってやっぱり面白い・食材編

 長野旅行記をどんどんやってしまわないといけません。
 去年おとずれた伊那市でもスーパーが面白かったので、今回の飯田市でも某スーパーに入ってみました。

ファイル 1162-1.jpg
▲お約束の昆虫食。イナゴの佃煮です。

 イナゴは東京でも食べますが、普通のスーパーには滅多になくて、たいてい佃煮の専門店にあります。長野だと普通にスーパーマーケットで売ってるんですよね。250g で 690円でした。普段食べないとピンとこないでしょうが、これはけっこう安いと思います。柴又あたりの佃煮屋さんで買うと、100g で 600円くらいしちゃいますから。日常的に食べるので安いんでしょうね。

ファイル 1162-2.jpg
▲こちらは蚕の蛹の佃煮です。いいなあ、普通にこんなのがスーパーにあって。蚕の佃煮は自分で作らないと、東京じゃあんまりお目にかからないんですよねえ。あるところにはあるんでしょうけど。

 面白いのは群馬県産だと大きく書いてある点です。イナゴには特になんとも書いてないので、何か理由があって産地を明記しているんです。群馬県産が蚕のブランドとして高級だから主張しているのでしょうか。はたまた良品は長野県産であって他県産はダメだという人がいるからでしょうか。とりあえずメーカーは長野県内の会社みたいでした。120g で 315円也。


 たまたま入ったこのスーパーには、このようなお総菜の昆虫料理はありましたが、伊那市で見たような缶入りの蜂の子などはありませんでした。他の店はみつからなかったので、飯田市全般の傾向なのかはちょっとわかりません。


ファイル 1162-3.jpg
▲粉豆腐?!

 こちらは豆腐ですが、乾燥してて粉なんです。どうやら高野豆腐の粉なんです。長野県内では高野豆腐をすごく食べるらしくて、折れたり欠けたりした半端な高野豆腐を粉にして使うんだそうです。160g 入りの袋が 168円でした。

 使い方は、おからのように野菜と一緒に煮たり、卵とじに入れたり、小麦粉の代わりに使ったりするようです。

◎旭松食品:こうや豆腐の基本
http://www.asahimatsu.co.jp/himitsu/koya_kihon.html

ファイル 1162-4.jpg
▲この棚全部、高野豆腐です。

 いろんなメーカーのものがあるし、小さく切ったのや、大きいのや、大量に箱入りになってるのやらが置いてあります。箱入りのなんか信じられない量です。それが、この棚以外に通路に山積みになっていたりして、ただただ唖然としてしまいます。みんなどれだけ高野豆腐を食べているんでしょう。

ファイル 1162-5.jpg
▲丸いか(塩イカ)
 
 長野には海がないのですが、塩ゆでにしたイカをよく食べるそうです。日本全国から新鮮なものが来るようになった現在でも、生とは味が違うので、わざわざ塩ゆでにしたものを食べているのだとか。メーカーは福井県の会社で、一袋に二杯入って 598円でした。

 かなり濃く塩味がついてて、2時間くらい水につけて塩抜きをしてから輪切りにして使います。いろんな食べ方はあるでしょうが、塩もみキュウリと一緒に酒粕和えにしたのが美味しかったです。2時間程度の塩ぬきでは塩気が完全に抜けないので、味付けは酒粕と砂糖だけにするのがコツ。さらしタマネギと一緒にマヨネーズ和えにしたのも美味しかったです。

タグ:2011年7月長野旅行 食材

クマ肉

ファイル 1160-1.jpg
▲そしてこれが、スズキヤで買った熊肉です。通称:熊ジンといってジンギスカン用に味付けされている肉です。味のついてないのもあったんですがけっこう高くて手が出ませんでした。

ファイル 1160-2.jpg
▲出してみました。かたまり肉みたいに見えますが、薄切りになったのが圧縮されてるだけです。肉が黒っぽくて、ちょっとクジラみたいでしょう?


ファイル 1160-3.jpg
▲炒めてみました。味はついてるのでそのままで。もうね、最高。熊最高、そんな餌に釣られるクマー。熊が餌なら、わたし釣られます。だって美味しいんだもん。うま味も香りも濃いんです。とくに脂身がすばらしい。


ファイル 1160-4.jpg
▲野菜と一緒に熊汁にしてみました。これも美味しかったなあ。ジンギスカン用の味付けはそのまま活かして、少しだけ塩・コショウで味を足しました。出汁は熊だけです。これも美味しくて、食べちゃうのもったいないって思いましたよ。


 あー、長野いいところだなー。また行こう、長野県。

タグ:2011年7月長野旅行 食材

シカ肉

ファイル 1159-1.jpg
▲スズキヤで買った鹿肉です。昔からあのあたりでは鹿肉を刺し身で食べたそうです。これも刺し身用に管理して売ってるものだそうですが、例の事件後きびしくなって、刺し身と言えないので「叩き用」として売ってるそうです。


ファイル 1159-2.jpg
▲不精してパックから出さずに肉の部分を接写。部位はわかりませんが脂肪の少ない赤身の部分です。


ファイル 1159-3.jpg
▲軽く焼いてみました。凍ってるうちに持ち帰れたら本当に刺し身にするんですが、残念ながら解けちゃいましたし、薄切りにしてからレアな感じに焼いてみました。これも美味しかったなー。ウシに似てるけどもっと繊細な感じです。獣臭さはあんまりなくて、どっちかていうとウシのほうが匂いがあるような気もします。

 鹿も毎年かなりの数が駆除されてるみたいなので、無駄にせず食べたらいいのになって思います。でもきっと、ブタのように安くはできないから、結局あまり売れないのかもしれませんね。長野の山奥でだけ食べられる珍味にしておいたほうがいいのかな。

タグ:2011年7月長野旅行 食材

トラックバック一覧