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飛行船(今度は料理じゃなくて)

 小さい頃に鯉のぼりの顔みたいなペインティングの飛行船を見た。保育園の園内放送で園長先生が「みなさん、お庭に出てください。ユーフォーが飛んできましたよ」だなんて、子供だましのアナウンスとかしちゃったりして、みんなで外に出たら飛んでた。

 白い機体に赤や黄色の鮮やかな模様。目玉みたいな黒い●が書いてあって、UFOというより鯉のぼりだと思った。というか、UFOの意味をよくわかっていなかったので、ああいう形でああいう模様をしているのがUFOで、ヒコウセンというものの別名がUFOなんだと思いこんでしばらく過ごしたような気がする。

 翌日の新聞に写真入りで大きく報じられて、その当時の新聞なので白黒写真なんだけど、前日に見た鮮やかな色をはっきり思い出して、なんだかカラー写真を見てるみたいだった。そして、大人が大騒ぎしているのだから、UFOというのはそうとう珍しいものなんだとわけのわからない納得をした。園長がよけいなことを言うから悪いんだぞー。

 それがわたしの初飛行船で、そうとう印象深かったと見えて、三十年以上たっているのにどんな感じの模様だったか思い出せそうなくらいハッキリ記憶に残ってる。ただ、誰が飛ばしたものなのか今まで調べてみたことはなかった。こういうのはインターネット時代ならあっという間に調べがつくけれど、そうでないと昔の新聞をはしから読むとかしないと調べがつかないものだし、そうまでして調べるほどの興味があったわけでもないし。

ファイル 78-1.jpg
▲こんな模様で、社名などのロゴは入っていなかったと思う
記憶にある空は青くはなく、曇っていたような気がする。

 今ならたぶん、調べがついちゃうんだろうと思う。30年以上昔とはいえ、飛行船なんてそう沢山あるものじゃないし、当時新聞に載ったということは、なにか大きなイベント関係である可能性は高いから。

 前から漠然と思っていたことだけど、記憶にある飛行船の模様が太陽の塔に似てる。ということは大阪万博関係? ちょっと調べてみた。万博は70年。群馬で見たので72~73年くらいじゃなきゃいけないから年代があわない。

 じゃあ「岡本太郎 飛行船」でどうだ。

 あった。画像検索の一枚目。ネタにもならんほど記憶通りだ……もうすこしボケろってば、わたし。

 名前はレインボー号で、やはり岡本太郎デザインだった。飛んだのは73年。ぴったりだ。さらに明日への神話再生プロジェクトの日記によると、最初はスポンサーのロゴが入っていたが「大空はみんなのものだ。そこに広告を入れて飛ばすなんてけしからん!」と太郎氏が怒ったので、スポンサーが快くロゴを消してくれたと。どこにもロゴがない飛行船を見て、「あれはどこの会社の飛行船だ」とかえって話題になったと書いてある。そう、そんな感じ。翌日の新聞報道や大人の反応が醸し出していた空気と同じ匂いがするエピソードだ。

 正体があっさりわかってしまい、すっきりしたかというとかえってつまらない。わたしとしては正体不明のUFOで、みなさん情報をお持ちではありませんかと書きたかった。なんならたまっているポイントを使ってはてなの人力検索にかけてもよかったのに。世の中便利すぎる。こういうどうでもいいことはわかりたくなかった(笑)


ニッセンのスマイル号
 先日ひさしぶりに飛行船を見た。ニッセンがチャリティーキャンペーン用に飛ばしているスマイル号。記憶の飛行船には音がついていない。聞こえていたけれど覚えていないだけかもしれない。スマイル号はうるさかった。ヘリコプター並みに騒々しいプロペラ音がした。

タグ:群馬

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  • 2007年06月05日(火)15時44分
  • 日記

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