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珍獣の食卓wiki「ダイズ(臭豆腐・干豆腐)」写真 - マメの加工品 豆の加工品 大豆の加工品 ダイズの加工品 とうふ 豆腐 トウフ 中国 台湾

マメの加工品 豆の加工品 大豆の加工品 ダイズの加工品 とうふ 豆腐 トウフ 中国 台湾


 二種類の臭豆腐。左の袋に入ったのが台湾のもので、 鍋料理用らしく「臭臭鍋」という商品名がついている。 右の瓶入りは大陸中国の北京産で、日本の中国食材店では瓶入りのものをよく見る。

臭豆腐(台湾産)


 これが台湾産の臭豆腐。袋に深坑名物と書いてあります。深坑は台湾の地名です。 楽天市場の台湾食材屋さんで購入しました。一袋 1260円+送料 250円也。こりゃ日本で買うと高級品ですな。 通販サイトには臭い豆腐であると書いてあったけれど、 見た目は水分が少ない豆腐がタレにつかったものにしか見えないし、 別ににおわないんですけどね?  豆腐自体もタレにつかってますが、鍋用の汁の素が小袋でついてました。なにやら辛そうな赤い汁です。


 切ってみると、切り口は白くてタレは中まで染みてはいない様子。

 以前、台湾の女の子がうちのサイトに遊びに来ていた頃、ひょんなことで臭豆腐の話が出たんですよ。 わたしは北京産の瓶入りのものしか知らなかったので、 腐乳がもっと発酵して臭くなったもの という程度の認識で話してた。腐乳というのは豆腐を発酵させて作ったもので、クリームチーズのような食感です。 臭豆腐と同じように瓶詰めで売られています(リンク先に写真がありますからどうぞ。ドメイン違いますけど、わたしが昔作ったページです)。

 そしたら彼女が「腐乳と臭豆腐は違います。臭豆腐は揚げ物にして食べますよ。わたしは今朝も食べました」なんて言い出すんですよ。 どう違うのか食べてみたかったんですけど、お茶以外の台湾食材を売る店はありそうであまりなく、 結局、今の今まで食べたことがありませんでした。

 そんなこんなで時は流れ、フツーの人がフツーにインターネットとかやっちゃってる現在、 検索したら楽天にあったから注文してみたっていうわけなんですよ。 あら便利な世の中になりましたね。と、なぜか棒読みだったりするわたくしですが、それはこっちへおいといて、 台湾の臭豆腐です。どのように食べたらいいでしょう。

 まずは小さく切って生のままかじってみたんですけどね。うーん、別に? 普通に豆腐のような気がする。遠くはるか彼方に酸味を感じるので、いくらか発酵してるかもしれません。

 次に袋に書いてある説明を読みました。

使用説明
(1) 600~1000cc の水を鍋に入れる。
(2) 具は、好きなものをなんでもいれて良い。たとえばシイタケ、エノキダケ、白菜……など。
(3) 一切れの豆腐を四つに切り分けて、汁の素とともにすべて鍋に入れて、沸騰するのを待ってから、火を弱めて15~20分すれば食べられる。

 たぶんこんなですよ。こんなことが書いてありました。で、やってみたんですけど、普通に豆腐入りの鍋でした。美味しいですが、フツーです。なんのインパクトもありません。写真も撮りましたがフツーだし見てくれが悪いのでパス。

 炒め物にもしてみました。冷蔵庫にあるものを適当に刻んで炒めたのですが……

 これまた激しく見てくれが悪いです。炒め物を写真に写した時に美味しく見えるように作るのは難しいのです。写真がまずそうなのは伝統なのでもう開き直っちゃっています。別に平気です。はいはい。

 肝心の味ですが、これまたフツーですよ。炒めたところで臭くもないし、なんの面白みもありません。1200円もした高級珍食材なのに、どうしたもんかと(笑)

 そして最後に揚げ物に挑戦してみたんですけどね……

 これだ!

 これですよ、これ、これ!!

 なんだ、美味しいじゃないですか。台湾の臭豆腐は揚げるととっても美味しいです。 生でかじった時に酸味を感じるって言いましたよね。それが、揚げると良い具合の旨味になるようです。 これはいいですね。でも1200円は高い。

 ともあれ、台湾の臭豆腐は、確かに腐乳とは全然別のものでした。揚げ物にするとウマイのです。数年来の疑問が晴れました。

 で、どの辺が「臭」なの? ちっともにおいませんよ?

# 台湾の臭豆腐はメーカーによって匂いがまるで違うらしいです。わたしが購入したのはホントに匂わなかったんですけど、ものによっては堆肥のような匂いがするそうです。 2008年11月16日放映の日本テレビ「世界の果てまでイッテQ!」でベッキーが台湾夜市の臭豆腐を食べていましたが、道を歩いていても屋台からの匂いが臭いといっており、スタジオでも強烈な匂いであると言っていました。 タレントのオーバーなリアクションをさっぴいて考えても臭そうだったので、わたしが食べたのよりもっと臭いものが存在するのでしょう。かなり気になります。台湾産の正しく臭い臭豆腐は手に入らないのでしょうか。 ちなみに、ベッキーは臭いけど美味しい!と言ってました。

台湾産の臭豆腐を食べてみたい方はこちらで通信販売しています
楽天市場内・台湾食材の宝島「臭豆腐(台湾産)」
税込 1260円で送料が別途かかります(2008年6月現在)。これだけ買う場合は備考欄に250エクスプレスでと指定すると安く届きます。

 ところで、台湾の臭豆腐を食べて何かに似てるって思ったんですよ。まあ、原材料は豆腐なので、よく水切りした木綿豆腐に似てるのは確かなんですが、そういうんじゃなく、中国食材の……あ、そうそう。干豆腐!

干豆腐(看到福)、百頁、千張

 これは、ずいぶん前に中国食材店で買ったものです。 そうそう、思い出しました。その時もわたしは台湾の臭豆腐を探していて、 お店の人にたずねたら「豆腐ならこれ。これで大丈夫」というので、 内心「違うだろ」と思いながら買ったんです。豆腐なんですが、クレープみたいに薄いんです。

 写真のものは干豆腐という商品名で、看到福というのは同じ発音の漢字をあてた縁起担ぎです。 豆腐干とも呼ばれています。5枚入りで、わたしが買った店では400円くらいでした。

 これを作ってるメーカーがそうとう頑張ってるらしく、横浜中華街へ行くとどこの店にも目立つところにあったりします。 昔はみかけなかったので、最近の食べ物なのかもしれません(少なくとも日本では)。


ほら、こんな感じ。丸めたり折りたたんだり、自由自在です。


これは表面をマクロ撮影して、わかりやすいようにいくらかコントラストを変えました。実際はこんなに小汚くはないです。木綿豆腐みたいなデコボコがあるのを見てほしかったのです。


パッケージの裏に食べ方がかいてあります。切って茹でたものを野菜と一緒に炒めてとろみを付けるんですって。

 書いてある食べ方もしてみましたが、きわめて普通の豆腐でした。水分が少なくて、クレープ状に薄いだけです。台湾の臭豆腐を食べて思い出したくらいだから食感は似てます。でも、臭豆腐みたいに発酵はしていません。

 せっかくだからこんなのを作ってみました。茹でた野菜を巻いて揚げてみたのです。素揚げにしたら固くてちょーっと食べにくかったのですが、軽く衣でもつけて揚げるといいかもしれません。薄切りにして豆腐うどん、細切りにして茹でてからハムの代わりにサラダに入れたり、楽しみ方は色々です。

[追記]
 柴田書店『中国食物辞典』によると、この薄っぺらい干豆腐のことを、特に百頁(ばいいえ)と呼ぶそうである。木箱の底に目の粗い布を敷いたところへ豆腐脳を薄く流し込み、その上にまた布を敷いて豆腐脳を流し……と十回ほど繰り返し、上から押しつけて水を抜いて作るそうだ。豆腐脳というのは豆乳ににがりを打っただけのもので、水と固形分にゆるく分離したじょうたいのものである。
 また、豆腐干というのは、百頁とは別の作り方をするもので、固い豆腐を厚めに切って、紅茶汁や茶汁に漬け込んで染めて乾燥させ、さらに香辛料で味をつけたり、燻製にするなどしたものだという。茶汁で色をつけない白っぽいものもある。

臭豆腐(中国北京産)

 さてみなさん、北京の臭豆腐ですよ。中国食材店に並んでいることがあるので、見たことくらいならあるって人が多いのでは。 腐乳は好きで買ってたことがあるんですけど、臭豆腐は横目で見ながら「美味しいのかなあ?」と首をひねるばかりで、これまで手を出したことがありませんでした。

 それがつい最近シュールストレミング缶を食べて「臭いけど、美味しいですよ?」と冷めた発言をしていたら、「臭豆腐はどうですか」という挑戦をうけまして、 なんでもシュールストレミング缶なんかよりずっと臭いってことじゃありませんか。 そこまで言われると食べてみなきゃって思ったわけですよ。

 それで、まあ台湾のを通販するから一緒に買えないかと思って探したのですが、 あらま、通販してる店がみつからない。ひょっとして瓶が割れた時のトラブルを恐れて 通販を控えているのかなあとも思うんですが、フルーツの瓶詰めだって割れたらけっこう迷惑ですよ。 たぶん、ほしがる人なんかろくにいないってことなんでしょうね。

 というわけで、写真のものは御徒町の某店で買いました。通販では見かけないけど、特別に珍しいわけでもないから買える場所は沢山ありそうです。値段は……あ、しまったメモしてない。たしか400~600円くらいだったと思います。高くはありません。

 それにしても、この雑巾色の液体は一体なんなんでしょう。 説明もなく渡されたら「腐ってる!」といって突っ返してしまいそうです。

 能書きはこれくらいにして開けてみましょうね。 瓶詰めなので、シュール缶みたいに汁が噴いたりはしないでしょうけど、 手をすべらせてこぼしたら大変です。うーんうーん、よいしょっと、開きました。 なんとか無事に開けられました。

 ほー、確かにこれは、臭いですよ。うん、クサイ。 一言で説明すると、どぶ川のヘドロのにおいですかね。 温泉の匂いにも似てます。卵が腐ったみたいな匂いってよく言うじゃないですか。 知らずに開けたら絶対に食べませんね。あきらかに腐ってますよ、これ。

 でも、うーん、まあこのくらいのニオイならたえられないほどじゃないなあ。思ったほど大したことないかも?

 出してみました。とても柔らかいので箸でつかもうとするとクニュっと崩れてしまいそうです。 ゼリー状の皮のようなものがついていますが……ああ、これは小麦粉の衣ですね。 原材料に「大豆・食塩・小麦粉・アルコール」とあるので、豆腐に小麦粉で衣をつけたのを漬けたんでしょう。

 崩してみると……うふふふ、見事に中まで雑巾色です。 知らなかったら「日本人をなめるな!!」って叫んでしまいそう。 でも、これで普通らしいんですよ。

 においは大したことないって書きましたが、撮影中にハエがかぎつけてどこからともなく集まってきたのには驚きました。 うっかり追い払っちゃったんですが、ネタ的にはハエにたかられてるのを写したほうがよかったでしょうか。 ほんと、あきらかに臭豆腐めがけてまっすぐ飛んでくるので大笑いですよ。 虫ってすごいですね。シュール缶を開けたときも、糞虫の一種であるオオセンチコガネが集まってきたけれど、 虫たちは本当にニオイに敏感です。

 一口食べてみました。

 ネタ的にはうげーって言いたいところですが、ごめんなさい、平気っていうか気に入ってしまいました。これ美味しいですよ? すっごく塩辛いです。だから沢山は食べられない。これ一個あったらご飯を茶碗で四杯は余裕でしょう。 においは確かにすごいんです。口に入れて鼻に息を抜くと、えもいわれぬヘドロ臭がします。でも、なんとも言えない旨味があるじゃないですか。豆腐って発酵するとこんなに旨味が出るんですね。

 どんな食べ方をするのがいいかと悩むところですが、やっぱり炊きたての白いご飯にのっけて食べるのが一番みたい。塩辛いのでこれ自体を何かの料理にするというのは難しいです。

 茹でたエリンギを、漬け汁であえてみました。旨味が素直に出て意外とイケますよ。くさいけどね。

 というわけで、臭豆腐も制覇しました。わたしゃ何処へ行っても暮らせそうな気がします。

臭豆腐の由来

 ところで、臭豆腐には誕生秘話を伝える伝説があります。康煕帝の八年といいますから、今からざっと三百四十年ほど前のこと。王という人が北京で科挙の試験を受けました。ところが落ちちゃったんですね。科挙というのはとてつもなく難しいので有名な試験で、これに合格すると偉い役人になってウハウハらしいです。彼の故郷は北京からとおい田舎にあって、当時のことですから簡単には帰れません。それに、まだ科挙の試験をあきらめきれなかったので、北京で商売をすることにしました。彼の実家は豆腐屋だったので、小さい頃から豆腐の作り方をしこまれていたのです。

 そこで、有り金をはたいて大豆を買い、豆腐を作って売り歩いたのですが、豆腐なんかでそうそう簡単には儲かりません。そのうち夏になり、売れ残った豆腐に黴(かび)が生え始めるのですね。

 あ、そこの人、豆腐に黴ってところで引いてはいけません。中国の豆腐は日本のと違うらしいですよ。水分が少なくててガッツリ固くて、荒縄でしばって持ち歩けるようなやつらしいです。日持ちがするのでその日に売り切るようなものじゃなかったみたいです。しかし、黴びてしまっては売れないので、どうにか豆腐を長持ちさせる方法はないかと考えて、賽の目に切って陰干しして乾かしたのを、塩辛い漬け汁で漬けてみたそうです。

 それから彼は、仕事を土用休み(夏休み)にして、また試験勉強をはじめました。勉強にはげんでいるうちに豆腐を漬けたことをすっかり忘れて秋になりました。彼がもう一度商売を始めようとした時、豆腐を漬けたのを思い出して瓶をあけてみると、酷く臭くて、漬け汁も豆腐も青みがかった灰色になっています。けれど、臭気の中によい香りがするのに気づいて食べてみたところ、非常に美味しくなっているではありませんか。そこで、町の人たちに試食してもらったところ、その美味しさに皆びっくり。誰もが賞賛したということです。

 さて、王さんはそれからも科挙の試験に挑戦しましたが、とうとう合格はできませんでした。彼は勉強をやめて商売に打ち込むことにしました。臭豆腐を作って売ったところ、値段も安く、ご飯のおかずに最適ということで、低収入の労働者に大評判になりました。その後改良も加えられ、現在のような臭豆腐になり、その評判がついには宮廷にまで届き、皇太后陛下のお口に入ることになります。陛下は臭豆腐をいたくお気に召しましたが、名前に品がないことを嘆いて、「青灰色だから、これからは青方と呼びなさい」とおっしゃいました。

 これが臭豆腐誕生の伝説です。参考>臭豆腐的由来・百度百科(中国語)

腐乳

 そして、これが腐乳です。詳細は昔の記事をどうぞ

[追記]
 腐乳にも種類がある。紅方、紅豆腐乳と呼ばれるのは紅麹入りで赤い。香糟腐乳は酒粕入り、酔方は酒入り、玫瑰紅腐乳はハマナス入りだそうだ。また、広東では腐乳のことを南乳と呼ぶなど、異名も多いとのこと。調味料としても使うので、醤豆腐とも。


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