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「ぐんまの絹」展

 さすがにセミの声もさびしくなってきましたよ。町中では晴れて気温が上がるとツクツクホウシが鳴く程度で、他のセミの声は聞きません。日が暮れるとエンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、アオマツムシなどの秋の虫が目立って鳴き始めます。今日(21日)は雨降りで雨音しか聞こえません。

ぐんまちゃん家の「ぐんまの絹」展を見てきました

 ぐんまちゃん家というのは銀座にある群馬のアンテナショップの名前。そこで22日まで「ぐんまの絹」という展示即売会をやってます。家蚕や天蚕の繭から作ったものを展示してます。シルクのニット製品や、スカーフ、アクセサリー、絹100%のタオルなんかが来てました。

 どれも高級品でとても手が出ないような値段がついているんだけれど、絹のタオルは1500円だったので買ってみました。絹なのに、ちゃんとパイル織りになっていて、手で握ると粉雪を踏みしめたような音がします。いわゆる絹なりというやつ。とても繊細でささくれだった手で触るとすぐにほつれてダメになりそう。さんざん眺めて楽しんだ後に、大胆に顔ふいてみようと思います。

 先日、天蚕の糸取り体験に申し込んだ工房も天蚕製品の展示をしてました(この展示があるので9月の体験は延期になったのです)。わたしが行った時は工房の人は来ていなかったんだけど、店番をしている人がやっぱり天蚕に興味があって工房によく遊びに行くとかで「天蚕はかわいいですよねー」と言ったらすっかり意気投合してしまい、いろんな話をしてくれました。

  • 『グスコーブドリの伝記』に出てくるテグスは、天蚕じゃなく柞蚕(サクサン)の可能性も高い。
  • 柞蚕は戦前に中国から持ち込まれて、一時期さかんに飼育されていた。そのわりに野性の柞蚕が日本にいないのは、みんな不思議だと言うけれど、理由はよくわかっていない。
  • 満州では柞蚕の蛹を油で揚げて食べる。成虫も翅をとって揚げて食べる。
  • 天蚕の糸はきれいな緑色だけど、柞蚕のは褐色。
  • 天蚕よりも柞蚕のほうが飼いやすい。天蚕は一年に一度しか発生しないが、柞蚕は一年に二度発生する。
  • 埼玉の繭糸試験場のようなところ(正式名称がよくわからない)で柞蚕の飼育をしている。天蚕とかけあわせる研究もされている。
  • 天蚕は芋虫なのに水を飲む。
  • 天蚕は喧嘩をする。
  • 天蚕の繭は家蚕のより薄い。糸も切れやすくて紡ぐのは難しい。

 中之条の工房では「実際にこれと同じものを作るんですよ」とスカーフを見せてくれました。真綿を紡いで作ったと思われる太い糸でザックリ織ったもので、天蚕特有の薄い緑色をしています。買ったら数万円するはずですよと言うので値札を見たら53000円とか書いてあって、うわーうわーうわー(もう言葉になってない)。

 そんなこんなで、ますます見に行きたくなってしまったので、10月か、11月か、なるべく近いうちに予定を組んで、改めて糸取り体験をしにいく予定です。

ファイル 444-1.jpg
▲絹のタオル、絹のハンカチ、化粧水用の繭、天蚕の繭
 ハンカチはタオルを買ったらオマケにくれました。天蚕の繭も売り物だったみたいなんですが、糸取り体験に申し込んだという話をしたら一個お持ち下さいってタダでくれました。化粧水曜の繭は招待状を持ってる人に配ってました。このほかに「くわっ茶」という桑の葉茶のペットボトルもあったんですが、写真を撮る前に飲んでしまいました。

ファイル 444-2.jpg
▲絹100%のタオル
 すばらしい手触りです。手ぬぐいじゃなく、ホントにタオル地なのがすごいでしょ? これとは別に、太い糸で粗く織ったバスタオルもありました。そっちは皇太子ご夫妻が視察にこられたときに大層気に入られて十枚ほどお買い上げになったそうです。


 ぐんまの絹展は、明日22日までです。


◎ぐんまちゃん家公式サイト
http://www.kikaku.pref.gunma.jp/g-info/

タグ:カイコ 群馬

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Sari 2008年09月22日(月)08時16分 編集・削除

楽しそうでしたね^^
絹のタオルは祖母が、顔の産毛が取れて美人になると言って使ってました。
しわだらけだったのに(笑

私も絹だか繭のくずみたいなのを固めて乾燥した塊に紐が付いている洗顔用のものを使っていたのですが、どこへ行ったやら(^^;)
(お湯で戻すとぷにぷにのスポンジのようになるんです)

珍獣ららむ~ 2008年09月22日(月)12時03分 編集・削除

 かなり小さなところで、デパートの催事場のようなものを想像してしまうと「なんだこれ?」で終わってしまいそうでしたが、店の人の話はすっごく面白かったです。

 戦前に中国から持ち込まれた柞蚕を、秩父の試験場みたいなところで飼ってるので、見たかったら見学させてもらうといいですよと教えてもらったんですが、柞蚕やサクサンで検索すると、うちとかbugeaterさんちとかがヒットしてしまい、それ以外だと確実にここで飼育してる、みたいな情報が出てこないんですよねー。食用の蛹はうちの冷蔵庫にも入っているけど、生きた成虫や幼虫を見てみたいです。どこの試験場のことを言ってるんだろう。

さよ 2008年09月22日(月)13時23分 編集・削除

こんにちは。
ぐんまの絹展、行かれたのですね。近ければ行きたかったです。
天蚕が水を飲んだり喧嘩をしたりって、私みたいな部外者には楽しい情報です(笑)。想像すると可愛い。
先週17日のお昼のNHKの番組で紹介されてたのは、蚕糸館さんだったようですね。榛東村の桑畑が広くて、羨ましかったです。

秩父もいいですねえ(^^)。昔は蚕業試験場秩父支場、繊維工業試験場秩父支場というのがあったみたいですが、今もあるのかな? もしかして銘仙館とかで柞蚕や試験場のことも分かるかもしれないですね。
・ちちぶ銘仙館  http://www.meisenkan.com/
(埼玉県農林部生産振興課特産物のページ:ここからのリンク先に生糸や道具の写真がありました ttp://www.pref.saitama.lg.jp/A06/BQ00/tokusan/tokusan.htm
座繰機も幾つかありましたが、珍獣様のと似てるのはこれでしょうか…? ttp://www.pref.saitama.lg.jp/A06/BQ00/tokusan/silk/0164.html)

Sari 2008年09月22日(月)16時22分 編集・削除

ここで見られるのかな~・・・
http://papilio.ab.a.u-tokyo.ac.jp/temp/yume/panel.html

珍獣ららむ~ 2008年09月23日(火)12時04分 編集・削除

 さよさん、ありがとうございます。蚕業試験場秩父支場は埼玉県農林総合研究センターになって熊谷に、繊維工業試験場秩父支場は埼玉県産業技術総合センターになって川口にあるみたいですね。ひょっとするとどちらかの養蚕所みたいなものが秩父にあるのかなあ。ちちぶ銘仙館も面白そうですね。そのうち問い合わせてみようと思います。

 Sariさん、おお、写真があるんですね。柞蚕は天蚕の幼虫によく似てるのに、吐く糸は褐色なんですねえ。

サクサン(柞蚕)Antheraea pernyi
テンサン(天蚕)=ヤママユガ、ヤママユ Antheraea yamamai

ただたらい URL 2008年09月24日(水)01時12分 編集・削除

あそびにきました。こんにちわ。

絹のタオルってすごい…。1,500円なら安いですよ~。最近、結構いい値がするわりにはすぐへたるタオル多いし。

繭、気になります。化粧水用の繭も気になります。
あああ、やっぱり群馬行きたいな~。
(でも、急がねば寒くなってしまふ)

Sari 2008年09月24日(水)01時33分 編集・削除

こんなのも出てきたんですけど、ご存知ですよね・・・
http://cse.nias.affrc.go.jp/katohiro/tanken.htm
たくさん見ていると、口がへの字になっちゃいます(笑

下の方に、大規模天蚕飼育農家(中之条町)ってのが出てきますが、
サク蚕もやっているんでしょうかね・・・見学させてくれるといいのにTさん宅では分からないか・・・

タッサーシルクで検索すると製品が沢山出てきますね。
どれも高いや~。

シバケン URL 2008年09月24日(水)04時00分 編集・削除

そういえば以前、群馬の試験場の方が試験場内の屋外でサクサンの発生を見たと仰っていました。
なぜ野生化しないのは本当に不思議ですね。
どこかでヤママユと交雑して、最終的には淘汰されてしまうとか、そういった理由でしょうか。
日本にいたらいたで、外来種としていじめられるかも知れないし、生態学的にはん日本にはいないほうが良いですよね。(稲のように扱われる可能性もあるか)

珍獣ららむ~ 2008年09月24日(水)11時52分 編集・削除

 ただたらいさん、いらっしゃいませ。群馬もわたしが子供の頃は、まだあちこちで養蚕をやってたし、桑畑もそこかしこにありました。その状態ですら「昔はもっとみんなでやってたんだけどねえ」ってお婆ちゃんたちが言ってましたよ。化粧水用の繭は、蛹をとりだしただけの普通の繭です。煮るとセリシンが溶け出すので、アルコールとグリセリンを足すと化粧水のできあがり、だそうです。

 Sariさん、中之条の天蚕農家のTさんは、たぶん登坂さんという人です。こないだ電話で「天蚕をやってるのはうちだけなんですよ」と言ってたから……つまりわたしが来月か再来月に行く予定のおうちの人なんですよー。残念ながら柞蚕はやってないと思います。

 シバケンくん、ほんと柞蚕が野生化してたら今頃駆除の対象になってるかもしれませんよね。美しい繭を作るヤママユが、外来の柞蚕に圧されて絶滅の危機に!とか、目に浮かびますねー。試験場の外でも発生した実績があるとすると油断できませんね。

ランママ URL 2008年09月24日(水)12時00分 編集・削除

埼玉県の農林総合研究センター(旧秩父農業振興センター)というところで、野蚕の研究をしているみたいですよ。
下のURLの平成12年の研究報告、「218 野蚕の安定生産と製品加工技術の開発」 というのに、クスサン・サクサンのことも出てました。
http://www.pref.saitama.lg.jp/A06/BQ05/kenkyu/nenpo/2001/kadaiyousi.htm
平成13年には、さいたまシルク21というプロジェクトで、天蚕とサクサンの交雑種のことが出てました。
見学できるといいですね。

珍獣ららむ~ 2008年09月24日(水)14時15分 編集・削除

 そういえばホンさんだかフォンさんだかという人が秩父でサクサンの研究をしているんですよとお店の人が言ってたので、「黄さん」という中国人だと脳内変換していたんですが、ランママさんがおっしゃってる農林総合研究センターに「近 達也さん」という研究家がおられるようなので、正解みたいです。コンさんだったのか!

 見に行けそうな感じになってきたら問い合わせてみます。ランママさんありがとう。