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桜も散ったねえ

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2007年4月10日撮影 東京都葛飾区西水元

 毎年いつごろ桜が咲いていたのか、去年のことくらいは思い出せても、その前、そのさらに前って考えると少しも思い出せなかったりするものだよね。

 でも、節目節目に咲いてた花は思い出せる。高校に入った年の春は授業が始まって数日たったころに桜が満開だったと思う。現国の授業中に窓の外をみていたら、晴れて明るい空から急に雨がふってきて、きらきら光る雨粒といっしょに桜の花びらが舞い散る様子が美しく、先生が「そばえというのですよ」と言っていたのを思い出します。「戯え」と書くらしい。晴れた日に戯れで降る雨だから(「日照雨」とも書くけれど野暮な感じの当て字だね)。

 その頃に比べると確実に桜の時期は早くなっているんだけれど、よくよく考えたら、その年は中学の卒業式に大雪が降ったのも思い出した。

 春の雪自体は珍しいことじゃない。群馬の平野部は(赤城山の南に広がる関東平野全体がそうなのかもしれないけれど)冬に雨や雪はふらず、冬型の気圧配置がくずれて春がやってくるころに少しだけ雪がふる。ほとんど積もらないか、積もってもすぐに解けてしまうような雪だ。

 ところがその年の雪は生半可なものではなく、膝下まで積もるような大雪で、しかも結晶の細かい粉雪だったような気がする。特別に寒い冬だったかどうかはよく覚えていないんだけれど。

 ……と、書いたところでふと気づいたんだけれど、東京の桜と群馬の桜を比べてもあまり意味はないんだろうな。Yahoo!天気情報によれば、伊勢崎市の標高はアメダスのある宮古町あたりで64mだそうで、東京の大手町は6m、伊勢崎のほうが少し北にあることも考えたら、群馬の桜は総じて東京より遅めに咲くんじゃないかと思う。

 そう思って調べてみると、2007年4月2日現在で前橋の桜が三分咲きとあり、東京では4月2日の日付で靖国神社の桜が満開になった写真をアップしている人がいるようです。

 意味のない考察のついでに遅い桜の記憶を脳内検索してみると、中学二年のとき榛名湖で見た桜が人生最遅桜観測記憶で、ちょうどゴールデンウィーク中だったか、休みがあけたあとだったかに満開になっていたと思う。ただし、榛名湖は標高1100mの山の上にあるし、平野部より遅く咲くのはあたりまえ。種類もソメイヨシノじゃないかもしれない。ただ、その年はあきらかに冬が厳しく、標高を考えても少し遅いんじゃないかと言われていたと思う。

 伊勢崎の中学校では初夏に高原学校というのをやっていて、榛名湖あたりの宿泊施設に泊まり、湖でボートこぎの練習をしたり、榛名富士というバケツを逆さにしたみたいな山にロープウェイがあるのにわざわざ徒歩で上ったりするのだけれど、同じ時期に何度かおとずれていてもおかしくないベテランの先生たちも、この時期に桜が見られるとは思わなかったと驚いていたと思う。

 とにかく、榛名湖の桜はすばらしく、湖にボートを浮かべてあたりを見回すと、榛名の町が桜に埋まり夢のような風景だった。以外と知られていない桜の名所だ。ちなみに、榛名湖では「桜の下には死体が埋まっている」というお約束が現実になったことがあるらしい。大久保清が17歳の女子高生を殺して埋めたのは榛名湖畔で「ちょうどあのあたりだと聞いたよ」と先生が桜の咲いているあたりを指さしていたのを思い出す。

 ちなみに人生最早桜観測記憶は12月だか1月だかの真冬に鬼石(おにし)の山奥で見た桜。これは狂い咲きでも返り咲きでもなくて、フユザクラという真冬に咲く品種なんだけど。群馬のよい子なら誰でも知ってる上毛カルタにも「三波石とともに名高い冬桜」とあって、群馬県鬼石町の名物とされてます。

タグ:群馬

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