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ずっと忘れられない、月齢がトリックになっている刑事ドラマの話

 前の記事で月の話をして、思い出しました。

 それはずいぶん前、二十年かそこら、いやもっと前かもしれないんですが、何かのドラマで見た話です。週一の刑事ドラマだったかもしれないし、二時間枠のサスペンスドラマだったかもしれないですが。

 ある事件が起こります。殺人事件だったかもしれません。しかし、犯人は長いこと逃げつづけています。

 そうしたある日、どうやらコイツが犯人らしい、という男(Aとします)が逮捕されます。そのAは容疑を否認していますが、警察は完全にAが犯人だと思ってます。

 そこへ自分が真犯人だという老人(Bとします)が名乗り出て、犯行現場からどっちの方向に下弦の月が見えたと証言します。

 ところが老人が指さす方向には、犯行当時は民家があって、月なんか見えるはずがないのでした。

 それにAはB老人の娘の婚約者かなんかにあたるため、警察はB老人がAをかばって嘘をついているんだと決めつけて取り合いません。

 しかし、B老人は自分が真犯人だと言い続け、なぜ信じてくれないのかと泣きながら主張します。それを見て刑事が「もしこの人が真犯人ならば、なぜ見えもしない月が見えたと証言するんだろう?」と調べ始めるのがストーリーです。



(なんでこんなことが起こるのか、考えたい人のためにちょっとスペースをあけておく)




 結局どうなるかというと、B老人が真犯人だと証明され、娘の婚約者は無罪放免になりました。

 犯行当時、月齢は下弦ではなく上弦でした。また、月が見えたとされる方角には確かに家がありましたが、二階に窓があり、ちょうど犯行時刻の月がその窓に映ってたんじゃないかというわけです。

 B老人は近眼で、犯行に及ぶ際に眼鏡をなくしていたために、その月が窓に映ったものとわからなかった、というのがオチでした。


 この話はすごく好きで、細部を覚えてないのに月齢のトリックだけはずっと覚えてるんです。特捜最前線だったような気がするけど違うかも知れません。なんのドラマか覚えてる方は、ぜひコメントを残して行ってください。お願いします。


ファイル 1849-1.png
▲下弦の月は深夜に東の地平線から昇ってくる。東の空では弦が上になっているけれど、時計の針と同じようにくるっと動くので、西に沈む時には弦が下になる。だから「下弦の月」

ファイル 1849-2.png
▲上弦の月は深夜には西の地平線に沈んでしまう。この絵のように西に沈む時は弦が上になっているけれど、東から上ってくる時は弦が下になってる。

 窓ガラスに映っていたなら空の低いところの月でしょう。どちらにせよ犯行は深夜の出来事だったということです。

絵だけ貼って放り投げるのは不親切だと思ったので追記

 ドラマの老人は、東の空を見て下弦の月だったと言ったわけですが、実際には西に沈みつつある上弦の月が、東にあった建物の窓に映ってました。

 頭がこんがらがりそうな場合は、沈み行く上弦の月の絵に、鏡をあててみるといいかもね。鏡のほうが東だとしたら、下弦の月と同じ向きになってるでしょ?

タグ:空と雲

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