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桐生:織物参考館・紫(ゆかり)

 「桐生は日本の機どころ」というのは上毛かるたの「き」の札です。上毛かるたは群馬の良い子だったらたいてい言えるんです。

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▲桐生市のマンホールにも反物がデザインされてる。まわりは市花のサルビアで、歯車は桐生で盛んな機械金属産業のシンボルだそうです。

 わたしは趣味でお蚕を飼うので、機織りにも興味があります。それで、せっかく群馬に行くなら養蚕か機織り関係の博物館はないのかと思い、検索してみつけたのがここ。

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▲織物参考館・紫(ゆかり)
公式サイト:http://www.morihide.co.jp/yukariNEW/indexYK.html

 ここは現在も稼働中の森秀織物という工場がやってる私設の博物館だそうです。

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▲これが展示室。写真とってもいいですかって許可もらいました。

 展示室は昔の工場の建物をそのまま使っているようです。昔の工場の屋根はのこぎりの刃みたいにギザギザしてますよね。

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▲屋根を外から見たところ。屋根の南側がなだらかな斜面で、北側が急になっているので、のこぎりの刃のように見える。

 なんでこういう作りになってるかっていうと、機織りの機械はものすごい音なので、天井板を貼らず、ギザギザ屋根をそのままにしておくことで、音をやわらげる効果があるんだそうです。

 それともうひとつ、採光の役割もあります。

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▲北側の急な屋根に窓がついてる。

 窓は必ず北側につけるそうです。南側だと直射日光が入ってしまい、布が色あせてしまうし、強過ぎる光では、かえって細かい作業がしにくいからだそうです。北側の窓は一日中やわらかい光がさすので丁度いいとのこと。台所を北側に作る家が多いのと同じ理屈かもしれないですね。こういう工場の作りはイギリスから来たものだそうです。

 展示室には古い機織りの機械が沢山ありました。明治中期の、幅が3メートル(うろおぼえ)くらいある、巨大な高機はすごかった。明治のものなので当然電化なんかされていなくて、操作は人がするんです。でも幅が異常に広いので、女工さんが三人で織ったそうです。真ん中の人が足で綜絖(そうこう)を操作して、両端の人が杼を通すらしいですよ。縦糸に細い絹糸を2万本とか言ってたと思います。織った布は欧米に輸出されて、夜会用のドレスになったそうです。公式サイトの写真はこれ>http://www.morihide.co.jp/yukariNEW/yukariphoto/15.html

 それに古いジャカード織り機も面白い。模様を織り込むための機械で、フランスで発明されたものなんですが、穴の開いたシートを使って縦糸を制御するらしいです。発明者はオルゴールをヒントにしたとか。>http://www.morihide.co.jp/yukariNEW/yukariphoto/14.html

 ジャカードもすごいんですが、それを古代中国では人間が上からひっぱることで同じような模様織りを実現してそうなんです。それが日本にも伝わって、正倉院にはそういう布が現存してるそうです。その、上からひっぱる式の機織り機なんかも展示されてて、私設の博物館とは思えない熱さがありますね。館の人の説明もすごく面白かったです。

 こちらの会社は機織りが専門で染色はやってなかったそうですが、今は見学者用に藍染め体験も定期的にやってるそうです。布を持ち込んで染めさせてもらうことも可能とか。

 場所はJR桐生駅から徒歩で15分くらい。入館料は大人 700円。

タグ:群馬 桐生市

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