記事一覧

養蚕重宝記01:(序文)/解読中につきいろいろ教えて!

 twitterにも書きましたが古文書解読能力アップキャンペーン中です。

 現在読んでいるのは『養蚕重寶記』かなり慣れてきましたが、まだ読めない部分が多々あるので、草書や変体仮名の得意なみなさんに是非お知恵をいただきたいのです。

 文中のURLは特に説明がない場合は早稲田大学の古典籍総合データベースへのリンクです。原典が写真で見られます。

 解読能力が低いものですから全体にあやしいですが、「・」にしてある部分はまったく読めなかった部分なので特に見てくださるとうれしいです。

表紙と一丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0002.jpg

表紙

日本無二養蠶秘密
蠶はき立傳授の書
南向堂先生撰

一丁表

神蠶の由来を尋るに・・
人王二十代雄畧天皇の御后唐土より常陸の国
着舟の官女に習えたり自養蠶したもふ也
・より普くふゑん事潮の満るかごとし然と云とも
・手たで・にしていかてか得利をえんや第一蚕は
家内安全にしてしづめはく事秘傳也・碎
五常の・を専天道一つか・る時はあやうかるへし

【内容の説明とわからない部分等のメモ】

 前半は養蚕の由来を古代にさかのぼって説明する内容です。後半は蚕は神聖なものなので、飼育する者も家内安全をこころがけることが秘伝だと言ってるようです。

一丁表
1行目 蠶=蚕
1行目 「尋るに」以下の読み方がわからない「尋ろに」かも
2行目 雄畧=雄略
3行目 官女→処女(おとめ)かもしれない
4行目 冒頭の1文字の読み方がわからない
4行目 潮の満る「がごとし」もかなりあやしい。
5行目 前半わからない部分ばかり
6行目 最後2文字の読み方がわからない
7行目 6行目からの続きで、冒頭からかなりあやしい

↓7行目、かすれ方の違うテキスト(図書館で借りた)
五常の?天道一ツ?

 この他にもあやしい部分が多々あると思いますのでご遠慮なくツッコミを入れてください。

一丁裏と二丁表

http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/bunko04/bunko04_00660/bunko04_00660_p0003.jpg

一丁裏

然れはむつましくして他の・りに至るとも御油断
すべからつ何事も個度残す時は事ととのへ家も
・ふなり
虫守て養蠶する時は更に違ふといふ事
なし疑ふへからす神の徳也 ・・

二丁表

絹笠大明神
(挿し絵:獅子に乗り、左膝をたて、右手に桑、左手に糸車を持ち、頭に反物をのせた神女の姿)

【内容の説明とわからない部分等のメモ】

 一丁表からの続きで、一家でなかむつまじくお世話すれば間違いはないよという説明のようです。

一丁裏
1行目 「他の・りに」が読めず、続く「至る」もあやしい
2行目 「個度残す時は」が意味不明なので見てほしいです
3行目 冒頭1文字不明
4行目 「虫守て」が「養蚕する時」に続くのはくどい感じがするので違うかもしれない。
5行目 最後が「穴」と「質」に見えるが、もしかして1文字で「寶」か?

↓3行目、かすれ方の違うテキスト
?ふなり



 とりあえずこんな感じで23回分くらいあるんですが、おつき合いいただける方大募集です。コメント欄にてどんどん突っ込んでください。お願いします。

タグ:古文書解読

トラックバック一覧

コメント一覧

武邑くしひ 2012年12月14日(金)00時55分 編集・削除

3行目冒頭は「整」でいかが。「整ふなり」

http://www013.upp.so-net.ne.jp/santai/jpg/0542.jpg

武邑くしひ 2012年12月14日(金)00時58分 編集・削除

官女の「官」は下記参照。

http://www013.upp.so-net.ne.jp/santai/jpg/0119.jpg

珍獣ららむ〜 2012年12月14日(金)12時39分 編集・削除

うおー、ありがとうございます!!
「事ととのへ家も整ふなり」ですね。
「官女」もありがとうございます。間違いなく官女ですね。

いくつか自分で間違いを発見しました。

× 人王二十代
○ 人王廿二代

× 御油断すべからつ
○ 御油断すべからす
「津」じゃなくて「須」っぽいですね。


 今、雄略天皇の時代に漂着した官女の話の元ネタをさがしてます。とりあえず『日本書紀』の雄略天皇のところには
>>
(六年の)三月の辛巳の朔丁亥に、天皇、后妃をして親ら桑こかしめって、蠶の事を勧めむとたまふ。爰に、蜾蠃(蜾蠃は人名なり、此をばスガルと云ふ)に命せて、国内の蠶を聚めしめたまふ。
<<
っていうのしかなさそうです。官女が着船してというのはよく聞く伝説ですが、日本書紀にはなさそう。



 ちなみにこのスガルさんは、蠶(こ)を集めろと言われたのに、間違って幼児を集めてきてしまったので、天皇がお笑いになって「それはお前が育てなさい」と言ったことから、少子部連(ちひさこべのむらじ)という姓をもらったそうです。

 ちいさこべのスガルといえば日本霊異記に出てくる雷を捕まえた人の名前ですね。日本書紀では雄略天皇に三諸岳の神(大物主命)を見たいと言われ、大蛇を捕まえて帰ってきたところ、その姿があまりにも恐ろしいので、天皇は直視できず、野に放つように命じました。そのことからスガルは雷(いかづち)という名を与えられるようになったとか。#この名前は三諸岳に与えられたという解釈も。

珍獣ららむ〜 2012年12月16日(日)01時21分 編集・削除

わかった。

>4行目 潮の満る「がごとし」

これは「潮の満るにひとし」だ!!

何度も読み返すと少しずつ読める部分が増えてきますね。

珍獣ららむ〜 2012年12月18日(火)14時01分 編集・削除

>五常の・を専天道一つか・る時はあやうかるへし

ここは
「五常の道を専其道ひとつ」
っぽいです。
ttp://clioz39.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/ZClient/W34/z_list.php?title=%E9%81%93&resourcetype=0
↑道

ttp://clioz39.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/ZClient/W34/z_list.php?title=%E5%85%B6&resourcetype=0
↑其

続く「か・くる時はあやしかるへし」がわかんない。
「かくる」だと思うけど、意味通じないし。

珍獣ららむ〜 2012年12月18日(火)14時07分 編集・削除

いや、まてよ。
其じゃなく貴かもしれないな。
http://clioz39.hi.u-tokyo.ac.jp/ships/ZClient/W34/z_list.php?title=%E8%B2%B4&resourcetype=0

専貴道ひとつ(もっぱらたふときみちひとつ)のほうが文脈にあっているかも?