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旅の衣は篠懸けの、プラタナスの実は綿毛と散るなり

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 これは去年の秋に写したもので、スズカケ(プラタナス)の実です。

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 この大きな木がスズカケ。漢字で書くと篠懸(すずかけ)です。てっきり「実が鈴なりにつくので鈴掛け」なのかと思っていたら、篠懸と書くのが本当だそうです。

 篠懸というのは山伏が着る衣のことです。山伏の篠懸衣には、ボンボンが付いてますよね。

 正確に言うと篠懸衣の上につける袈裟(けさ)にボンボンがついてるんですけど、とにかく、プラタナスの実が、そのボンボンに似ているから「篠懸の木」と呼ばれるようになったそうです。

http://www.bio.titech.ac.jp/out/outline/access/suzukake.pdf

スズカケの名は明治初年,この木の球状果が,山伏の着る篠懸衣についている球状の飾りに似ているところから篠懸木と命名されたが,いつの間にか球状果が鈴なりにつくという意味で鈴懸木とか鈴掛木とか書くようになったということである。

 そういえば、歌舞伎の『勧進帳』も「旅の衣は篠懸の、旅の衣は篠懸の、露けき袖やしをるらん」で始まるんでしたっけね。

 勧進帳(かんじんちょう)は源義経一行が兄・頼朝に追われて奥州に落ちのびる途中のお話です。義経は日本全国に指名手配されちゃってますから、みんなで山伏に化けて歩いているのです。東大寺修復の勧進(寄付を集めること)をしているといつわって。

 山伏に身をやつして行く悲しい旅なので衣の袖が露に濡れているよ、というのが「旅の衣は篠懸の…」ってやつですね。露というのは心の中で流している涙の暗喩かもしれません。
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 話を元にもどして、スズカケ(プラタナス)の実です。山伏のボンボンみたいなあの実は時間がたつとどうなるかっていうと…?
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 この、道端に散らばってるフワフワしたのがスズカケの実の成れの果て。

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 時間がたつと分解して綿毛になっちゃうんですねー。

タグ:植物

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