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C6120 復活号

 12日は群馬でSLを見ました。古い蒸気機関車を修理して、高崎から水上までを走らせるイベントです。しかも、その機関車というのが、伊勢崎市の華蔵寺公園に1974年から展示されていたものなんです。

 ニュースを聞いたときはびっくりしました。華蔵寺公園なら伊勢崎在住時代に何度も行きました。もちろんSLが展示されてたことも覚えています。40年近く雨風にさらされていた、あの機関車がまさか動くなんて。

 これはもう見に行くしかありません。調べてみると、6月中の土日の運行予定しか決まっていないようでした。乗車券はとっくに売り切れているのですが、高崎から水上まで、上越線を走るということですから、線路沿いで待ってたら普通に見られますよね。

 土曜日にともだちに話したら、それなら明日行こうということになって、慌ててともだちの車で見に行ったというわけです。

 場所は渋川伊香保インターの近く。このあたりなら線路が農地の中を走っているので遠くからでも見通せるはずです。仮に撮り鉄の人たちがビッシリ場所とりをしていたとしても、わたしは子供の頃から知ってる機関車が動いているところを見られさえすればそれでいいんだから、ここならば確実ってところを選びました。

 現地に着いたのは朝の9時くらいでしょうか。SLは高崎駅を9時55分に発車する予定だと聞きました。このあたりまで来るのは10時過ぎくらいでしょうか。ちょっと早いけど、ここで待っていたら絶対見られるはずです。

 そんな早く来ているのはわたしたちだけかと思ったら、もう線路沿いのあっちこっちに三脚が設置されていて、遠くのあぜ道にまでカメラを持った人たちが大勢来ています。みんな考えることはおんなじなんですね。

 暇だからっちこっちへ歩いていたら、撮り鉄さんに「そこはギリギリ写真に入っちゃうから、すみません(汗)」とか言われて、こりゃ歩き回ってるとかえって邪魔だと思い、わりと一等地とおぼしき場所に陣取って待つことにしました。

 わたしは撮影にはそれほどこだわっていなかったのですが、せっかくなので記念に写してみることにしました。時々通る在来線を写したりして、よし、これならいけるとイメージトレーニングをして、だんだん飽きて来た頃、遠くに煙があがりました。機関車の煙です。 

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▲遠くに煙が。続いて汽笛が鳴り響きました。ほんものの汽笛はすごい。遠くまでぱーんと響くんです。

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▲来た! すごいすごい、ほんとに煙を吐いて走ってる。形だけで中は電気とかじゃないんですよ!

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▲うわー、すごい。C61ばんざーい。華蔵寺号(?)ばんざーい。

 わたし、実は蒸気機関車は初めてなんですよねえ。C6120は1973年まで九州のほうで現役だったそうですが、群馬あたりだとその頃とっくに電化されていて、鉄道は全部電車でした。自分にとっては蒸気機関車はおとぎ話の中にしかありませんでした。

 それが目の前を通りすぎていくんです。夢と現実の境目がなくなったみたいな感じです。しかもこの機関車は、華蔵寺公園にあったものなんですよ。

 客車の窓から乗客が手をふっています。それに思いきり手をふりかえしていると、銀河鉄道の夜や、999や、そういった架空の世界の一部になったような気がします。いや、違います。遠くにある空想じゃないんです。もっと身近なノスタルジーというか、幼き日の思い出そのものに手をふっているような気持ちなんです。とても不思議な気持ちでした。涙さえ浮かんでくるような気持ちです。

 汽車はあっという間に通り過ぎていきました。撮り鉄の人が、渋川駅に三十分止まるから、車で先回りすればいろんなところで撮影できますよって、月夜野あたりの撮影ポイントを教えてもらいました。

 わたしたちは止まってるところや、発車するところを見たかったので、とりあえず渋川駅に行きました。駅にも撮り鉄さんたち、地元の親子連れなんかが大勢います。車は置けないかなと思ったら、ラッキーなことに1時間無料の駐車場が一台だけあいていました。車をおいて、入場券を買ってホームまで行ってみました。


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▲渋川駅。遠くに群がってる人たちは、入場券で入った人と乗客です。

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▲客車も古いのを直して使ってるそうです。何台か連結されている客車のうち、ひとつがとても古くて床が木のままでした。ほかのは床が樹脂張りに直されていました。


 発車前に駅を出て、金網の外から出発を待ちました。煙突からもくもくと黒い煙があがり、蒸気の弁からブーーっという大きな音とともに白い湯気があがります。そして汽笛。発車のベルだけは現代式のチャイムなのはご愛嬌。SLの発車はそれだけでドラマですね。ほんとうにかっこいい。来てよかったと思う瞬間でした。

タグ:群馬 蒸気機関車

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