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豆腐百珍:ヒリヤウズ

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十九 ヒリヤウズ 豆腐水をしぼりよくすり葛の粉つなぎに入れ加料(かやく)に皮牛蒡の針、銀杏、木耳、麻子(をのみ)又小骰ものにはやき栗子(くり)か慈姑(くわい)か一品入るへし ○加料を油にて炒つけ麻子は後に入れとうふに包み大小宜きに随ひ又油にて煠也(あぐるなり) 又麪粉(うとんこ)ころもにかくる尤もよし ○ゐり酒二おろし山葵或は白醋(しらす)に山葵の針をくか又は田楽にして青味曾に罌粟(けし)をふる ○ヒレウズ一名を豆腐巻(とうふけん)ともいふ ▲白醋は罌粟をゐりてよくすり豆腐を少しすり入れ酢を入る也 甘きを好むときは大白の沙糖を入るべし 又豆腐のかわりに葛粉を入るゝもよし ▲青みそはみそをよくすり青粉をすり混ぜる也

 飛竜頭(ひりょうず)のことですね。なんでカタカナで書いてあるのかと思ったら、もとはポルトガル料理の filhos なんだそうです(ソース:デジタル大字泉 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/188608/m0u/%E3%81%B2%E3%82%8A/)。

 しかし filhos は息子の意味です。まさか殿方の股間にある二つの丸いものと同じ形という意味ではないかと一瞬どぎまぎしてしまいましたが、本当は filhós で揚げて作る甘いお菓子のことでした。>http://wikilusa.com/wiki/Filh%C3%B3s

 ひりょうずは、関東だとがんもどきと言うことが多いです。しかもおでんや煮物に入れるくらいしか使いません。自作する人は少なくて、練り物屋さんかスーパーで買うと思います。『豆腐百珍』では三種類の食べ方を紹介しています。

その1:煮きった酒に山葵を入れる
その2:白酢に山葵の千切りを置く
  白酢の作り方は、ペーストにした豆腐にケシの実と酢を混ぜる。甘いのが好きなら白砂糖を入れる。
その3:田楽にして青味噌を塗り、ケシの実をふる
  青味噌は味噌に青粉(たぶん海苔の粉)を入れて混ぜる。


 今回は3をやってみました。青粉は説明がないですが、おそらく青海苔の粉だろうと解釈しました。何を入れても味は大差ないような気がします。味噌に色をつけるのが目的でしょう。

 レシピに麻子(麻の実)や罌粟(ケシ)が出てきます。どちらも食材として手に入りますが、近所のスーパーにはないので胡麻で代用しました。

タグ:豆腐百珍

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ひろこ 2011年05月21日(土)08時08分 編集・削除

関西では「ひろうす」と言う。
もとの発音に近いのかな。

珍獣ららむ〜 2011年05月21日(土)09時08分 編集・削除

 引用文に「ヒリヤウズ」の文字が抜けてたので原文通りに追加しました。何ヶ所かで飛竜頭について書かれていて、そのたびに表記が違ってます。ヒラウヅ、ヒラウズなど。ラウは旧仮名遣いでロウの読みだと思います。

 ポルトガル語の読み方はよくわかんないけど、綴りからすると「フィルォース」とかになりそう。昔の人が首をひねりながら文字にした様子が目に浮かぶよねー。