現代中国語動物名リスト<馬>
(中国語フォント版UTF-8)

 ウマ亜目ウマ上科ウマ科ウマ属の動物をとりあげます。ウマ属の中を、さらに細かく、ウマ亜属、ロバ亜属、アジアノロバ亜属、シマウマ亜属などに分けることもあるみたいですが、ここでは、ウマの仲間、ロバの仲間、シマウマの仲間と、大きく三つに分けてみました。

 動物の分類でよく話題にのぼることに、ヤギとヒツジのちがいがあって、あれも線引きは難しいものの、おぼろげながらヤギ属・タール属・バーラル属あたりがヤギっぽいかなぁ、なんて言い方もできるわけですが、ウマ・ロバ・シマウマは、文学的な頭で考えるとハッキリと違っているのに、なぜか全部同じ属に含まれちゃうってのが不思議といえば不思議ですわね。

参考サイト
 http://theglobe.ep.net.cn/big5library/huanbao224.htm(絶滅種のリスト)
 http://wildmic.npust.edu.tw/idencoa/animal-web/1-3.htm



ウマの仲間

中名 蒙古野馬
和名 モウコノウマ

プルゼワルスキーノウマ
学名 Equus przewalskii
英名
Przewalski's wild horse

 蒙古=モンゴル。モンゴル地方にいる野生の馬。ちなみに、モンゴルの遊牧民が家畜にしてる馬は蒙古馬(モウコウマ)といって、これとは別。

 学名と英名についてる Przewalski は研究者の名前。ガゼルの仲間にもこの人の名前のついた種類がいたような?



中名 歐洲野馬
和名 ターパン
学名 Equus caballus
英名
European Wild Horse

Tarpan

 絶滅種。1880年代、モスクワの動物園で飼われていたものが最後の個体だった。
 現在、家畜として飼われている馬は、ターパンを改良して作られたと言われている。


中名 小馬(迷你馬)
和名 ポニー
学名 Equus caballus
英名
Pony

 迷你は、たぶんミニの音訳。何か一種類を指す言葉じゃなくて小型のウマということ。
 ポニーと呼ばれる小型のウマは、家畜のウマ Equus caballus のうち、体高148センチ以下の品種の総称で、シェットランドポニーやハフリンガーなど、何品種かあるみたいです。
 学名の caballus は乗用のウマのこと。

 なお、ポニーの体高については、文献によってまちまちのことが書いてあるみたいです。


中名 韋爾什矮種馬
和名 ウェルシュポニー
学名 Equus caballus
英名
Welsh pony

 家畜用ウマの一品種。
 矮種馬=小型種のウマ(ポニー)。韋爾什=ウェルシュ。


シマウマの仲間

 文房具メーカーのゼブラが、なんで社名をゼブラ(シマウマ)にしたか知ってる? シマウマを中国語で書くと斑馬。斑という文字は、文(具)の王って書くからだって。
 チャップマン(查普曼)などは発見者や研究者の名前です。

■ヤマシマウマの仲間

中名 山斑馬
和名 ヤマシマウマ
学名 Equus zebra
英名
Mountain Zebra

 ハートマンヤマシマウマとケープヤマシマウマの二亜種がいるそうです。


中名 哈特曼山斑馬
和名 ハートマンシマウマ(ハートマンヤマシマウマ)
学名 Equus zebra hartmannae
英名
Hartman's Mountain Zebra

 哈特曼=ハートマン。
 ヤマシマウマの一亜種。




■サバンナシマウマ(バーチェルシマウマ)の仲間

中名 草原斑馬
和名 サバンナシマウマ
学名 Equus burchelli
英名
Burchell's zebra

Plains Zebra

 チャップマンシマウマ、グラントシマウマ、セロウスシマウマ、バーチェルシマウマなどの亜種がいる。

 この単語をみつけたサイトでは Equus burchelli に Burchell's zebra という英語名があてられていたのですが、バーチェルシマウマ Equus burchelli burchelli はすでに絶滅しているらしいので(サイトの内容は絶滅種の話ではなかった)、和名はサバンナシマウマとしてみました。


中名 白氏斑馬

巴氏斑馬
和名 バーチェルシマウマ
学名 Equus burchelli burchelli
英名
Burchell's zebra

 サバンナシマウマの亜種(もしかすると、主にこれのことをサバンナシマウマというのだろうか)。すでに絶滅している。
 白氏=巴氏=バー氏(バーチェル氏)。


中名 查普曼斑馬
和名 チャップマンシマウマ
学名 Equus burchelli chapmani
英名
Chapman's Zebra

 サバンナシマウマの亜種。
 查普曼=チャップマン。


■グレービーシマウマの仲間

中名 格利威斑馬
和名 グレービーシマウマ (グレビーシマウマ)
学名 Equus grevyi
英名
Grevy's Zebra

 格利威=グレービー。


■クアッガの仲間
サバンナシマウマの一亜種とする場合もある。

中名 斑驢

風驢
和名 クアッガ
学名 Equus quagga
英名
Quagga

 すでに絶滅しちゃっている種。
 野生のものは1878年に射殺されたものが最後で、飼育されていたものは 1883年にアムステルダムの動物園で飼われていたものが最後だったそうです。イラストでしか見たことないけど、上半身がシマウマで、下半身がロバみたいな生き物だったようです。

 馬やロバの「変異的法則」について説明する文章ばっかりのサイトに

 斑驢(quagga)
 雖然在體部有斑馬狀的明顯條紋,但在腿上卻沒有
 体にシマウマのようなハッキリとした模様があるが、ふとももの部分にはない
 http://juns.uhome.net/big5/classics/matter/007.htm

って書いてあったので、たぶんシマウマの仲間のクアッガのことじゃないかなぁと。

 また、世界近代絶滅動物のリストを載せているサイトに

 Quagga 風驢 1883年
 1860年野外滅絕,1883年在阿姆斯特丹滅絕
 (1860年、野生のものが絶滅、1883年アムステルダムにおいて絶滅)
 http://theglobe.ep.net.cn/big5library/huanbao224.htm

 って書いてあるものも見つけたのですが、これもクアッガのことみたい。


 ちなみに、シマウマとはなんの関係もないのですが、魚に Zebrias quagga というシマシマ模様のカレイがいるらしいのですが、「瓜格斑鰨沙」という中国名で呼ばれているらしいです。
 瓜格=クアッガ。


ロバの仲間

中名 馴化驢
和名 家畜のロバ
学名 Equus asinus
英名
Domesic Ass

Donkey

 このページによれば家畜のロバはアフリカノロバ(ソマリノロバ)を飼い慣らしたものらしい。
 ロバが家畜化されたのは紀元前 4000年ごろで、アフリカ産のノロバを飼い慣らしたものだと言われている。
 ただし、中国で見られる大型のロバ(大驢)は、アジア産のノロバ(キャン)などを改良して作ったものだとも言われているそうです。

 日本では、推古天皇の時代に朝鮮からロバが献上されたというのが最古の記録らしいです(『日本書紀』)。
 また、掲示板によく来てくれる原田実さんに教えてもらったのですが、 『宋史』という中国の歴史書によれば、日本人の僧侶が日本について語ったこととして「畜には水牛・驢・羊有り。犀象多し」と記録されているのだそうです。
 同じく掲示板で、ひろこさんがみつけてくれた情報によれば、同じことが『諸蕃志』という、これまた中国の歴史書に書かれているそうで、これらを信用すれば平安時代の日本にはロバやヒツジ(おまけにサイやゾウまで!)いたことになるのですが、実際にはロバが家畜として定着することはなく、江戸時代には兔馬と呼ばれて見せ物にされていたらしい。
 古代中国人は日本をどんな国だと思っていたのかしら。そりゃあ 4万年くらい前(旧石器時代)までは日本にもナウマンゾウがいて野尻湖人と戦っていたみたいですけど、いくらなんでも平安時代にゾウはちょっと(笑)



中名 非洲野驢
和名 アフリカノロバ
学名 Equus africanus
英名
African Wild Ass

 非洲=アフリカ。
 ソマリノロバ ヌビアノロバなどはこれの亜種。



中名 亞洲野驢
和名 アジアノロバ
学名 Equus hemionus
英名
Asian Wild Ass

 亞洲=アジア。


中名 西藏野驢
和名 チベットノロバ(キャン)
学名 Equus hemionus kiang
英名
Kiang

 アジアノロバの亜種。


中名 蒙古野驢
和名 クーラン

モウコノロバ
学名 Equus hemionus hemionus
英名
Mongolian wild ass

 アジアノロバの亜種。これらのほかにインドノロバEquus hemionus khur オナガー(ペルシアノロバ)Equus hemionus onager、などもアジアノロバの亜種。

アジアノロバ、チベットノロバ、モウコノロバ、インドノロバ、アジアノロバを別種として扱う場合もあるみたいです。

雑種

中名 騾馬
和名 ラバ
学名 Equus asinus X Equus caballus
英名
Mule

 ロバのオスと、ウマのメスの雑種。
 繁殖力のない一代雑種。丈夫でおとなしいので家畜としてかわれている。
 別の種が交雑して子供を作る(しかもそいつには繁殖力がない)という異常なものでも、利用価値があれば騾馬のようにふつうの生き物になってしまう例。


中名 駃騠
和名 ケッテイ
学名 Equus caballus X Equus asinus
英名
Hinny

 ウマのオスと、ロバのメスの雑種。
 繁殖力のない一代雑種。体が弱いので使役にはたえない。


■以下は参考までに(中国名と英名の綴りを知ってる人がいたら教えてください)

中名
和名 ゼブロース
学名
英名
Zebrorse

 シマウマのオスとウマのメスの雑種。

中名
和名 ホーブラ
学名
英名


 ウマのオスとシマウマのメスの雑種。
 浜松動物園で作られたことがある。


中名
和名 ジンキー
学名
英名


 シマウマのオスと、ロバのメスの雑種。


中名
和名 ゼブロイド
学名
英名


 ロバのオスと、シマウマのメスの雑種。

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