ドクコク ドクコク
ドクコク

 獣がいる、そのかたちは虎の如くで白い身、犬の首、馬の尾、イノコの鬣、(たてがみ)名はドクコク。(北山経二の巻)--160
 

絵・文とも『山海経』より

 
 虎のようで、犬頭で、体色が白く、イノシシのたてがみを持つ……とくれば、ぴったりくるのはシマハイエナだろう。

 シマハイエナは体長100センチ程度と、虎に比べればずっと小さいが、白っぽい体に縞模様があり、顔は犬に似ている。首筋から背中にかけて、たてがみ状の長い毛が生え、尾の毛も長く馬の尾のようと言えそうだ。まさに『山海経』の表記通りである。
 

シマハイエナシマハイエナ(ハイエナ科)
  インド、パキスタン、中東、東アフリカなどに棲息。肉食で、太い骨までかみ砕く強靱なあごを持っている。ほとんど鳴かないが、たまに人の笑い声に似た声を出すという。
 ハイエナは、顔が犬っぽいのでイヌ科と思われがちだが、どちらかというとネコ科やジャコウネコ科に近い生き物だ。


 これは余談だが、手塚治虫の『ジャングル大帝』や、ディズニーの『ライオンキング』に出てくる悪役ハイエナは、おそらくブチハイエナという種類だと思う。赤茶色っぽい体に黒い斑があり、尻が低く、いかにも卑屈そうに見える。
 ハイエナというとライオンなどが食べ残した動物の屍をあさるので有名だが、実際には自分で狩りをすることが多く、むしろ後からやってきたライオンがハイエナの獲物を横取りしているケースも多いそうだ。屍肉をあさるイメージばかりが先行して悪役にされているが、実はそれほどイヤなやつじゃないのかも。
 
 
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