熨斗目
(のしめ)
コノシメトンボ
コノシメトンボ
 腹全体が濃い赤で、翅の先が茶色いのが特徴。もうちょっと情緒のある写真をとりたかったのに、何度おっぱらっても地面にとまってしまい、こんな写真しかとれませんでしたことよ。

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熨斗目 真夏みたいな間違った秋も、お彼岸をすぎたころから正しい秋にかわりました。町を歩けば出会う虫も秋らしい種類ばかり。先日はコノシメトンボを見ました。いわゆる「赤とんぼ」の一種です。

 赤とんぼ、と呼べそうなものは一種類のトンボではありません。ナツアカネ、アキアカネ、コノシメトンボ、ショウジョウトンボなど、赤いトンボは何種類もいます。アカネのたぐいは夏の頃から飛びまわってますが、コノシメトンボは 9 月の終わりごろから現れるほんとうに秋らしいトンボです。
 似たものに、ノシメトンボというのがいますが、こちらは体がさほど赤くならないので見分けがつくそうです。一般的には、赤いのも赤くないのも、翅の先に濃い模様があれば「ノシメトンボ」と呼んでる人が多い気がします。

 ノシメを漢字で書くと熨斗目で、江戸時代に流行した着物の模様です。腰のあたりに太い横のラインを配置した大胆なデザインで、袖の先にも模様がかかっているのがノシメトンボの翅の先と似ています。

 熨斗目の小袖を着た状態の写真がみつからなかったのでイラストは適当です。女性より殿方が主に着る服かもしれません。裃(かみしも)の下に熨斗目の小袖を着たりするらしいです。


10月1日 都民の日
 東京では学校などが休みになります(会社はさすがにお休みじゃないですー)。この日は上野動物園と葛西臨海水族園が入場無料になります…って、これ書いてるの 3日なんで、すでに終わってますな。

10月4日 旧重陽
 旧暦の九月九日です。菊のお酒を飲んで邪気をはらう日です。菊酒の作り方は、お酒に菊の花をつける方法と、お酒の壷の中に菊の花束をつって、菊から落ちるしずくでお酒に香りをつける方法があるみたいです。

 菊のしずくには、おもしろい伝説があります。
 魏の文帝の時代、ある山から飲むと長寿をたもてるという不思議の水がわきだしていました。この水の源をさがして山にわけいると、子供の姿をしている仙人に出会います。この童子、もとは周の穆王に仕えていたといいますから、年は七百歳になるはずです。

 ある時この童子はあやまって穆王の枕をまたいでしまいました。目上の人の枕をまたぐのはとても重い罪です。その童子はこの山に捨てられることになりましたが、穆王はあわれに思って法華経の八句の偈のうち二句を教え、常に唱えているようにと言いました。

 童子は穆王に言われたとおり、常に二句を唱えていましたが、うっかり忘れるといけないと思い、山にはえている菊の葉に、この言葉をかきつけておきました。するとどうでしょう、菊の葉におりた露がわき水に落ち、水は不思議な力をもつ霊水にかわりました。童子がこの水を飲むと、たちまち仙人になり、永遠に生きられる体になったのです。

 この話は『太平記』という日本の古典に出てきます。『菊慈童』という能の題材にもなっています(舞台は中国だけど、中国にはこれのもとになる話はないのかな?)。穆王は実在した(?)中国の王様で、西王母に面会したこともあると言われてます。

 この話を聞くと、酒壷に菊をつるしておく方法がとても魅力的に感じられるんですが、そんな大きな壷は用意できないので、菊酒をためしてみるなら花を酒につける方法じゃないかと思います。
 ハーブの本を読むと、ワインに香りをつける方法として、飲む数時間前に乾燥したハーブをワインにつけておくといいって書いてあるので、日本酒と食用菊で似たようなことをやってみるといいんじゃないかと妄想中(現在 10月3日、だま間に合うぞ>わたくし)。

そこで問題。
・菊慈童の舞台は中国だけど中国にはこの話のもとになった伝説はないの?
・法華経の八句ってなんのこと?

 気になるけど調べはじめると先にすすまないので宿題ということでメモのみ。

10月8日 十三夜
 十五夜は旧暦の八月十五日の満月を愛でる日ですが、十三夜は旧暦九月十三日の月を愛でる日です。この日は満月の二日前で、ちょっぴり欠けた感じがいいらしいです。
 昔は十五夜の月を見て十三夜を見ないのは良くないといったそうですが、今は十三夜をする家は少ないですね。

10月8日 寒露
 二十四節気のひとつ。秋がいよいよ深まる頃。

10月10日 満月
 葛西臨海水族園の開園記念日です。無料開放デーなので大きいおともだちは会社をさぼって遊びにゆきましょう。お子さまはちゃんと学校で勉強するように。水族園は京葉線の葛西臨海公園駅から徒歩数分です。

10月13日 体育の日
 昭和 39 年に開催された東京オリンピックを記念する日で、もとは 10月10日の固定休日でした。ところが、連休を増やしたほうがいいというので数年前から第二月曜日の移動休日になってしまいました。
 たしかにこれなら土・日・月と三連休になるから旅行業界は景気がよくなりそうな気もするけど、そのせいで「今年は飛び石連休だから、間の日に有給をとってどっか行くか」と言えなくなっちゃった人も多いんじゃないかと想像。実際のところどうなんでしょうね。

10月21日 土用の入り
 秋の土用です。土用は立春、立夏、立秋、立冬の前 18〜19 日間のことを言うので、本来は夏だけでなく、他の季節にもあります。土の神さまが支配する期間だそうで、この期間に土木工事をはじめてはいけないと言われてます。

10月24日 霜降
 二十四節気のひとつ。

10月25日 旧十月一日 新月
 今日から旧暦の十月です。十月のことは神無月ともいいますが、日本全国の神さまが出雲へ行ってしまうからだそうです。逆に出雲では神有月というらしいですよ。
 ほかに、数字は一から始まって十で終わり一にもどるので、これより上のない数字の月「上無月」が転じて「神無月」になったとも言われてます。十進数の考え方ですね。でも、月は十二ヶ月だし、一日も十二の刻にわけられるわけだし、暦では十二進数が重要なんです。「上無月」説はいまいち煮え切りません。

 ところで、どうして神さまは出雲を目指すのでしょうか。
 出雲には大国主命(オオクニヌシノミコト)をおまつりする出雲大社があります。いなばの白兎を助けた神さまです。

 日本の神さまの歴史をおおざっぱに説明すると、まず、イザナギ・イザナミという兄妹にして夫婦の神さまが日本にやってきて、さまざまな神さまを産みました。それからだいぶ時が流れて、オオクニヌシという神さまがいて、いじわるな兄の神様にぶち殺されて黄泉の国(死者の国)へ送られてしまいます。
 さまざまな試練をのりこえて黄泉の国から脱出したオオクニヌシは、各地の神さまの娘と結婚して、自分の子供たちにその土地を治めさせました。つまり、日本の神さまは、ほとんどみんなオオクニヌシの子孫ということなのです。神さまたちは一年に一度、その年のことを報告するために、お父さんのいる出雲にやってきます。それが十月です。おそらく、神さまはその年の米のできを見て「今年はよくやったなあ」とか「ちょっとサボっちゃったかなあ」なんてことを反省しあうんだと思います。

 さて、オオクニヌシが日本全体の支配者になったあとに、高天原というところから天照大神(アマテラスオオミカミ)の孫がやってきました。これが天皇家のご先祖さまにあたります。

 日本の不思議なところはこの先です。普通ならよそから別の神さまの集団がやってきて「今日から僕がこの国の支配者だもんね」なんてことを言えば間違いなく戦争になるはずです。だのに日本では一部の血の気の多い神さまが抵抗したほか、さほど大きな戦いもなく終わってしまいました。オオクニヌシは支配者の座からしりぞくかわりにこの国で一番力のある神として出雲に祀られることになり、今でも神さまたちは十月になると出雲大社を目指します。

11月3日 文化の日

11月8日 立冬

 
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