怠け者くらべ
 
 
 ある男はひどい怠け者でちっとも働こうとしない。男の両親もほとほとこまり、息子に焼きめしを二個あたえて勘当してしまった。

 男は焼きめしを風呂敷につつんで腰につけて歩いていたが、包みをとくのが面倒くさくなって、そのうち誰かに行きあったらといてもらおうと、ずんずん歩いていった。

 すると、あちらから口をあんぐりあけて歩いている男が来る。きっと腹をへらして口をあけているのだろうと思って、

「もうし、そこの方。わしの腰にある包みをほどいてくださらんか。中に焼きめしがふたつあるので、一個はあんたにさしあげよう」

と言うと、

「わしゃ腹をへらしておるんではない。笠の紐がゆるんできたが、結びなおすのが面倒だで口をあけて紐を張っておるんじゃ」

と言った。どちらも負けず劣らずひどい怠け者である。
 

 
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