和名 カラスビシャク
別名 ヘソクリ カラスノオキュウ ヒシャクショウナカセ
中国名 半夏
科名 サトイモ科
学名 Pinellia ternata
6〜7月
採集地 東京都葛飾区


 
カラスビシャク 特徴と名前の由来など
 畑や田圃にはえる雑草。特徴のある葉っぱが地面から直に生えてるので一度見たら忘れない。地下には指先程度の茎のかたまり(塊茎)があるけど、葉っぱを引っ張っても抜けずに地下に残っちゃうから、いくら草取りしても生えてくる。形を見てピンとくるかもしれないけれど、マムシグサ、ウラシマソウ、ザゼンソウ、ミズバショウ、カラーなどと同じ仲間。
 ヒゲのついたラッパみたいな形のものは苞(ほう)といって、この中に花や実がつく。カラスビシャク(烏柄杓)、ヒシャクショウナカセ(柄杓商泣かせ)という名前は苞の形が柄杓に似ているせいだと思う。
 また葉柄に小さなムカゴがつくのも特徴。別名のカラスノオキュウは、たぶんムカゴがお灸の痕のように見えるから。
 生薬名の半夏は、夏の半ばに花が咲くから。また、ヘソクリという別名は、農家で草取りをするときに、ついでに塊茎を集めて出荷して副収入にしたからと言われている。
 なお、何かに形が似てるものを「カラスの……」「スズメの……」「イヌ……」と呼ぶのは植物名にはありがちなことなので、カラスノオキュウ、カラスビシャクという名前がついていてもカラスとは関係なさそう。

利用法
 地下にできる塊茎を7月はじめに掘って、外皮をむいて乾燥させたものを半夏といって漢方薬(半夏寫心湯など)に処方したり、民間薬として使う。
 嘔吐を止める働きがあるので悪阻(つわり)や急性胃カタルなどの妙薬として知られている。また、サポニンを多く含んでいるので痰切りにも効果がある。
 蓚酸カルシウムを多く含んでいるので食用はまったく不可。食べると喉がちくちくするそうです。また、汁が皮膚などに付くとかぶれることもあるとか(葉っぱにふれたりむしったりする程度ならたいてい平気だけどね)。

カラスビシャクの葉
1999年7月2日の朝に撮影
カラスビシャクの葉
 この2種類の葉っぱは両方ともカラスビシャクのもの。右は茎の先に3枚の葉が出ているように見えるけどそうじゃなくて、「葉柄の先に3枚の複葉がついている」というのが正しいらしいです。つまり、この3枚はセットで1枚の葉っぱ。たまに左の葉っぱみたいに3枚の複葉がくっついて1枚になっちゃってる葉っぱもあったりする。

 右と左の葉っぱの違いは個体差だと思ってたんだけど、左のは若葉で、育つと右のように3複葉になるって、図書館で立ち読みした本に書いてあった。
 育つと分裂するの? それとも株が若いうちの葉と、育ってからの葉の違い?
 

 薬草の本などをいくつか見ると、茎も葉ももっとしっかりしていて、葉のふちがフリルのように波打ってる写真が出ている。でも、珍獣の家のまわりに生えているカラスビシャクはもっと繊細な感じで、上の写真を見てもわかるように、葉っぱのふちはつるんとしている。珍獣がお子さま時代から愛用している学研の減色ワイド図鑑の「野草」に載っている写真も、やっぱり繊細な感じで葉のふちはフリフリしていない。
 もしかすると、そこらに生えてるカラスビシャクは、生薬の半夏にするカラスビシャクとは別種、もしくは別品種なのだろうか。それともただの個体差なのかな。
 
 

カラスビシャクの苞その1 カラスビシャクの苞その2
カラスビシャクの苞
 右はちょっと開いたところ。左はかなり開いてるやつ。この苞の中に花が咲いたり実が成ったりする。
1999年7月2日の朝に撮影


もうちょっとカラスビシャク