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和名 エンドウ(豌豆)
別名 ノラマメ(野良豆)
品種 グリンピース(むき身の豆を食べる)
サヤエンドウ(サヤごと食べる)
スナップエンドウ・スナックエンドウ(サヤごと食べる)
アカエンドウ(蜜豆や豆大福に入れるアレ)
学名 Pisum sativum
科名 マメ科
沖縄口 いんどーまーみー(エンドウ豆)
アイヌ語 マメ mame(豆)
中国名 豌豆
英名 pea(エンドウ)
green peas(グリンピース、青エンドウ)
エスペラント pizo(エンドウ)英名、あるいは学名に由来
verdopizo(グリンピース、青エンドウ)
その他 pois(仏)
Erbse(独)
pisello(伊)
ervilha(葡)
guisante(西)
原産地 ヨーロッパ、コーカサス地方
 
 
8000年前から食用に
 エンドウの歴史は古く、紀元前 6000 年期のアナトリアやギリシアでも食用にしていた。エジプトでは中王国時代(紀元前 2000 年ごろ)から食用に栽培されており、薬としても使われた。日本には中国を経由して伝来したと言われている。西暦 8 世紀ごろのことだと言われているが、はっきりしない。アメリカ大陸には黒船来航で有名なペリーが日本から持ち帰ったと言われている。

 エンドウは、乾燥種子用、生豆用(グリンピース)、サヤエンドウの三種類にわけられる。中国ではグリンピースを発芽させたものを豆苗といって、モヤシのように食用にする。

 イギリスの考古学者カーターはツタンカーメン王(在位 : 前1361年〜1352年)の墓に副葬品として埋葬されていたエンドウの豆を発見した。これをイギリスに持ち帰り栽培に成功している。後にこの豆の子孫がアメリカに渡った。昭和 31 年には、水戸市の大町武雄氏によって日本にも持ち込まれ栽培され、現在この種の子孫が各地で栽培されている。一般に栽培されているエンドウとは花の色が違うのだという。

 オーストリアの僧侶であり植物学者でもあったメンデル(1822-1884)は、エンドウに豆の黄色いものと、緑のものがあることに注目し、交配を繰り返すことで遺伝子の法則を発見した。

 グリンピースはアオエンドウというエンドウの品種である。サヤエンドウも名前のとおりエンドウだが、グリンピースとは品種が違う。サヤエンドウを成熟させて豆をとってもグリンピースのように美味しくはないらしい(参考>所さんの目がテン)。

 グリンピースは未熟なアオエンドウで、グリンピースが成熟したものを鶯餡(うぐいすあん)や鶯豆(うぐいすまめ)にする(参考>所さんの目がテン)。

 豆大福に使われている黒い豆は、アカエンドウと呼ばれる豆が赤くなるエンドウの一品種(参考>所さんの目がテン)。

 豆類には、動物に食べられないように生の状態では毒になる成分が含まれていることが多いが、エンドウは毒性が低く、動物が好んで食べる(参考>所さんの目がテン)。

エンドウにまつわる言葉
豌豆(えんどう)
 豌豆と書いて、えんどうと読む。エンドウマメと言ってしまいがちだが、それでは豌豆豆になってしまう。しかし、あの豆をつける植物全体を豌豆と言うのだとすれば、豌豆が実らせた豆は豌豆豆というべきだろうか。
 なお、特に豆のことを言う場合は、実豌豆という言葉もある。

Pisum sativum
 エンドウの学名。pisum は豆のことで、sativum は栽培種であることを意味している。

green peas
 グリンピース。pea というのはエンドウのこと。green peas といえば、青いエンドウのことである。グリンピースと呼ばれる環境保護団体は Greenpeace (緑の平和)で、意味がちがう。
 エンドウを pea と呼ぶのに対して、インゲンやソラマメは bean と呼ぶ。

like as two peas
 ふたつのエンドウのようにそっくりだという意味の英熟語。日本語の「瓜ふたつ」と同じ。

sweet pea
 スイトピーという花のこと。甘い(香りのする)エンドウという意味。エンドウとは別種だが、よく似た花を咲かせる。

マメ(アイヌ語)
 豆のことはアイヌ語でもマメという。日本語からの外来語だ。アイヌは明治時代になるまで大規模な農業をしなかったので、畑でとれる野菜の名前は日本語からとったものが多い(例:芋=イモ)。
 マメは特にエンドウだけを指す単語ではない気がするが、萱野茂氏の『アイヌ語辞典』ではエンドウにまつわる例文が多いのでここに記載した。
 

  
 
珍獣様が食したエンドウ