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ドイツ村についての書き忘れたこと

 東京ドイツ村の里山街道(遊歩道)を歩いていると、なぜか「イチイ」と書かれた樹名板が何箇所か設置されてます。樹名板そのものは珍しくないけれど、「イチイ」にだけついているのがよくわからない。

 しかも、その説明が意味不明で、イチイが「イグサ科」であること「北海道やカラフトに分布していること」などが説明されてる。ちなみにその樹名板がついてる木は広葉樹でかなりの高木。イグサ科の植物っていうのは畳にするあのイグサの仲間のことで、その植物とは似ても似つかないわけ。

 イチイと呼ばれている木は、わたしが知ってる限り二種類あって、ひとつはブナ科の広葉樹イチイガシのこと。どんぐりみたいなものが成る木。これは本州以南に分布する樹木だそうです。もうひとつはイチイ科の針葉樹のイチイ。別名アララギ。アイヌ語ではオンコというそうで、こっちは北海道やカラフトに分布するそうです。

 ドイツ村にあったイチイの樹名板には「北海道やカラフトに分布」と書いてあったから、その説明を信用するとイチイ科の針葉樹のイチイ(アララギ)のことを言ってるんじゃないかと思うんだけど、そこに立ってるのはあきらかに広葉樹。アララギじゃない。

 じゃあ、イチイガシのことかっていうと、イチイガシは本州以南に生えるそうだから、北海道やカラフトに分布という説明は変。わたしは樹木にあんまり詳しくないので、その樹名板がついてる木がイチイガシかどうかよくわからないんだけど、どの樹名板も自信満々に同じ種類の木にしばりつけてあるみたいなんです。

 っていうかイグサ科の広葉樹で高木なんてありうるの? そりゃマメ科みたいに大豆みたいな草もあればスオウやエンジュみたいな樹木になったりする多様な科もあるけど、どれもマメ特有の花の作りをしてたりして、いかにもマメ科って顔してる。イグサ科の植物はたいていツンツンした針みたいな草だから、あれの仲間が高木になるなんて想像できないんだけど。

 ひょっとしたら、イチイという名前のイグサ科の草があって、その樹名板のまわりに植えられてる可能性とかも考えたんですけど、まわりにイグサっぽい植物はなかったし、そもそも「イチイ」という名前のイグサ科の植物が検索してもみつからないんです。

 でも、単なる間違いにしては、数箇所にその樹名板(問題のブツが草なら種名板というべきかもだけど)が設置されていて、しかも手書きとかではなく、金属のプレートに刻印された立派なやつなんです。もう、わけがわからない。

 だれかイグサ科でイチイと呼ばれている植物について知りませんか? それとも、やっぱり単なる間違いなんでしょうか。写真とってくればよかったなー。