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病人日記:もうニフレックだけは死んでも飲みたくない

 はいはい。お楽しみの大腸内視鏡検査の日がやってきました。前日からのわびしい検査食に加え、ラキソベロン一気飲みをしたおかげで朝の便はほとんど水。水に溶けた便が多少入っている程度。朝出かける段階で、腸の中はほとんど空じゃんじゃないかとすら思える状態です。

 それでも飲まなきゃならないニフレック。液体の下剤で「ポカリスエットに似た香りがしてまずい」と受付のお姉さんから説明されています。

 今日検査することになっている人たち七、八人がテレビとトイレのある部屋に集められ、ひとりひとりに二リットルずつのニフレックが配られました。麦茶でも作るようなボトルに入れられていて冷たく冷やしてあります。無色透明でパッと見は水にしか見えません。

 これを紙コップに注いで、最初の二杯までは十五分(計三十分)かけて飲み、次からは一杯十分のペースで飲むとだいたい二時間でのみきる計算になるそうです。ボトルの半分のところに赤いテープが張ってあって、そこまで飲むと一リットル。一リットル飲んでも便が出ない場合は申し出てくださいということでした。

 検査についての説明を軽く聞いて、飲み始めたのは午前十時。匂いをかいでみたら本当にポカリスエットみたいな良い匂いです。これなら大した苦痛はないのではと、油断してグイッとやったら……

 具謬ぎゅヴぇぐべぇがひゅうぅぅぅぅぅ

 な、なんじゃこの味は!!!

 しょっぱい、ような気がするけど完全な塩気を感じる直前で寸止めされたような味で神経を思い切り逆なでする不快感。苦い、ような気がするけど苦味をはっきり感じる直前でじらされているような苛立たしさ。そんなものがどことなく甘いような甘くないようなアイソトニック飲料っぽい顔をして「さあ飲め、死ぬまで飲め」と襲ってくる恐怖感。

 はっきり言ってこの世のものとは思えない不味さ。いまだかつてこんなに不味いものを飲んだことがあるだろうか。これなら苦丁茶かせんぶり茶の一気飲みを強要されたほうが何十倍もましだと思う。

 思わず咳き込んでしばらく止まりませんでした。これはキツイ。トラウマになる。色も映像もない不快感だけの悪夢を見そう。これを二リットルなんて絶対にいやだー!!!

 部屋にあるテレビはNHK総合なんて辛気臭いもの流しっぱなし。最初は高校野球で途中から長崎原爆忌の式典の中継でした。小泉純一郎の平和への決意なんか聞きながらじゃ不味いものが余計にまずくなる。一口のむごとに頭をかかえ、二口目には眉間やらこめかみやらを押さえて苦痛に耐える感じ。そのうち思考もおかしくなってきて、原爆で死んだ人たちは、「水、水」と言いながら亡くなったのだから、不味くてもニフレックを飲んでいる自分はひょっとしたら幸せなのか、いや、そうではない、やけどを負って瀕死の状態であっても、こんなもの飲まされたら末代まで祟ってやるという気持ちになるはずだ、などという不謹慎な想像までするようになってきました。

 しかもこれって、いわゆる下剤っていうのとイメージが違う感じ。ラキソベロンなんかは飲んでから一時間もするとお腹がゴロゴロいいはじめて「そろそろ下ってくるかな」って思うんだけれど、ニフレックは腹にたまっていくばかりで下る様子なし。飲み始めて一時間以上たってからやっと出るようになってきたけど、爽快に出るというより上からたまってきたから押し出されてきましたみたいな出方で不愉快きわまりなし。そのうち、胃にたまってる分がゲップをするたびに逆流しそうになってきました。

 先日の胃カメラで、胃には異常がないことはわかったので、たぶん腹圧のせいで胃腸の動きが鈍ってるんだと思うんです。便意もないのにトイレに行ってみたり、そこらを歩き回ってみたりいろいろするんだけれど、飲んだ分がうまく出てこなくて腹はへこまない。とてもこれ以上は飲めない、無理って感じになってしまいました。

 不味いので飴玉をなめて味を変えるといいですよと言われていたから、シークワーサー味のキャンディーなどを持参したのですが、そんなものなんの気休めにもなりません。もうだめ、無理、不可能。仮にあと一杯飲んだとして、そのあたりで物理的に腹に入らなくなると思う。

 まわりを見回すと、みんな黙々と飲んでます。おじいちゃんもいる。おばあちゃんもいる。そりゃ、他の人たちは腹水たまってたりしないと思うけれど、それ以前にこの不味いものをよくぞ……みんな偉い。全員に拍手をおくりたい。あなたたちは勇者だ。英雄だ!!

 でもね、誰も他人と口きいてないの。同じ部屋に七人とかいるのに、隣の人としゃべってる人とかひとりもいないのよ。たぶん口きいちゃったら「不味いですね」って話になるので何もいえないんだと思う。言葉にしたらもう終わり。自分をごまかして口に運んでいるから飲めるんだと思う。となりに座ってた女の人なんか、最初は女性週刊誌を見てたんだけど、もう読んでいるというよりイライラとめくっているだけで、その不快感が頂点に達していることが手に取るようにわかってしまう。

 わたしはというと、幸いその頃には便に固形物が混じらなくなり、黄色い透明な水しか出なくなっていたので、看護婦さんに見てもらったところ、もういいので午前中に検査してしまいましょうということになりました。消化器内科からまわっているカルテに腹水がたまっていると書いてあるので、検査の医師もそのへんを加味して手加減してくれたのだと思います。やったラッキー。みんなごめん、わたしはズルして先にすすませてもらうよ(T-T)/

 大腸内視鏡なんて初めてなので、検査そのものも不安だらけだったのですが、ここまで来るとニフレックの不快感から逃れられるというだけでもうどうなってもいいという気分になってきます。術衣に着替えてこっちへ来てくださいといわれた時は心の中で小躍りです。

 術衣はじんべえの上だけみたいなのを丈を長くしたもので、下は後ろに穴のあいた不織布のキュロットみたいなものをはくように指示されました。なるほど、これなら医者に見られるのはほとんど肛門だけですな。よく出来てる。

 検査の前に点滴針を刺されました。今回は会計にまわす明細書をメモってきたので何を使ったのかわかります。点滴されたのはソリタT3号という電解質の入った液体のようです。例によって針を刺すときにひと悶着ありました。右手出してというから素直に出したら、「刺さったけど液漏れしたから」とかいって「左にする」だって。

「左でいいなら最初から言ってよー。左のほうが刺しやすいんですよ」

と抗議したら医者が「ごめん」とかいって、他の医者にバトンタッチして逃げやがりました。これが内科や外科の外来やってる看護婦さんなら、見るだけでこの腕は刺しにくいって分かってくれるのに、検査系の医者ってほんっとダメ。MRIの造影剤を入れるときも、右腕に無頓着に針刺して漏れたっつって抜くし。おまいら何人に針さしたら刺しやすい腕とそうでないのを見分けられるようになるわけ? わたくし、献血マニアだったので針の刺し方には少々うるさいのよ。

 バトンタッチされたお医者さんは、どうも一昨日の胃カメラの人のようでした。今日も同じような鎮静剤をうちますからねーと点滴チューブの途中に注射器さして何か打ってた。メモによると、ロヒプノールという睡眠薬と、オピスタンという麻酔薬のようです。胃カメラの時の薬もほぼこんな感じでしょうね。明細にはアネキセートというロヒプノール(ベンゾジアゼピン系)の薬の効き目を解除する薬も書いてあったので、どっかのタイミングでそれも打たれたかも。

 ロヒプノールは前に錠剤で飲んだときは大した効き目を感じなかったけれど、さすがに静脈注射されると速攻ききます。「ああモウロウとしてきたわー」と思ったあとの記憶はほとんどないです。気づいたらしりからカメラが入った状態です。明細に「キシロカインゼリー」ってのがあるので、おそらく肛門にぬりたくって潤滑剤にしたもよう(検索するとSM用品として売られてたりして爆笑です)。

 内視鏡検査というのは、技師の腕次第で痛みがほとんどないそうですが、確かにぜんぜん痛みはなかったです。一度だけ急にお腹が張ったような痛みがあったので「いててて」と言ったら、検査するのに空気を送り込みながらやってるせいだということでした。

 そんなこんなで検査は滞りなく終わり、その場で「何か変なものは写ってましたか」と聞いたら「いや、大腸は大丈夫ですよ」との返事。大腸は大丈夫だけど直腸は……とかだったらイヤだけど、病変を削り取るような作業はしなかったみたいだから、本当に異常はなかったんだと思います。

 検査の後もしばらくベッドの上でうごけませんでした。ソリタT3号の点滴がまだ終わらないからです。途中で胃カメラの時の休憩所にストレッチャーごと移動されて、点滴が終わるまで居眠り。検査の時に空気を入れてるのでオナラが出そうなんだけど、出すと実も一緒に出てしまいそうだと看護婦さんに言ったら、中身は検査のときに吸い取っちゃったから何も残ってないと思いますよーといわれて安心してブリブリ。大きなオナラを遠慮なくするのって気持ちがいいわ。カーテンの向こうにこれから検査する男の人とかいるみたいだけど知ったこっちゃありません。

 そんなこんなで一時間くらい休んで帰っていいよって許可が出ました。起きたら突然便意がおそってきてトイレに行ったら黄色い液体がジャーでした。今頃かよ。一リットルは飲んでるはずだから、全部出るまでこの調子でトイレとおともだち状態だと思います。

 幸か不幸か紙おむつは必要なさそうです。でも、かるく肛門が痛いんです。アナルプレイをした後ってこんな感じになるんでしょうか。思わぬところで疑似体験をしたような気分。


教訓
 大腸内視鏡検査は恐くない
 でもニフレックは死ぬほどこわい

ひろこ 2006年08月09日(水)19:37

ウゲゲでしたねぇ。
美味しくする方法が無いとも思えないけど、
液体の薬にありがちなイチゴシロップ上でも2リットルはつらかろうね。

しんどい検査はこれで終わりなら良いのにねぇ。

肛門はオリーブ油でも塗って養生してください。

珍獣ららむ〜 2006年08月10日(木)07:42

 ほんと、ウゲゲだったわ。ニフレックが美味しくなれば、それだけで大腸内視鏡検査は楽になるのに。甘味をつけちゃえっていうのはきっと誰かが考えてるだろうけど、さすがに二リットルも飲ませるようなものに糖分を加えられないとかあるんじゃないのかなあ。人工甘味料の類だと、それはそれで大量摂取に問題あるしね。

 おかげさまで、診断を下す前に必要とされてる検査はこれで終わる予定。金曜日に病院にいって判決を聞いてくるよ(笑)

 今後は結果次第だねー。とりあえず血栓体質になってるから血栓の有無を見るために足や胸のCTかエコーをやったほうがいいかもとか言われてるんだけどさ、それって、あるかないかわかんないものの場所を特定する作業をするより、血栓体質の改善をしちゃったほうが早いんじゃないのと思うのは素人の浅はかな考えなんでしょうか。この病院(医師?)、ほんと検査好きだなあ。

ひろこ 2006年08月10日(木)11:43

薬効成分を固形とか、甘苦い濃縮とかにして、
後は水なりお茶なりに出来れば一番ラクかな。
「多量に摂取するとお腹がゆるくなることがあります」
とか言う甘味料なら同じじゃないのか?とか思ったりして。

健康保険の明細書みたいなのが来るけど、
歯医者で歯周ポケットの消毒してウン千円とか言うのを見ると、ケッ!と思うねぇ。
検査も、こんなしんどい思いをしてお金をこんなに払わなくてはいけないなんて、
これ、なんて言うプレイ?てなもんだし。

珍獣ららむ〜 2006年08月12日(土)00:26

 そういえばニフレックって味の素が作ってる(販売してる?)薬なんだよね。味の素なんだからもっとなんとかしてくれってホントに思う。なんでもアメリカにはもっと少量飲めば済む腸内洗浄薬があるらしいんだけど、なんーらかの危険を伴うとかで日本では認可されていないそうな。

 検査の値段はさー、もうチンプンカンプンよ。技師がひとりでやってるCT撮影より、人手も技術力もいりそうで検査後の休憩用に場所もつぶれる内視鏡検査のほうが安かったりして。