ユウガオ・ヒョウタンの仲間について
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和名 | ユウガオ(夕顔) ヒョウタン(瓢箪) |
別名 | ひさご(瓢・瓠・匏) ふくべ(瓠・瓢) |
学名 | Lagenaria siceraria var. ユウガオにはたくさんの変種がある。 |
科名 | ウリ科 |
沖縄口 | |
アイヌ語 | |
中国名 | |
英名 | gourd |
エスペラント | botel-kukurbo(瓶にする瓜=ヒョウタン) lagenario(ユウガオ・ヒョウタン) |
その他 | |
花 | 夏 |
原産地 | アフリカ原産 |
アフリカ原産。ウリ科植物にしてはめずらしく白い花を咲かせる。
果肉をひも状に薄く剥いて干したものを干瓢(かんぴょう)といい、甘辛く煮て巻き寿司の具にしたり、昆布巻きを結んだりする。また、乾燥させると固く丈夫な器になるので炭入れとして利用されたりもする。
韓国では、生のユウガオを鍋の具にしたり、ナムル(和え物)にして食用にする。日本と同じく干瓢にもするそうだ。助けたツバメが運んできたユウガオの実から宝がでてきて幸せになる昔話がある(日本の「腰折れ雀」の類話)。
東南アジアでも生の実をスープにするなどして食べる。
ヒルガオ科(アサガオの仲間)にヨルガオという植物があり、これをユウガオと呼ぶこともあるが、干瓢を作るユウガオはウリ科なので、まったくの別ものである。 。
ウリ科ユウガオ属の植物のうち、いわゆるヒョウタン形になるものをいう。オオヒョウタン、ツルクビヒョウタン、センナリヒョウタンなど、さまざまな品種がある。日本のヒョウタンは苦みがあるため、ふつうは食用にはしないが、読者の方から「スイカと同じく、ごくごく若い実を奈良漬け(粕漬け)にして食べることもある」という情報もいただいた。
2003年4月28日放映のTBS「はなまるマーケット」で、江戸風俗研究家の杉浦日向子さんがひょうたんの奈良漬けを"お目覚"として紹介していた。長さ 7~10cm くらいの若いヒョウタンを奈良漬けにしたもので、杉浦さんが言うには「尻から食べるのが正式、とわたしは思っている」とのこと。
東南アジアには苦くないヒョウタン(ヒョウタン形のユウガオと呼ぶべきか?)があり、炒め物やスープにする。参考>弘文堂『東南アジア市場図鑑・植物編』
乾燥させると実が空洞になり、固く丈夫になるので水筒や七味入れとして利用された。いわゆる瓢箪型のものもあれば、長細くなる種類もある。アフリカなどでは木琴の下にとりつけて共鳴胴にする。
『和漢三才図会』に「大和の法隆寺には賢聖の像が浮き彫りになった一尺ばかりのヒョウタンがあるという。敏達天皇の頃に献上されたもので、聖徳太子降誕にともなう奇妙でおめでたい印だと伝えられている。讃岐で自然に生えてきたものだと伝えられているが、仮にこれが好事家により作られたものだとしても、まことに不思議で見事というべきである」とある。
このヒョウタンは明治の初期に法隆寺から皇室へ献上され、現在でも保存されている。この細工は内側に模様を刻んだ型の中で成長させることで作られる。この技術は中国で発達した。>参考サイト
青瓢箪(あおびょうたん)
まだ青く未熟な瓢箪のこと。また、痩せて顔色の悪い人のこと。青瓢(あおふくべ)も。
瓢箪鯰(ひょうたんなまず)
瓢箪で鯰をおさえる(ひょうたんでなまずをおさえる)
とらえどころのない様。またそのような人のこと。
瓢炭斗(ふくべすみとり)
参考>infoseek国語辞典
茶の湯の道具。炭とりの種で、十一月の口切りの茶事の頃に採った瓢箪(ひようたん)で年ごとに作る。
千成瓢箪(せんなりびょうたん)
(1)小さな実がたくさんなるヒョウタンのこと。
(2)豊臣秀吉の馬印。
瓢花(ひさごばな)
参考>infoseek国語辞典
(1)ユウガオやヒョウタンの花のこと。
(2)瓠の花をかたどった造花で、左右に分かれて試合をする相撲の右の組の印としたもの。
(3)上代の少年の髪の結い方?「是の時、厩戸皇子、瓢花にして」(日本書紀・崇峻訓)
(4)波頭が白く砕ける様子をユウガオの白い花にたとえたもの。
※(2)が気になる……:珍獣
吸い瓢(すいふくべ)
医療用具。吸い玉、吸角。ガラスでできたふくべ形の器具で、背中などに伏せて置き、ポンプなどで中の空気を抜いて吸着させて使う。その際皮膚に傷をつけて瘀血(おけつ)や膿を吸い出すことも。鍼灸院などで使用。カッピング。
ヒョウタンボク(瓢箪木)
スイカズラ科の落葉低木。ヒョウタンに似た形の小さな実が成り、赤く熟す。有毒。花色が白から黄に変わるので金銀木とも。ドクブツ、ヨメコロシ(嫁殺し)。Lonicera morrowii>参考サイト(写真あり)
ゆうがおひょうたん(夕顔瓢箪)
エビガラスズメという蛾の別名。……なんで??
ヒョウタンツギ
手塚治虫の漫画に出てくる謎の物体。つぎはぎのヒョウタンを逆さにしたような形にブタの鼻と目がついているキノコ。ストーリーに関係なく唐突に現れる。スープにすると美味との説あり。手塚治虫の妹が書いていた落書きがモデルとのこと。
『スイスのロビンソン』
ウィース作。無人島に流れ着いた一家の話。日本では『不思議な島のフローネ』というタイトルでアニメ化されたことがある。
この本の中で、無人島に流れ着いた一家がヒョウタンを使って食器を作る話がある。息子がナイフを使って切ろうとしたが、縁がギザギザになって具合が悪い。博識な父親が蛮族のやりかただと言ってヒョウタンに紐を巻き、ナイフの柄でたたいて紐を食い込ませる方法を試して成功する。
一家は次にヒョウタンを天日で乾かし、完全に縮んでしまわないよう土に埋めた。それから島を探索して戻ってくるまで一両日といったところだが、ヒョウタンの食器はいい具合に乾燥して「骨のように固くなっていた」とある。一日土に埋めたくらいで乾燥するものかとも思うが印象的な場面である。紐を巻く方法もあわせてどこの民族のやりかたなのか知りたいところだ。
腰折れ雀
『宇治拾遺物語』に「腰折れ雀」という話がある。腰の折れた雀を助けて幸せになる話だが、助けたスズメが運んできたのはヒョウタンの種である。雀のヒョウタンからは米が尽きることなく出てきたという。その話にあやかろうと、意地悪な婆が雀に石をぶつけて腰を折るが、こちらの雀のヒョウタンからは毒虫がうじゃうじゃ出てきて婆を刺し殺してしまう。
ほぼ同じストーリーの昔話が韓国にもあり、あちらでは雀のかわりにツバメであり、運んでくるのはユウガオの種になっている。
ひさご
浜田珍碩(ちんせき)編の俳諧撰集。1690年刊。俳諧七部集の一。『奥の細道』後の芭蕉の句を含む。
ひょっこりひょうたん島
NHK総合テレビで放送された人形劇。1964年4月6日~1969年4月4日。近年リメイクもされた。1967年には夏の東映まんがまつりでアニメ化されたこともある。遠足でやってきたひょうたん島が火山の噴火で漂流をはじめ、奇妙な事件にまきこまれる。「波をチャプチャプチャプチャプかき分けて……」という主題歌は有名。