ホヤの仲間について
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和名 | ホヤ(海鞘、老海鼠) |
別名 | イボボヤ(マボヤの別名) |
学名 | Halocynthia roretzi(マボヤ) Halocynthia aurantium(アカボヤ) |
科名 | マボヤ科(マボヤ、アカボヤ) ホヤは一科ではない。 |
沖縄口 | |
アイヌ語 | |
中国名 | 海鞘 |
英名 | Common Sea Squirt(マボヤ) Golden Sea Squirt(アカボヤ) |
エスペラント | ascidioj(ホヤ類全般を指す) |
その他 | figue de mer(仏) tarufo di mare(伊) |
原産地 |
貝じゃなくて原索動物
ホヤというのは一種類ではなく、原索動物ホヤ網の生き物の総称である。ホヤ網はマボヤ科、シロボヤ科、ヒメボヤ科、マンジュウボヤ科など 12科に分かれ、さまざまな色や形のものがある。オス・メスの区別はなく、生まれてすぐのものはごく小さなオタマジャクシのような姿で海中を自由に泳ぎ回る。成長すると岩などにくっついて、植物のように動かずに暮らすようになる(希に浮遊生活をつづける種もある)。
食用にするのはマボヤ科のマボヤとアカボヤである。マボヤはトゲ状のでっぱりがたくさんあり、アカボヤはツルンとしている。どちらも皮が固く、皮の中にあるやわらかい身を食用にする。貝の仲間だと思われがちだが貝とはまったく別で、むしろ魚のような脊椎動物に近い生き物である。オタマジャクシのような姿の幼生時代には尾の部分に脊索といって背骨に似た部分を持っている。
ヨーロッパでも食用に
日本人でもホヤはちょっと…という人は多い。見た目のグロテスクさもさることながら、独特の磯臭さを悪臭と感じる人が多いようだ。この味を好むのは日本特有のことかと思っていたが、なんと欧米でも古くから食用にしていたという。フランスでは主に生で食べ、南米では加熱して食べる(参考[広告]>平凡社『世界大博物図鑑 別巻2』)。
ほやほやと笑う
にこにこすることを、古くは「ほやほや」と言った。食べるホヤとはなんの関係もないが、発音が同じことから仙台ではホヤを縁起のいい物としておめでたい席には必ず食べた。
sea squirt
ホヤの英名。海の噴水という意味。さわるとピュッと水を吹くから。
figue de mer
ホヤを意味するフランス語。海のイチジクという意味。形がイチジクに似ているからだろう。
tarufo di mare
ホヤを意味するイタリア語。海のトリュフという意味。トリュフはゴツゴツした石ころのような形の茸の一種。やはり形が似ているからだろう。
Seecheide
ホヤを意味するドイツ語。海の膣という意味。…そういえば似てる。
ホヤ(寄生)
ヤドリギの別名(参考>インフォシーク大辞林「ほや」)。ホヤという名前はもともとヤドリギを意味する言葉で、ヤドリギが他の植物に根を張る様子が海のホヤに似ていることから海のホヤに流用されたのだという説がある。
海のパイナップル
ホヤの別名、というよりキャッチフレーズのようなものか。マボヤのとげとげした質感や形がパイナップルに似ていることからそう言われる。
Halocynthia
マボヤ、アカボヤなどの属名。ギリシア語の「als 海」と「cynthia 月の女神の名」の合成語。なぜそう言うのかはわからない。
おめでたい席にはホヤを出す(仙台)
しあわせそうな笑顔を「ほやほや」という擬音であらわすので、仙台ではおめでたい席には縁起をかついでホヤを出すという。