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蟹退治>検査食のはじまりはじまり

 さて、次は恐怖の大腸内視鏡検査です。胃カメラと違ってこっちは大変なのです。前日から、検査のために特別な食事をしなくてはなりません。レシピどおりに自作する方法もありますが、めんどくさいのでグリコのエニマクリンとかいう検査食を買いました。朝粥からはじまって夜はスープのみで終わるという、だんだんさびしくなる食事です。そんでもって寝る前にラキソベロン(下剤)一気飲み。当日はナントカいう液体下剤を二リットル飲まされるそうです。こんな検査を病人にさせていいのかというくらいキビシイ検査らしいです。うげえ、もういやだー。

グリコのエニマクリン(大腸検査食)

エニマクリン
 こんな感じの箱に一日分の食事が入ってる。税込み1554円ナリ。

エニマクリン
 中はこんな感じで、朝・昼&間食・夜と別の箱に入ってます。妙に過剰包装です。

エニマクリン
 箱の中はレトルトの粥とフリーズドライのスープ類。

 いっちょまえに間食がついてたりするんだけど、内容はビスケットとキャンディー、エネルギー補給ドリンクの粉。スポーツドリンクみたいなのだったらいいんだけど、シャンピニオンエキス入りって書いてあるからスープかもしれない。

朝食

エニマクリン
 明日は肛門から内視鏡を入れて大腸を見る、大腸内視鏡検査というグロ系検査を受けるので今朝から食事は検査食です。昨日の日記の最後にチラッと書いたグリコのエニマクリンという検査食を買いました。朝と昼はお粥+汁物で、夜はポタージュスープです。お粥はレトルトパックなのでお湯で温めるか皿にあけてレンジでチンすれば食べられます。

 寝ぼけながら適当にやってたら、うっかり昼用の粥と澄まし汁をあけてしまいました(上の写真)。朝も粥なので大した違いはないと思われます。味はー、うーん、まあお粥さんだし、こんなもんじゃないですかね。味が薄いような気がするけど、醤油をかけるくらいなら問題ないはずなので適当に味付けしちゃえばよいし。

昼食と間食

エニマクリン
 昼です。間違えて朝食に昼のお粥を食べちゃったので写真のものは朝用の白粥です。軽く塩味がついてます。鰹節のふりかけがついてましたが朝ものたりなくてかけて食べてしまいました。汁は豆腐とお麩の味噌汁です。貝汁を思わせる出汁がきいてます。

 さすがに味もそっけもないお粥が二食つづくと嫌になってきます。これが中華粥だったりすれば苦痛じゃないのですが。お粥ならなんでもいいというわけではなくて、種とか皮とか、腸に残りやすいものを使わずに作らなくてはならないようです。そうすると病人食みたいなものになってしまいます。お味噌汁をすすりながら食べましたが二割くらい残しました。

 下の写真は間食用のビスケットとキャンディー。ビスケットは口の中で溶けてしまうようなウエットなタイプでバターのいい香りがしてとても美味しいです。さすがはお菓子メーカー。グリコの面目躍如といったところでしょうか。お茶やジュースなどは夜まで自由に飲んでいいようです。ただし、果肉などが含まれていないもののみ。

 このほかに間食用としてエネルギー補助ドリンクなるものがついているのですが、得体の知れない不気味さがあって封を切れません。お湯か水で溶かしてのめって書いてあるんですけど、水でもいいってことはスポーツドリンク系なんでしょうか。でもシャンピニオンエキスが入ってるって書いてあるのよねー。

間食(飲み物)

 昼食を八分目でやめているので空腹感があります。ビスケットとキャンディーで紛らわしていましたが、ネタなのでエネルギー補助用ドリンクに手を出してみました。

 封を切ってみると、中身は白い顆粒で、いわゆるスープのようなものではなさそうでした。水で溶かしてみたところ、面白くもなんともないアイソトニック飲料のようなものが出来上がってしまい、なんのネタにもなりませんでした。この世のものとは思えないような不味いものを期待していたのに。

 お湯で溶かせと書いてあるのは水だと溶けにくいからでした。溶かしてから冷やして飲めということみたいです。味はポカリかアクエリアスかといったところ。それなりに美味しいです。キノコの味はしませんでした。

夕食

エニマクリン
 そしてこれが夕食のポタージュスープ。クルトンらしきものがちょっぴり入ってます。味はフツーです。こんなものが不味くなりようがありません。

 夕食もとったので、次は八時過ぎごろにラキソベロン一気飲みに挑戦したいと思います。

下剤(ラキソベロン)

ラキソベロン

これがラキソベロン(下剤)。中身は無色透明の液体です。小さいし、こんな程度のものなら簡単に一気飲みできるって思うでしょ。

 たしかに飲むのは簡単。でもさ、これって普通はコップ一杯の水に二、三滴落として飲むものなんだよ。それでちゃんと下る薬なのー!

# 二、三滴はさすがに少ないです。大人だと適量が10滴くらい。

一緒についてきた説明

 一緒に入ってた注意書き。全部飲めって書いてある。マジで?

 飲んでみた。コップ一杯の水に混ぜて。匂いはなく、味は甘いので簡単に飲めました明日も下剤を二リットルも飲まされるってことなんだけど、せめてこのくらい飲みやすいといいのに。

 でも、便秘症でもなんでもないのに、こんなの丸ごと一本飲んじゃって明日の朝どうなっちゃうんだろう。トイレから離れられなくなったら検査にも行けないんじゃない?

 今日は大事をとって早く寝ることにします。下痢で睡眠不足なんて嫌だしねー。

明日を待つまでもなく

 ラキソベロンは思ったよりいい薬でしたよ。たしかに一本丸呑みは強烈で、朝どころか二時間後にはもう効いちゃって二度もトイレで水便を出しましたが。お腹がごろごろ言うくらいで腹痛は伴わないし、自然に出ちゃう感じです。乳幼児にも使うと聞いたことがあるので体にやさしいのかも。

 ふと思い出したけれど「ラキソ」という言葉はナントカ語で下痢を意味する単語だったと思います。少なくともエスペラントではラクソ=下痢なので。ヨーロッパ言語の何かが元ネタのはず。たぶんラテン語かな。

 外国語が堪能でも病気の名前まで知らんって人は多いと思うんだけど、ラキソ=下痢を覚えておいたら、お腹をおさえて「ラキソラキソ」と繰り返したら、医者には通じるんじゃないかなぁと妄想してます。まだ試したことはないけど。

# ちなみに、ラキソベロンに似た液体で小瓶に入った下剤は他にも何種類かあったような気がするんです。だから病院によっては違うのくれるかもしれません。他のは飲んだことないので味はわかりません。

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珍獣ららむ~ (10/24 17:09) 編集・削除

 さすがに長いから今日はこの辺で。転載ネタが続くから明日もやろうかなあ。

ひろこ (10/24 23:49) 編集・削除

この記録をリアルタイムで読んでたおかげで、
昨年末からの、姑の肺ガン発見から手術、その後まで、
いろいろちゃんと対応できましたよ。

病気の本人の方も、何をされるのか分からないより、
治療とか副作用とか病院生活とかの、
大まかな流れが把握できるのは心強いよね。

ほんと、これはとっても役に立つ記録だと思うの。

蟹退治>胃カメラのおどり食い

蟹退治、前回までのあらすじ……

 胃カメラと大腸内視鏡の順番待ちの間にお腹が苦しくなったので腹水を抜いてもらった。それにしても、この手記いつになったら入院生活に突入するんだろう。

スケジュール

8月5日(土) 腹水を抜きました
8月6日(日) 夜八時以降は絶食です
8月7日(月) 胃カメラのおどり食いに挑戦
8月8日(火) 検査前の特別な食事
8月9日(水) 今度は尻からカメラですっ

 以下は当時の日記を軽く加筆しながらそのまま転載。書き直すより臨場感がありそうなので。

腹水を抜いたらおならがブー
 腹水の穿刺のあとは期待(?)された液漏れもなくネタにもなりませんでした。腹水が減ったせいで軽く腹が垂れ気味ですが、これといって支障はないです。でも、スイカを食べたあとに腹がパンパンになったときは焦りました。早くも元にもどったかしらと思ったけれど、でっかいゲップが出たらへこんだようです。まあ、完全に水が抜けちゃったわけじゃないので、食事は普段の八分目くらいでお腹いっぱいになっちゃうんですけど。

 明日は胃カメラを飲むので夜7時に夕食を済ませました。8時以降は絶食です。お茶くらいは飲んでよいそうです。

胃カメラ当日
 そんでもって今日は胃カメラを飲んできました。胃カメラも初体験です。喉に麻酔しててもゲロゲロってなるイメージがあるのでちょっと逃げ腰でしたが、最近は軽く睡眠薬を注射して半眠りの状態でやるから苦痛はほとんどないそうです。

 検査室に入る前にメガネや時計をはずしてくれと言われたのですが、メガネをはずしちゃうと何も見えなくなって判断力が落ちるので、何を指示されても「はあ、で、今何言いました?」「あっち? あっちってどっちですか」って感じになってしまうのでカメラを飲む直前までかけさせてもらうことにしました。

 まずは胃の中をきれいにする薬とかいうものを飲まされました。ぐい飲みサイズの小さな紙コップに入った液体です。カルピスを薄くしたみたいな色がついてたような気がします。これといってにおいもなく、味もあるような、ないようなという感じで、飲むのに苦痛はありませんでした。

 それから喉の麻酔。看護婦さん(どっちかっていうと看護師と呼んだほうがぴったり来る愛想のないタイプで)が注射器を持ち出して、
「これから喉に麻酔をします」
と言うので、「注射器使うなんて聞いてないよ」とびびったのですが、よく見たら針はついてませんでした。スポイト代わりです。これもメガネを外してたらパニックを起こしていたかも。はめててよかった。

 麻酔薬はジェル状で、冷たくて(冷たいと感じるだけかも)、苦いとか甘いとかの味はないのですが、やけに刺激的で喉にちくちくする感じでした。喉の奥のほうでしばらく含んでいなくてはならないそうです。アラームが鳴ったら飲み込んでくださいと言って看護婦さんは去ってしまいました。

 えー、アラームって何分ったったら鳴るんですかー。これ、いつまで含んでなくちゃいけないのー。げー、なんか喉がおかしくなってきた(麻酔だからな)。っていうかこれ飲み込めるんだろうか、わたし。

 そんなこと考えてるうちにアラームが鳴りました。含んでる時間は30秒くらいだったか、1分くらいだったか、そんな程度でした。すでに喉の感覚が鈍くなっているので飲み込むのに若干の勇気がいります。うー、ぐぐぐ、ごくん。たとえていうなら冷たくて刺激的な味のする痰を大量に飲みこんだみたいな感じ。激しくキモチワルイ。でも、まあ、むせたりせずに飲めました。

 それから検査台に移動。胃カメラは左側を下にして横向きで寝て飲むそうです。もう歩く必要がないので眼鏡はおあずかりしますねと、持って行かれてしまった。横になったら今度は別の看護婦さん(こっちは愛想のいい感じの人でした)がやってきて
「もう一種類、喉に麻酔薬をつけます。今度のやつはちょっと苦いけど我慢してくださいねー」
という感じで、機械に油をさすやつをもうちょっとスマートにしたみたいなボトルで喉に液をぷしゅっと。ジェルじゃなくて液でした。苦いかどうかはよくわからないけれど、これもかなり刺激的な感触です。こっちはすぐに飲みこんでよいとのこと。

 それから医者がやってきて、カルテをチラッと見てから「お腹張ってるの? いつごろから?」「食欲は?」とか「痛いとか何かあるの?」とか聞いてくるんだけど、こちとら喉に変な薬をつけられてるので丁寧に答えているような余裕なし。あやうく「カルテ見ろよ若造が」と言いそうになったけどぐっとこらえる。喉は感覚が鈍っているけどしゃべるのに支障があるような状態ではなかったです。

 看護婦さんが穴のあいたマウスピースを持ってきて、軽くくわえててくださいと言いました。この穴からカメラを入れるらしいです。

 そんでもって、医師に睡眠薬を注射するからとか言われて、肘の裏がいいか、手首がいいかって医者が迷って「肘を曲げずにいられますか」とか言うんだけど、曲げずにって検査中ずっとだったらイヤだし、そもそもそこは数日前に採血やら造影剤注射やらで何度も刺されてるのでもうさされたくないから「えー、やだ」とか投げやりに言ったら手首の太い血管に刺してました。手首の血管は痛いので普通の人はいやがるらしいです。昔そんな話を別の病院で聞きました。が、しかし、日本の注射針は良く出来ているので、一発で刺してくれればスーッと入っちゃって大した痛みじゃないんです。どっちかっていうと、何度も刺された場所に無理に刺されるほうが痛い。

 注射と書いたけれど、検査のあいだ生理食塩水かなにかを点滴するので、針は点滴用の留置針ってやつなんでしょうか。そういうのを刺します。一度刺してしまうと、針をとりかえずに注射も打てる仕組みになってます。睡眠薬らしきものを二本打たれました。一本目で眠くなるかと聞かれたけれど変化なし。なんという薬ですかと聞いたんだけど、医者がなんて答えたかは覚えてない。二本目で急に効いてきました。効き始めると注射してる最中にもう眠くなってブラックアウト。

 気が付いたらもう胃カメラが口から入ってて、何をしてるのかわかんないけど大きなゲップがゲロゲロ出たので目が覚めた。看護婦さんが「ゲップは我慢してねー」とか言ってるけど、我慢なんか出来るわけがない。なんせ喉に管が入ってて、口にはマウスピースはめられてんのよ。どうやって止めろと言うのだ。ためしにお前やってみろ(怒)と、しゃべれないので無言で青筋たててたら、医者が「いいよ」って言ってたような気がする。

 首は動かせないので視線のみ移動であたりを見たけど、角度が悪くてモニターはよく見えないし、眼鏡かけてないから何がなんだかサッパリね。

 そんなこんなで胃カメラは喉の麻酔が不味いこと以外になんら苦痛もなく終わりました。検査にあたってる医者が言うには「胃はなんともない」だそうです。そうだろうな。圧迫感で食欲が落ちてる以外にこれといって自覚症状もないし。

 睡眠薬を打たれているので少し休んでから帰ってくださいといわれて、検査台(ストレッチャーになってる)ごと移動させられ、休憩所になってるところに並べられてしまいました。でも、かなり弱い睡眠薬らしく、このあたりで既に薬は抜け始めてた。5分か10分か、そのくらい我慢してから「あのー、これいつまで寝てなきゃいけませんかー」と聞いたら、「薬切れました? そろそろいいかもしれませんね」と許可が出たので会計をして帰ることにしました。検査をはじめてから休憩が終わるまで一時間くらいだと思う。

 喉に麻酔をしたあとなので、誤嚥下を防ぐために飲食は30分以上たってからにしてくださいということでした。睡眠薬を打ったあとなので、車や自転車の運転はやめてくださいとも言われた。高速で抜けちゃう薬みたいだったけど、確かに直後の運転は危険かもね。普通に歩いたりするのに支障がないとはいえ、軽く判断力が鈍った感じになります。

注:高速で薬が抜けると書いていますが、たぶん自然に抜けたのではなく、薬の効き目を打ち消す別の薬を打たれたせい。

この日のお会計
基本診療料 210円
検査料 5877円
合計 6090円也

胃カメラは6000円程度で飲めるようです。

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珍獣ららむ~ (10/23 13:38) 編集・削除

蟹退治は明日も更新するよ。

はじめての腹水穿刺(ふくすいせんし)

 前回までのあらすじ……
 とにかく検査漬け。MRIまでやった。あとは胃カメラと大腸内視鏡と、あとなんだっけ?

腹が苦しいー

 この頃はとにかく腹がきつくて息苦しかった。食事の量も減っている。ご飯をお茶碗に半分食べるとおなかいっぱい。尿も出なくなってる。疲れやすさは日増しに強くなり、お風呂に入るだけでもぜえぜえはあはあ。

 咳もとまらない。痰が絡む咳だ。薬箱に入っていたアスクロンという咳止め薬を飲んだら良く効いた。ただ、これは後でまた書くけれど、この薬を飲んでいるという話をすると医者がイヤな顔をするようなので、飲んでいいものなのかここでは何とも言えない。

 J大学病院では検査ばかりでお腹がきつくなる件については今のところ放置。腫瘍があるならいずれ手術をすることになるだろうし、それまで我慢できるならしたほうがよいのだろうけれど、それでも苦しいもんは苦しい。

 仕方がないので診察日ではなかったけれど相談に行った。まず医師からは先日の血液検査の結果を説明された。

・電解質のバランスが崩れている。
・炎症所見がある(白血球の増加とか?)。
・血栓が発生しやすい状態になっている。CTかエコーで足や胸などの血栓の検査をした方がいいかもしれない(結局これはやってない)。
・腫瘍マーカーが高い。

 腫瘍マーカーというのは腫瘍があると数値が高くなる。マーカーの種類も臓器ごとにたくさんあるはずだけど、ここではどういう種類のものかは説明されなかった。医師のほうも何かさぐりながら話しているフシがあり、どうも端切れが悪い。平たく言うと癌の可能性が高いということなんだけれど、まだそういうことはハッキリ言おうとしない。癌以外にも腫瘍マーカーが高くなる病気はあるらしいので、断言しきれないというのもあるんだろうけれど。

 それから腹水がたまる理由をくどくど聞かされた。

・病変の部分から漏れ出すのかもしれない。
・血液検査の結果を見ると電解質のバランスが崩れているので血管から染み出すのかもしれない。
・あるいはその他の理由かもしれない。

 要するにわかんないんじゃないか。なんにしても血栓が発生しやすい所見が出ているので、利尿剤はやめたほうがいいとのこと。

 じゃあどうすりゃいいんだよ。苦しいんだってば。

腹水を抜いてみますか?

「苦しいようなら、腹水抜いてみる?」

 と、先生は軽く言うのだけれど、それってもしかしてお腹に針を刺して水を抜くという意味なんですよね?

 お腹って皮厚いんですよ?

 わたしなんか脂肪が沢山付いてるから、一瞬では刺さらないと思いますよ??

 すごくすごく、すごーーーーくイヤなんですけど???

 でも、薬はこれ以上飲むと危険だし、危険をおして飲んだところでめざましく腹水が減るわけではないし、直接抜いたら一時的にでもかなり楽になるはずだし、抜いた水も生検に出せば診断の助けになるはずだから……と言われて、そういうことなら抜いていいですよ。ええ、ご存分に抜いてくださいませ、うううう(涙)って感じで抜かれることになった。以下は臨場感を殺さないよう当時ブログに書いたものをそのまま転載する。口調が変わるけれど気にしてはダメ。

「あのー、先生、それは相当に痛いんですか?」
「局所麻酔をしますから、麻酔はちょっと痛いかもしれませんが、針を刺すときは痛くないですよ」
「局所麻酔ってどういうのですか?」
「……ええと、局所麻酔は局所麻酔で、どういうのと言われましても」
「むかし盲腸を切ったときに脊椎に打たれたみたいなのだったらイヤです」
「ああ、それは脊椎麻酔とかコウマク……(この辺ききとれず)というもので、局所麻酔という表現にはなりませんよ。局所麻酔というのは皮膚に……(なんか歯切れの悪い説明をする)」
「そうですか」

 要するに針を刺すポイント近くに麻酔薬を注射するってことでファイナルアンサー? 最初からそういう風に言えば一言で済むのだよ。

 今日は土曜なのでお昼で外来が終わるから、患者さんがはけてからやりましょうということになって決行は昼過ぎでした。よく胎児の映像を見るのに使うエコーという機械で内臓のない隙間になってる部分を探して刺す場所を探します。腹水を抜く処置はけっこう昔からあると思うんだけど(ブラック・ジャックにも出てくるしさー)、エコーとかなかった時代の先生たちはどうやってたのかな。触ったり叩いたりして、ここなら大丈夫ってとこ探して、えいやっとやっちゃうのかしら。昔のお医者さんってすごい。でも、きっと事故もあったわね。そう思うといい時代になったわ。

「じゃあ、これから麻酔打ちます。麻酔の時だけがんばってください」
「はーい」

 横目で注射器の大きさを確認。小さくはないけど思ったほどじゃない。針の太さも大したことなさそうだ。うむ。

 そんでもって、ぶすり。

 ああ、確かにちくっとするけど、わたし腹の脂肪が厚いから、麻酔の注射はどうってことないわ。

 それからお待ちかねの腹水を抜くための穿刺(せんし)です。

「麻酔効いてるから痛くないと思うけど、腹膜を通るときだけちょっと抵抗があるかもしれません」
「えっ?! ああ、はい」

 ここまで来てそういうこと言うからなー、医者ってあなどれない。最初から言ったら嫌がられるからだろうなあ。

 実際、皮膚やら脂肪やらを通ってるときは麻酔が効いてるのでなんということもなかった。ホントに何かしてるのっていうくらい何も感じない。でも、

「ちょっとチクッとしますからねー」

といわれた直後に、

「ぎゃ、いててて」

と、来ましたよ。それが腹膜を通る瞬間だそうで、なるほど確かに痛い。なんともイヤな感じの痛さ。でも本当に一瞬でした。これなら耐えられないほどのもんじゃない。

 まもなくチューブに腹水が流れ始めて、流れてるとこ見せてもらったけど、腹水とやらは、黄色っぽい透明な液体に、軽く粘着しそうな赤い液体を混ぜた感じのものでした。二時間くらいかけて2000ccくらい抜くと言ってた。2000ccって二リットルか? ペットボトル一本分だよ。そんなに入ってるんだとしたら、そりゃフウフウヒイヒイ言うよね。重たいし。

 針がどういう仕組みになってるかよくわかんないんだけど、穴をあけたところにうまくチューブが通るようになってて、チューブを通したら針のほうは抜いてしまうのだそうです。なので水を抜き始めたら、横をむいて寝たりしてよいといわれたのですが、動くとチューブが刺さってるところが軽くうずくので、なんか恐くてろくに体も動かせませんでした。でも、こんなの気の持ちようなんだと思う。盲腸の時はもっと太いドレインが入ってたけど動いてたしね。

 急に腹水を抜くと血圧が下がって気分が悪くなる人もいるそうですが、何度か血圧を測ってもらったところ、わたしの場合はそういうこともなかったです。抜き始めてしばらくしたら急にお腹がすっきりして、今まで圧迫されて空腹さえ感じにくい状態だったのが、急に腹減ったぜって感じになってきたりして、こんなに楽になるなら恐れる必要はなかったかな、とも思いました。現金なもんですな。

 二時間ちょっと退屈だったけど、半分居眠りしてたので別にどうってことなかったです。チューブを抜かれるときも別に痛みは感じなかった。え、もう抜けたの。いつ抜いたのって感じ。

 腹水を抜く前と後に胴回りのサイズを測った。ウエストではなく腹囲というやつ。へそのあたりで計る。99.8cm→96.4cm。どんな腹やねん。

 傷口はガーゼや絆創膏できつく固定しただけ。固定も二時間後にははがしてくださいといわれた。「はがしても良い」ではなく、はがさなくてはいけないらしいです。理由はいくつかあるんだろうけど、医療用の絆創膏は粘着力がつよいので、長時間貼っているとかぶれてしまう可能性があるとのこと。ガーゼと絆創膏をはがしたら、傷跡にはバンドエイドでも貼って保護しとけば自然にふさがるらしい。今夜はお風呂はやめたほうがいいけどシャワーなら大丈夫。食事も普通にとっていいそうです。あら簡単なもんなのね。

 でも、

「腹圧のせいで、どうしても腹水が漏れることがあるけど、たいていはすぐに止まります。長時間続くようなら病院に来てください」

 えええ、液漏れするのー? わき腹からたらりと液漏れ……うひひひひ。想像するとけっこうグロかも。

 そんなこんなで初腹水とったどー体験は終わりました。病院に行くときは腹がつっぱってつっぱってヒーヒー言ってたのに、帰りはなんかすっきりさんですよ。化膿止めの抗生物質(セフゾンカプセル100mg)を薬局でもらって遅めの昼食をとって家に帰りました。疲れた感じがする程度で具合はわるくないんだけど、けっこう喉がかわきます。「水は通常量とってください」といわれたんだけど、通常量ってどのくらい? がぶ飲みするとまた腹水がたまっちゃうのでよろしくないって。でも、喉が渇くよ。今日は暑いし。

 なお、原因になっている病気は治療してないので、腹水はいずれまた、たまるそうです。せめて検査が終わるまではもってほしいものだと。

この日のお会計
基本診療料 210円
検査料 2598円
処置・ギプス料 720円
文書・処方箋料 204円
合計 3730円也

腹から水を抜くと3000円ちょっとですな。

蟹退治>乗ってきた(?)ので連続で

 前回までのあらすじ

 J病院で婦人科・外科・消化器内科を検査でたらい回し状態でキレる。家に帰れたのは16時過ぎだった……orz こんなの病人のスケジュールじゃない~。

この頃の症状

 D病院でもらった利尿剤は飲みきってしまった。J病院では利尿剤をくれなかった。腫瘍がある人は血栓ができやすい体質になっていることが多く、そこへ利尿剤をかけると血がどろどろになって血管が詰まるかもしれないと言われた。

 しかし、あいかわらず腹はどんどんふくれている。右の肋骨の下あたりの筋肉がひきつれて痛くなってきた。胃や腸のあたりの鈍い痛みも続いているけれど、これは腹水で圧迫されてるせいで胃腸の働きがおかしくなっているのだと思う。それ以外に下腹や太ももの付け根の内側あたりがチクチク痛むようになってきた。ごく軽い痛みで、腫瘍に関係する痛みかもしれない。

 痛みよりも疲れやすさのほうが酷かった。まったく体力が続かない。家ではずっと寝て過ごしていた。横になっていると楽だ。しかし仰向けは息が苦しいのでダメで、いつも横向きに寝てテレビを見たり、本を読んだり。根気が続かないので星新一の短編がちょうど良かった。この頃は左側でも右側でも、どっちを下にして寝ても、まだ大丈夫だった。

 しかし、一日中寝ていると、どのくらい動けるのかわからなくなってしまうので、なるべく毎日散歩をしていた。ちょうど8月になったばかり。暑い盛りの時期で、家のまわりを10分くらい歩き回ると、もうフラフラで息切れがする。そもそも動かなくたって息苦しいのである。下から上がってくるような圧迫感があって、深く息を吸えない。こんなんじゃ何もできない。

 それに咳が出る。痰がからんだ湿った咳だ。呼吸器官系は昔からあまり強くはなく、特別に風邪をひいているわけじゃないのに痰が絡んでいることがよくあったけれど、それがもっと酷くなったような状態が続いている。

 食欲はあるが、やはり量は食べられない。こんな状況でも便はちゃんと毎日出ている。でも尿量は極端に少なくなった。尿が減ってると気づいたのはせいぜい一週間か十日くらい前のことだと思う。もちろんそれ以前にも腹ばかり太り始めるなどの症状はあった。でも、ここ半月くらいですとーんと落ちるように悪くなっている。

MRI

 J大付属病院の初診日から二日後にMRIを取りに行った。CTに似てるけど X線じゃなく磁気で撮影するやつだ。難しい仕組みはよくわからない。大まかなことはテレビなどで見て知っているけれど、自分でMRIの検査を受けるのは初めてだ。

 CTやレントゲンと同じで金具のついている服や下着をつけていると着替えなくてはならないので、だらっとした服で出かける(いや、本当を言うといつもだらっとしているのだが)。撮影は頭じゃないけど眼鏡は外すよように言われた。ド近眼なので眼鏡をはずすと極端に注意が散漫になって耳まで聞こえなくなるのだが、まあ仕方がない。

 検査室の入り口に「閉所恐怖症の人は申し出てください」というような張り紙があったような気がする。こういう注意はCTではされたことがない。CTと何が違うというんだろう?

 検査台に仰向けになって、お腹の上に何か板のようなものを乗せられた。なんの用途なのかちょっとわからない(知ってる人は教えて)。それから「機械がうるさいから」という理由でヘッドホーンを渡された。はめてみるとジャズだか映画音楽だかのインストルメンタルが流れていた。また「気分が悪くなったら握りつぶしてください」と、カエルのオモチャについているようなポフポフしたやつを渡された。つまり、タスケテーと口で言っても聞こえないくらい機械がうるさいと?

 最初は造影剤なしで撮影。診察台がドーナツ状の機械の中に動いて行く。ここまで来てわかったが、MRIの機械はCTにくらべて長い。CTはせいぜいドーナツだが、MRIはトンネルなのだ。奥行きはどのくらいあるだろう、ちょっと思い出せないけれど、これは顔まで入ってしまうと閉所恐怖症の人にはつらいかもしれない。事前に申し出ろと言われた意味がわかった。幸い、その筋の恐怖症は持っていないのでなんともなかったけれど。

 機械が動き始めると、これがまあとてつもない音でズガガガガと言いはじめる。まるで工事現場みたいだ。ヘッドホンをつけていてもうるさい。なんだこれは。一体どんな仕組みになっているのだろう。これは急に気分が悪くなっても、口で叫んだくらいじゃ聞こえない。先生たちはガラスで隔てられた隣室で機械の操作をしているし。

 ヘッドホンから「息を吸って……止めて」という指示が出る。止めてる時間は20秒くらい。仰向けで息苦しいので20秒止めるのは少しつらかった。

 いったん機械から出されて、次は造影剤を点滴で入れますからと、針を刺すのはどちらの腕がいいですかと聞かれたので「左の方が刺しやすいはずだけど、前回の採血で軽く内出血をしているので、刺さるのならば右でお願いします」と頼んだ。わたしとしては、これで右は刺すのが難しいのだと伝えたつもりだった。

 先生はなんの躊躇もなく右腕の血管に針を刺したが、正直こんなんできちんと刺さっているとは思えない。献血を趣味にしていたことがあり、この人はうまく狙って刺した、あるいはそうでない、というのが経験上なんとなくわかる。ホントに大丈夫? と思ったけれど、血管からチューブに血が逆流している(逆血)のを確認したとかで、大丈夫だと言っている。

 が、しかし、やっぱり漏れた。造影剤が漏れ出して入っていかなかった。先生は「クソッ」とか言ってたけど、それはこっちのセリフです。刺しにくいって言ったのに(涙) 仕方なく左腕に変更。こちらはすんなり刺さったけれど、D病院でも近い場所から採血されたりしているので、軽く固くなっていて刺さると痛かった。

 造影剤を入れてから、またうるさいトンネルの中で撮影。今度は息を止めなかったけどいいのかな??

お会計
基本診療料 210円
画像診断料 10377円
合計 10590円也

MRI高いよ。

コメント一覧

てっちゃん (08/01 00:22) 編集・削除

申し訳ありません。
蟹退治、すごく興味深いです。

MRIの検査のくだり、すごく、面白かったです。ヘッドフォンがわたされるとか、初耳でした。たすけて~!!のぽふぽふとか。

板は、何なんだろ。知りませんです。
昔習った教科書とか引っ張り出してきて調べましたが、板は、分りません。何だろ。

MRI検査、うかつに金属つけて受けると、マジで金属部分飛ぶらしいですよ?
骨折の治療の為の外せない金属が入ったままMRI検査受けた患者さんに付き添った先生は、「やばかった。もって行かれそうになった~!」と言ってました。

珍獣ららむ~ (08/01 10:03) 編集・削除

 すげー、それ聞いたらこっそりヘアピンをポケットに忍ばせたりしたくなってきた(汗) 今はたまにCTを撮るくらいでMRIはやらないんですけどねー。

 お腹の板は、ほんとうに何なんだろう。MRIだけなのかと思ったけれど、先日はCTでのっけてた。軽く湾曲しててお腹にフィットする感じのものでしたよ。

Sari (08/01 11:29) 編集・削除

CT 腹 板 乗せる
で検索したら「偏向板」ってのが出てきて、こんなのありましたけど
http://www.jsrt.or.jp/kyobukenshin/4satsueikiki.pdf
なんか違うような気もします・・・

珍獣ららむ~ (08/01 17:57) 編集・削除

http://q.hatena.ne.jp/1185958497
ポイントを使って はてな で質問してみました。誰か知ってる人いるかしら。

珍獣ららむ~ (08/01 20:29) 編集・削除

 聞いてきた。すごいね、知ってる人が現れたよ。可能性がいくつかあって、

・MRIの場合、板にケーブルがつながっているようなら検査部位を部分的に詳しく診るための補助装置(受信部)
・MRI・CTともに、もし板に電線がつながっていないのならば、腹部を軽く圧迫するための単なる重し
・CTで電線がつながっていないならば、余計な被爆を避けるための防御番

といったところらしいです。自分でもよく見えてないので判断つかないんだけれど、被爆防止用ならばCTをやるとき常に置かれてもよいはずだし、写しているのは下腹部なので、お腹に置いちゃったら写らなくなりそうなので、違う気がする。

ってことは、単なる重しか補助的な受信機ってことみたいです。CTは今後も撮るチャンスがあるはずなので、次回はもうちょっと観察してみようと思います。

蟹退治>検査は続くよどこまでも

典型的じゃない

 前回はどんな検査をするかざっと書いたけれど、今回は日記風に起こったことを時系列に書こうと思う。

 まず、診察室に呼ばれて、こういう検査をしましょうと言われ、同じフロアにある中央検査部で血を採ってもらった。また婦人科にもどってきて内診を受け、すぐ隣の処置室に移動して外から腹部エコーを受ける。

 先生の説明があるから、それまでロビーで待っててくださいと言われ、またしばらく待つ。ふたたび診察室に呼ばれ、D病院から持ってきたCTについて、先生の意見を聞いた。

 先生によると、たしかに卵巣のあたりに腫瘍があるが、典型的な卵巣の腫瘍はこういうふうには写らないのだということだった。どういうのが典型的なのかも説明を受けたはずだけれど、すっかり忘れた。

 とにかく卵巣の病気である可能性が強いので、CTはこの画像を参考にするとして、MRIの検査もしようと言われた。MRIはCTに似ているけれど、CTとは別の物質に反応して絵を結ぶもので、婦人科系の病気はMRIのほうが詳しくわかる場合もあるということだった。

 また、念のために外科も受診して大腸内視鏡と胃カメラをやったほうがいいと言われた。睡眠薬だか鎮静剤だかを使うので、胃カメラは寝ている間に終わるけれど、大腸内視鏡は液体の下剤を多めに飲むので、ちょっと大変かもしれないと説明を受けた。「多め」がどのくらいかは言ってなかったと思う。常識的に考えて800~1000mlくらいかな、と勝手に想像した。

待合室で倒れた

 その日わたしは朝食をほとんど食べておらず、利尿剤も服用していたので自分で予想しているよりずっと血圧が低かったらしい。睡眠は充分とっていたのに眠くて眠くて、診察室で説明をうけている間にもあくびがとまらなかった。

 婦人科から外科に依頼をするので少しロビーで待っててくださいとか言われ、あくびをしながらスタスタ戻ろうとしたら、急に目の前が暗くなって歩けなくなる。ふら~っとしゃがみ込んでしまった。

 すぐに看護婦さんがすっとんできて処置室のベッドを貸してくれたんだけれど、
「先生の説明(癌だとは断言されなかったけど)を聞いていて気持ち悪くなっちゃったの?」
「家にいるときでもこうなるの?」
「どんなふうに気持ち悪くなっちゃったの?」
などと、頭が働いていないところへ矢継ぎ早に質問されて軽く混乱。家ではなんともないこと、利尿剤を飲んでることなどを説明して、水分と糖分が足りないだけだから、なんでもいいから味のついてるジュースを買ってきてほしいとお願いする。

 看護婦さんが言うには唇の色があからさまに悪くなっていたそうで、血圧も測ってもらったら高い方が96くらいで低めだった。本当に利尿剤による貧血だか低血糖だかだったんだと思う。横になって買ってきてもらったジュースをちびちびやってるうちに回復。当時のメモによるとこの時点で11時30分ごろ。もうすぐお昼。動けるようになったら新館に職員食堂があるので昼食をとるようにいわれる。言われなくてももう死にそうなので食べるよ。

たらい回し

 看護婦さんが外科に予約を入れてくれたので、外科のロビーに移動。またもや問診票を書かされる。内容は性経験とかの特殊項目がないだけで婦人科と変わらない。こんなのカルテにコピーでも添付して次の科に送っとけと思う。

 受付で問診票を渡し「食事をしてきたいのですが」と言ったら、もう次に呼ばれるので待っていてくださいと止められた。この時点で11時45分。待合室代わりの廊下にはほとんど人がいないので、すぐに終わるならと待つことにする。

 ところが待てど暮らせど呼ばれない。嫌がらせかとキレそうになった頃にお呼びがかかる。この時点で12時30分を回ってる。次だと言われてから一時間以上待たされてる。

 診察室に入ると、外科の先生は待たされてイライラしているこっちよりもずっと不機嫌な顔をして、
「さっき婦人科のH先生にも言ったんだけど、外科は手術が必要な時に来るものだから、こういうのは内科消化器科でやってもらって」
と、偉そうに。

 一時間半も待たされたあげくにコレかよ!!

 わたしはブチ切れた。

「はぁ? 一時間半も待たせておいて、外科では見られない、内科へ行け? あのね、ふざけないでください!!」

 こちとら朝から食事もしとらんわ、すでにいろんな検査で半日潰れてるわ、低血圧でぶったおれてるわ、眠いわ、腹水で腹がふくれて重いわ、息苦しいわでふらふらなんだよ。だって病人なんだもん。健康だったらこんなとこ来ないんだよ。もうぜんぜん余裕ねーよ。正直いつ倒れてもおかしくない。そうとう恐い顔して怒ってたはずだ。

 すると、外科の先生はムッとした顔をして

「他科からの依頼は順番にこなしているので」

と不愉快そうに言った。たぶん悪いのは自分じゃなくて、筋違いの依頼を回してくる婦人科が悪い、だから自分は関係ないと言いたいんだとは思うんだけれど、その態度がさらにムカついた。

「診られないなら待ってる間に言えばいい。ふざけないでくださいよ!」

と、怒って診察室を出た。

 あのさあ、いろいろ事情もあるとは思うんだけどね、患者側からみたら外科だろうか婦人科だろうがその病院の一部でしかないのね。あっちの科が悪いとか責任をなすりつけるとかえって印象悪いのよ。普通の会社だったら別の部署がおこした不祥事でも、会社全体でごめんなさいって言うもんだよ。「すいませんね、婦人科にもよく言っておきますから、内科へ回ってくださいね」とか言われたんなら、腹はたつけど多少は我慢したさね。

 というか、こんなことしてると患者さん死にません?

内科へ~そしてまた食事を止められる

 婦人科に戻って外科で追い返されたと苦情を申し立てたら、今度は看護婦さんがあわてて内科に走って行って、外科で一時間半くらい待たされた上にこっちに回されちゃったので、と話をつけてくれた。もうすぐ13時である。「あの~食事を……」と言ったら、「次に呼ばれますから」とまたもや止められてしまった。そして問診票……ブチッ。内容は外科のと同じじゃんかーーーーー!!!! おかしい、こいつら大学出のエリートじゃないのか。やってること原始人並みじゃんかっっ。

 それでも婦人科の看護婦さんが話をつけてくれたおかげで、内科にはまだ患者さんがたくさんいたけど、すぐに呼んでもらえた。

 消化器内科の先生は外科の先生よりずっと印象のよい人だった。しかし、こちらはもう精神的にも体力的にも余裕がなくなっているので、「婦人科ではなんて言われたの」なんて聞かれても「さあ……そんなのカルテを見てくださいよう」としか言えない。

 内科の先生によると、内臓の病気ならばもっと痩せるし元気がない人が多い。見た感じ胃や腸ではないと思うが、念のために検査をするなら胃カメラと大腸内視鏡はしたほうがいいとのこと。ただ、腹水でお腹がぱんぱんになっている状態で、自分ならば大腸内視鏡を受けさせるのは多少考えるとも。

 胃カメラは、この病院では睡眠薬を注射して半眠りにさせて行うのでさほど苦痛はないけれど、大腸内視鏡は腸を空にするために下剤の入った水を大量に飲まなければならないので、腹水のたまっている人にこういう検査をさせるのはどうかと思うが、やればやったで価値はあるはずと。

 入院して受ける方法もあると説明されたが、入院代を取られてはたまらないので外来でと頼んだ。水はどのくらい飲むのかと聞いたら先生は「少し多めに」と言うだけで答えなかった(わざとだと思う)。その本当の意味を理解できなかったので、あくまで常識的な量と思い同意した。

 内視鏡を入れるのに採血して感染症の検査をしたいと言われたが、検査部に問い合わせてもらったら婦人科の検査でとった血で足りそうなので再び血を抜かれるのだけはまぬがれた。

 検査の予約を入れたら内科に戻ってきてほしいとのこと。ああ、いつになったらご飯を食べられる?

はめられた

 内視鏡関係の検査は当日にはできないので予約をとって後日ということに。MRIの予約もいれなきゃならないので、新館の検査部に移動して予約をとる。

 内視鏡部で聞いた話だと、健康な人なら胃カメラと大腸内視鏡を同じ日にすることも可能だけれど、内臓を空にするために絶食をした上に下剤をかけたりするから、いっぺんにやるのはそれなりに体力を使います、とのことだった。ということは、MRI・胃カメラ・大腸内視鏡を、それぞれ別の日に受けに来なきゃいけないのか。はあ、そりゃお金に余裕のある人なら入院したほうが楽かもしれない。

 また、検査前の準備を聞いたところ、胃カメラは前日の夜から絶食するだけでいいが、大腸内視鏡は前日から低残渣食という、検査食を食べ、夜は絶食。そして当日は半日かけてニフレックという液体の下剤を2リットル飲まなければならない、ということだった。ちなみに味はポカリスエットに似てまずい、とのこと。

 味はともかく、2リットル!!!

 普段なら飲めなくもないと思う。わたしはわりと水分を多くとる方なので、健康な時なら一日に2リットル近く飲んでると思う。半日でも飲めなくもない。でも、今はお腹に水がたまってて、息も止まりそうだわ食事だってろくに食べられない状態で、どうやって2リットルも飲めと?

 はめられた。

 完全にはめられた。

 医者のやつら、先に2リットルなんて言ったら絶対に拒否されると思ったんだろう。仮にごねられるとしても、診察室で騒がれるより検査部に追いやってしまったほうが楽だと考えたに違いない。検査部にはなんら責任がないので「どうしますか?」って聞けばいいだけだし、判断を仰げる責任者が目の前にいないとむげにことわりにくくなるのが人情だ。ふーん、お医者さんってこんなところには知恵が働くんだね。

 まあ、断ってもよかったんだけれど、まさか押さえつけて漏斗で飲ませるような真似もしないだろうから、ダメなら途中でやめればいいんだ。でも、途中でやめても検査代は取られるんでしょうね(怒)

 検査用の低残渣食はレシピを見せてもらったら自分でも作れそうだった。でも面倒くさいしネタなので売店で専用の食事セットを買った。江崎グリコ製のエニマクリン。1500円也。

で、食事はいつできますかーっっ(涙)

 内科に戻る前にトイレに行くと、出血しているのでギョッとする。生理は終わったばかりなのでまだ来ないはず。でもすぐに、子宮内膜の検査の影響だと気づいて納得する。あれだけガリガリやられたら出血くらいするわなあ。

 内科にもどって次の受診日の予約をする。検査の結果を聞くための受診だから、予約をいれてこないと決められなかったというわけだ。はあ、なんだかなもう。IT時代だというのに、いつになったらこの手の煩雑な作業をスムーズに行えるようになるんだよ。

 さらに婦人科にもどって、内科へ行ってきたことを報告すると、婦人科の先生からも話があるのでもうちょっと待っててくださいと言われる。ここではすぐに呼ばれて「入院して検査をうけたほうが楽」という話をもう一度されたが、たしかに通ってくる手間がないぶん楽かもしれないんだけれど、お風呂もトイレも家とは違ってしまってストレスになるから決して気楽じゃない。入院代だってタダじゃないので断った。

 次の診察日を内科と同じ日に設定して、会計に診察券を出した時点でもう14時を回ってる。死ぬってば。

 検査用に下剤が出てますからと言われ、渡されたのはラキソベロンという液状の下剤。これは知ってる。コップ半分くらいの水に、大人だと10滴くらいたらして飲むと効くやつ。ところが一緒にわたされた検査用の説明を読んで吹いた。

「1本全部を水でうすめて飲んでください」だって!!

 えぇぇぇ、これ10滴で効くのに、ぜ、全部ぅ?!

 大丈夫なのかしら……ははは。

ファイル 134-1.jpg
▲ラキソベロンはこんな小瓶に入った液体。20年くらい前の記憶では茶色のガラス瓶だったような気がする。味はほとんどなく、遠くはるか彼方に甘みを感じる。飲むこと自体に苦痛はない。

ファイル 134-2.jpg
▲一緒にわたされた説明書。1本飲めって書いてある~。

やっと食事にありつけたー(T-T)/

 アリオ亀有で沖縄料理の定食を食べて帰宅した。

 群馬に住んでいたころ、甲状腺の病気で大学病院に通っていたんだけれど、待合室でおばあちゃんたちが「○○さん元気そうじゃない」「そらそうさね、具合悪かったらこんなとこ来ないよ」って話してるの聞いて爆笑したけれど、たしかに具合の悪い人は病院には行ってはいけないと思った。死ぬ。救急車をタクシー代わりに使う人の気持ちが少しわかったよ。

コメント一覧

Sari (07/30 16:06) 編集・削除

読んでるだけで疲れました^^;

私も6月に2度目の大腸と胃の内視鏡検査したんですが、
前日の夕食まで普通に食べてよかったですよ。
病院によって違うんですね~。
ちなみに2ℓの下剤はグレープフルーツ味でした。
今年はなかなか効かなくて、さらに1ℓもっとまずいのを飲めと言われうんざりしましたが、200mlくらいで済みました。
去年は、何の感覚もないうちら済んだのですが、今年の若い医者はへただったのか
苦しかったです(-"-)
来年は指名するぞ・・・

珍獣ららむ~ (07/30 19:23) 編集・削除

 胃カメラ前の絶食は、夜8時以降は食べるな、だったかもしれないです。胃カメラの話になったら確認します。

 そういえば手術前に飲まされたマグコロールというものはグレープフルーツみたいな味だったなー。