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八潮市上二丁目の獅子舞

 八潮市上二丁目の氷川神社で毎年7月15日に三匹の獅子舞が行われます。# 2010年より第3日曜日の開催となったそうです。

 場所は地図で言うとこのへんです。


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 八潮駅から草加駅東口行きのバス(木曽根経由もしくは市役所経由)に乗って「ふるさとの森」で下車。すぐ近くの細い道を川のほうへ入ったところ。バス路線がわかりにくいので乗る時に「上二丁目のふるさとの森へ行きますか」と聞いたほうがいいです。

獅子の特徴

大獅子 濃い緑の角、角は頭の上で交差する。白い鬚があり、下あごから上にむかって牙がある。鼻のまわりにトゲがある。鼻の穴が大きく、舞い手はここから外を見ているらしい。

中獅子 赤・緑・金色のストライプの角。角は頭の上で交差する。白い鬚があり、下あごから上に向かって牙がある。鼻のまわりに遂げがある。

女獅子 角はない。鬚もない。牙もない。鼻の回りのトゲもない。

それぞれが腰のあたりに太鼓をつけている。頭には東天紅の尾羽のカツラ。面のまわりに茶色い羽根飾り。

お囃子

 お囃子は複数の笛が中心で、鋸歯をつけた竹をささらでこするギロのような楽器が加わる。太鼓は獅子が身につけているもののみ。

舞の構成

 序の舞、本舞、花取りといわれるご祝儀をもらう舞、女獅子隠し(花掛かりにあたる)、結びの舞という流れで、途中にハイチと呼ばれる謡が入る。ハイチは獅子が太鼓をたたき、扇子を持った人たちが獅子をあおぎながら水を飲ませる。

 舞い手は、女獅子はあきらかに子供で、大獅子、中獅子も学生のようだ。

 女獅子隠しの花笠は子供(男子)がかぶる。四人の花笠のうち、ひとりだけ花柄の前掛けを腰につける。女獅子隠しの時、大獅子が前掛けの花笠にちょっかいを出しているのを見たが、アドリブなのか決まりなのか、よくわからない。

 八潮市大瀬や三郷市戸ヶ崎では独立した本舞になっている「花掛かり(女獅子隠し)」を、上二丁目ではすべての本舞の後半に必ず舞うようだ。

 舞台は四隅に柱を立てて屋根を載せただけで、板などは敷かない。獅子はならした砂の上で裸足で舞う。

 序の舞は、前垂れで顔を隠して現れ、女獅子から順にソロで舞い、顔をあらわにする。三匹が顔を出してから本舞に入る。

 花取りは、白い紙に小銭をつつんでひねったものを、雨あられと獅子にあびせ、獅子はおひねりに埋もれるように地べたでごろごろする(猫みたい)。ご祝儀にお札を貰う時は、二枚に折りたたんで鼻のまわりのトゲにはさんでもらう。鼻の穴がふさがるので、中の人は外が見えなくなる。そこがが面白いらしく、次々にお札をはさんでハプニングを狙う。

ご祝儀を貰う大獅子

ストーリー(本舞+α)

 大瀬と戸ヶ崎は浅間神社関連のお祭りで、獅子は富士山を目指している。上二丁目の氷川神社は、スサノオとオオナムチを祀っているそうで、富士山との関連はないかもしれない。

 上二丁目では下記五種類の本舞+女獅子隠しを伝承しているらしい。2009年は「御幣、御幣、(昼休み)、笹、綱、橋、太刀」の順だったが、毎年同じかどうかは聞き漏らした。2008年も御幣から始まっていたと思う。


「御幣掛かり」
 三匹の獅子が御幣をみつけ、おそるおそる近づいては離れ、最後に手にする。

「笹」
 二本の笹を交差して全面に置き、大獅子がおそるおそる近づき、ばちで笹を叩き、手でゆするなどして確かめ、最後には笹をくぐりぬける。中獅子も同じようにあとにつづく。女獅子は……よそ見してるうちに終わってた(汗)
紙日曜目の獅子舞・笹

「綱」(見たことない)
「橋」(見たことない)
「太刀」(見たことない)


「女獅子隠し」(花掛かり)
 上二丁目では独立した本舞ではなく、各本舞の後に必ず舞うことになっており、プログラムには記載されない。四隅で座っている花笠の稚児が立ち上がり、中心に集まると、大獅子が先頭にたって花笠の間を抜ける。女獅子だけが花笠の中に取り残される。

 大獅子と中獅子が慌ててさがしまわる。この時、花笠を挟んで鏡舞のような状態になる。

 女獅子はまもなく見つかるが、またすぐに大獅子と女獅子が一緒に隠れてしまう。中獅子が慌てて探しまわる。

 三人が再会すると、中獅子が大獅子をはげしくののしるような所作がある。中獅子が太鼓を強く叩くと大獅子がほほを押さえて倒れ込む。どうやら兄弟げんからしい。

 中獅子の怒りが複数回続くと、さすがの大獅子も我慢しきれずに怒りをあらわにし、中獅子にぶつかっていく。

 大・中の獅子の喧嘩は大瀬の獅子舞にもあるが、大瀬では大獅子が中獅子を殴っていたと思う。

ハイチ(謡)

 舞の途中にハイチという謡が入る。大瀬・戸ヶ崎・花畑にはない。ハイチは「千早振る 神のいがきに 弓張りて 辺りをかため あらたかに」という和歌が原文とのことだが、どう聞いても「はーいちひー、ひーひひひーはー……」というような意味不明の音にしか聞こえない。「八潮市の文化財 第3号」によれば

はいチーひぃー ひーひひひーハーはー
はーヤはーフーふ ふーなーは
とんかぁとん とんかぁとん
とんかぁとん あどーんどん

と歌っているそうで、カタカナのところだけ拾うと「チハヤフ(千早振る)」になる。トンカァトンは太鼓の擬音。
ハイチ(謡)の扇

伝説 「八潮市の文化財 第3号」より

 上二丁目氷川神社の獅子舞は300年の歴史を持つと言われている。洪水で大獅子の頭が鶴塚というところに流れ着くと、村に悪い病気が流行った。そこで人々は獅子頭を狢圦というところに埋めてしまう。このような伝説がこのあたり一帯にあるそうだが、上二丁目では、埋めた獅子頭を掘り出して、中獅子と女獅子を新たに作って獅子舞を始めた、と続く。

 別の伝承では、氷川神社のあたりは洪水で土手が切れやすく(中川のほとりにある)、石仏をたてて獅子舞を奉納すると土手が切れなくなった。以来、獅子舞が続いている。その石仏をたて、獅子舞を習い覚えた家が石仏に刻まれており、それ以外の家では祭に参加しても、獅子舞には加わらないとも。伝説のとおり現在でも参加者に制限があるかどうかは聞き漏らした。


◆写真と動画を下記にアップしておきました。人が大勢写ってるのでとりあえずパスワードかけておきます。簡単なクイズに答えて入ってください。動画もあります。
http://f.hatena.ne.jp/chinjuh/%E4%B8%8A%E4%BA%8C%E4%B8%81%E7%9B%AE%E6%B0%B7%E5%B7%9D%E7%A5%9E%E7%A4%BE/

 動画は三つのパートにわかれており、最初がハイチで、最後は獅子が地面を手でなぞっている所作になっています。最後のところは草むしりに似てるとかで上二丁目の獅子舞は別名を「田の草取りの獅子」「ドロクッチャブリの獅子」と呼ばれるとか。

タグ:獅子舞

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  • 2009年07月15日(水)18時09分
  • 語り部屋関連

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