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八潮市大瀬の獅子舞(旧:とりいそぎ獅子舞情報)

 八潮市大瀬1501というところに氷川神社があり、毎年7月1日、2日の二日間開催されます。両日とも、朝10時ごろから夜9時ごろまで。昼に休みが入るようです。

 場所は、web上で探そうとすると嘘っぱちの地図のっけてるサイトが多いんですが(それはgoogle地図では田舎の番地までポートしていないのに誰も気づいていないから!)、正確に言うと、ここです。


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 似たような獅子舞が各地にあって、それぞれに共通点や異なる点があります。ここの獅子舞は、獅子が富士山に登る様子を表しているそうです。境内に浅間様が祀られています。飯塚(南水元の?)の富士講の人たちも来てました。

ファイル 729-1.jpg
▲序の舞
 物語になっている本舞の前に踊る。顔を隠して現れ、一頭ずつ御幣の前で顔をあらわにする。この写真だと、奥にいて頭に宝珠をつけているのが女獅子(母)で、手前の顔が黒いのが中獅子(次男坊)。横で顔を隠して突っ立ってるのが大獅子(長男)です。

 序の舞は大獅子の所作がおもしろいです。やる気なさげに棒立ちで太鼓を叩いているのに、突然上半身を前傾させ、お尻をツンと上げた変な立ち方をしたと思うと、カクンと頭を振る所作を何度も繰り返します。魂が獅子と人間の中間をさまよっていて、次第に獅子に目覚めて行くような不思議な動作でした。

http://f.hatena.ne.jp/chinjuh/20090702141505
 ここに動画をおいときました。3分くらいカクンカクンってしてるだけですが、あえて無編集で。このあと、顔の風呂敷をとって勇壮な獅子になるんですが、デジカメのメモリーが一杯になってアウト。

 あーあ、いっそブログが炎上でもすれば楽天ポイントで50時間とか録画できるデジカムを買うのに(笑)

大瀬のししまい、しおり より

  • ドロンコ祭りとも言われる(舞台がなく、土俵のようにならされた地面で舞う)
  • 1662年(寛文二年)頃、この地を治めていた旗本・森川氏から獅子頭を拝領されて始まったと伝えられている。
  • 富士講と結びつきが深く、三匹の親子獅子が富士山に登る途中のできごとを物語風に描いている。
  • -

獅子の特徴

大獅子:青い顔、途中で二股に分かれた二本の角を持ち、鬚がある。三頭の中では兄という設定。
中獅子:黒い顔、枝分かれのない二本の角、鬚がある。大獅子の弟。
女獅子:顔が金色で、角はなく、額に宝珠をつけている。鬚もない。

 それぞれの獅子は腰に太鼓をつけており、両手にバチをもって叩く。頭には東天紅(鶏)の尾羽で作った黒いカツラをつけている。
ファイル 729-3.jpg
▲顔の青い大獅子

舞の構成

 舞の構成は序の舞、本舞、結びの舞にわかれている。物語になっているのは本舞で、序と結びはどのストーリーでもほぼ同じ。

 お囃子は笛のみで、複数名が吹く。節は十七通りあるとのこと(しおり参照)。そのお囃子にあわせて、獅子が太鼓を叩きながら舞う。

 序の舞は、まず獅子が前垂れ布で頭を包んだ状態でやってくる。中の人の顔が見えている状態である。女獅子から順にソロで舞い、包みをといて頭を見せる。最後に大獅子が頭を見せる。ここで大獅子が前述のカクンカクンという不思議な動作をする。

 本舞は物語になっており、十二種類ある。大瀬では本舞のことを「掛かり」と呼んでいる。ストーリーについては後述。

 結びの舞は、本舞のあとに舞うもので、最後に黒いお盆にわたされたご祝儀袋が大獅子に手渡される。大獅子はお盆を手に四方をむいてお礼の舞をして一演目が終わる。

 舞台は本殿にむかって作られ、正面には神様を表す御幣が立てられている。四方に柱をたて、屋根を乗せる。場は砂をならしただけで、台などは作らない。
ファイル 729-2.jpg

ストーリー(本舞)

「花回り(花掛かり)」
 三匹の親子獅子が富士山麓の牡丹畑で遊んでいると、母親が行方不明になり、兄と弟が探す。舞台の四隅に花笠をかぶった子供が控えており、女獅子が姿を消す場面では、花笠の子供が舞台中央に立って女獅子を隠す。

 この演目はどこの獅子舞を見に行っても必ずあり、物語中最大の見せ場だと思う。大瀬の場合、花笠役は見学に来ている子供の中から選ばれているようだ。開催日が平日でも、近所の幼稚園、小学校などから授業として見学に来ている。

 女獅子を探す途中、中獅子も道に迷い、大獅子との再会シーンでは、兄が弟をひっぱたく所作がある。大獅子が殴るような所作で太鼓を叩くと、中獅子が痛そうに倒れる。

 中獅子が立ち上がると、また二匹で女獅子を探し、最後には親子で再会する。

 
「大弓」
 笹やツタをかきわけて、険しい山道を行く様子を表す。介添人が人の背よりも長い大弓を立てて持ち、大獅子から順に、弓と弦の間を通り抜ける。

 この演目は、各獅子の個性が際だつ。勇敢な大獅子は先頭に立って道を切り開く。中獅子はやや気が弱く、大獅子に促されておそるおそる藪を抜けるが、あとに続く女獅子(母親)への気遣いを忘れない心優しい次男坊である。

「小弓」
 道中に魔物が現れ、途方に暮れた三匹の獅子に小弓が授けられる。この演目は断片的にしか見たことがない。1mくらいの短い弓を使っていたと思う。

「太刀」
 魔物がおこす嵐にはばまれた三匹は太刀を見つける。大獅子がおそるおそる太刀を手にすると、急に勇気がみなぎり、まずは四方を斬りつけ、正面を斬りつけて魔物を退治する。

 正面の御幣の下に御神酒の入った湯飲みがあり、最後の太刀で、湯飲みをカチンと叩く。すると見学者がご祝儀袋を投げる。御神酒は年かさの見学者にまわされる。若い人には回ってこなかったので、長寿を願って老人だけが口にする決まりなのかもしれない。

「閂(かんぬき)」
 草木の生い茂るばしょでまたもや女獅子が迷う。大獅子に助けられて障害物から逃れる。

 この演目はまだ見たことがないが、準備作業で笹を枠のように組んでいるのを見た。大道具として使うのだろう。

「屏風返し(屏風隠し)」
 女獅子(母)が道に迷う。兄弟で探し、弟(中獅子)が母をみつける。兄(大獅子)に知らせに走るうち、また母を見失う。兄弟別々に、牡丹畑を探し回り、やがて弟が母をみつける。子と母の甘える姿、兄弟愛を舞う。

 これも大瀬では見たことがない。戸ヶ崎にも同じ構成の舞があるはず。

「橋」
 谷川にかかる丸木橋を渡る。勇敢な兄が先に渡り、あとに続く弟と母をいざなう。

「綱(つな)」
 道中の障害物を綱に見立てる。姿の見えなくなった弟と母を、網の向こうにみつけた大獅子は、なんとか綱を破ろうとするが腕力ではかなわず、とうとう歯でくいちぎって再会する。

「烏覗き(からすのぞき)」
 谷間にかかる一本の吊り橋を、烏(からす)のように軽やかな足取りで渡りきる。

「飛び格好(とびかっこう)」
 目的地が見えて、喜び勇んで行く仕草を表している。一説によれば喜びくつろいだ気分で遊び戯れる所作とも。

「翻り格好(かえりかっこう)」
 苦難を越えて富士・浅間神社に参拝をすませた親子の苦労をねぎらい合う。親子三匹が顔を寄せ合い、太鼓を叩く。

「御幣(ごへい)」
 無事に富士参拝を終えた三匹が神社から御札を頂戴し、喜びをわかちあう。かつては舞のあと観客にも御札が配られた。# 「御札」が、「おさつ」なのか「おふだ」なのか、見たことがないのでちょっとわからないけれど、観客にも配ったとあるので「おふだ」でしょう。

タグ:獅子舞

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  • 2009年07月01日(水)17時28分
  • 語り部屋関連

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