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蟹退治>入院生活二日目

 病気やら入院やらの話をしていますが、一昨年の話です。

病院の一日

 病院の朝は早い。早朝六時には検温の時間になる。もともと朝は早めなので早起きはあまり苦にならない。前日に早くから寝かされているので、たいていの人は早起きには慣れるみたい。慣れられなくても、無理に叩き起こされたりはしないから体温計を脇の下にはさんでまた寝ちゃったらいいのかも。朝は検温と一緒に血圧も計る。

 朝起きて行く場所といえば便所。排便排尿というのは、わたしはかなりのストレス解消タイムだと思っている。たまってるものを出し切った時に、ああすっきりしたと思うのは、実に大事な瞬間だと思う。ところが、病院ではこのささやかな喜びすらストレスに変わってしまう。入院初日に 500cc の計量カップを渡されて、入院中は尿をためるように指示されているからだ。

 ただでさえ自分のまたに手がまわらないほど腹がおおきくなっているのに、さらいカップで尿をとれだなんて……どんより。だいたい、朝は便のほうも出るというのに、尿をとらなきゃ、こぼさないようにがんばらなきゃって思ったら出るものも出なくなるというか、どっちを先にすればいいのか軽いパニックに陥っておちついて用も足せない。それでも朝はまだいい。点滴がつながっていないので身軽だから。昼間は点滴用のスタンドをゴロゴロ押して行かなきゃならない。もう、うんざり。

 とった尿をどうするかっていうと、昔は大きな壷みたいなものにためてたらしいんだけれど、今は尿をためて量などの記録をとるためのウロゼントという機械に入れることになってる。最初は「便利になったものねえ」なんて感心したけれど、後にこの機械にもかなり悩まされるはめに……まあ、それは後々。

 用を足したら体重を量る。廊下においてある電子体重計で毎日はかる。

 それから洗面所で歯磨きと洗顔。わたしの場合はベッドの上で磨いて、くわえ歯ブラシで洗面所に行ってた。お行儀が悪い? パンパンにふくれたお腹に水漏れ防止の紙おむつあてたような状態で気取ってもしょうがないでしょう(って言いながら手術後もこんなんだったけどさ)。

 洗面所にはシャワールームが併設されているので、必要な人は朝予約を入れる。ホワイトボードが下がってて、この時間に入りますって書いておく。別のフロアに湯船のある浴室もあるみたいだったけど、わたしは入ったことがない。

 朝食は八時。朝食までの時間が退屈でしかたない。テレビ見たりして過ごす。食事はベッドの上でできるようにテーブルがついてる。ベッドで食べるのに抵抗がある人は、廊下から椅子を持ってきて、側台についてる収納式のミニテーブルで食べてるみたい。

 食事のあとは部屋の掃除。といっても患者がするんじゃなく、看護士さんたちがまわってくる。看護学校の生徒さんが研修に来てるときは、生徒さんがやってる。この時だけは寝たきりの人以外はカーテンをあけて、窓もあけはなって空気の入れ替え。その間みんな廊下に出て世間話をしてるみたい。

 そのあと、点滴がある人は点滴開始。わたしも朝から点滴。点滴中もキャスター付きのスタンドを押して自由にトイレに行ったり買い物や洗濯に行ける。

 十時過ぎくらいに回診がある。先生たちが回ってくる。わたしが入院してたところは大学の付属病院なので、昔の人は『白い巨塔』の大名行列みたいなやつを想像するみたいだけれど、今時の病院にはそういうのはないです。処置用具をのっけたワゴンがついてくるので大掛かりだけれど、必要な人しかついてこない。

 十二時に昼食。あまり食欲はないけれど、退屈でどうしょもないので食事の時間は待ち遠しい。不味い飯でも生活の句読点。

 三時頃また検温。

 夕食は六時。不味い(怒)腹水で胃が圧迫されているので食欲はないけれど、決して味覚が変わっているわけではないので食べ物が不味いのはかなり凹む。主食はおかゆにしてもらっていたけれど、ほとんど残しておかずの多少ましなところだけ食べた。もっとも、点滴で栄養はおぎなっているのでそのせいで体力が落ちるってこともなさげ。

 わたしは食事のあとくらいに蒸しタオルをもらって体をふいてた。お腹に管が入っていてもシャワーを浴びられないことはなさそうだけれど、お腹が重くて動きが鈍くなっているところで慣れないシャワー室を使いたいと思わなかったので。看護婦さんがお風呂に入れない人用にタオルにつけて使うスプレー状のボディーソープを貸してくれた。意外と汚れが落ちる。

 八時頃また検温。

 夜九時に消灯。

入院生活二日目:また 700cc ほど水を抜いてもらう

 昨日 1000cc も抜いてもらったのに、もうお腹がぱんぱんだった。腹水というのは抜くとかえって溜まりやすくなるのだそうだ。水と一緒にいろいろなものが出てしまうからだ。できれば手術までなるべく抜かずにおきたいらしいんだけれど、たまってくるとほんとうに息苦しくなるのでこの日も抜いてもらった。1000cc くらいという予定だったけれど、たまっているわりに出は悪く、息苦しいのを我慢しながらがんばってみたけど 700cc くらいしか出なかった。それでも抜いてもらうと急に楽になる。

水が漏れる

 これまでにも二度ほど外来で腹水を抜いてもらったけれど、そのたびにチューブは抜いていたし、傷もすぐに塞がっていたので水が漏れるということはなかった。

 でも、さすがに管を刺しっぱなしにしてあると漏れてしまう。いちおう、ガーゼをあてたり、油紙で覆ったり、下腹に紙おむつのようなものをあててもらったりして防御しているけれど、下着やらパジャマやらを汚してしまう。

 そんなこんなもあって、着替えは多めに持っていたほうがいいみたい。ちなみに、わたしが入院してたところでは、テレビカードで使える有料の洗濯機と乾燥機があった。これが残念ながらご家庭用で、洗濯には困らないんだけれど、乾燥に時間がかかって嫌だった。

咳止めが追加された

 あいかわらず咳がひどく、少しでも楽な体勢で寝ているしかない。ああ、退屈だ。でも、疲れがひどくて散歩に出るような余裕もない。歩けないわけではないので便所には自分で行くし、食事のあとに食器を下げるのも自分でする。

 咳が止まらないんだよーと主張しまくっていたら薬が追加された。ムコダインというタンを切る薬。正直まるで効かない。

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  • 2008年02月22日(金)17時49分
  • 蟹退治

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