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緑豆やウラッド豆で作ったパンケーキ

 前の記事ではリョクトウ(緑豆)・ウラッド・アズキ(小豆)・ササゲという四種類の豆を紹介しました。それぞれマメ科の Vigra属に分類されている近い植物だってことを説明しました。

 そんでもって、ウラッドやリョクトウは、豆なのに澱粉質(でんぷんしつ)が豊富で、ペーストにして焼くと小麦粉のように固まるって話をしました。

 というわけで実験です。いや、リョクトウのお焼きは伝統的な韓国料理なので、実験というより調理実習かもしれませんけど。

リョクトウやウラッドで作るパンケーキ(お焼き)、レシピ

【材料】(5枚分くらい)
 リョクトウ、またはウラッド豆……1/4カップ(50ml)
 水……50mlを目安にして好みの濃度になるまで加える
 塩……少々
 ネギ、ニンジンなど、好みの野菜……少々

 道具として、ミキサーを使います。ホームセンターで3000円くらいで売られてるミキサーで十分です。


【作り方】
ファイル 1844-1.jpeg
▲クリックで少し大きな絵が開くと思います

1. リョクトウまたはウラッド豆を、カップではかる。ボウルにたっぷりの水(分量外)とともに入れてふやかす。

 韓国料理の本などを見ると、6時間ひたせばよいと書いてあるのですが、豆の状態や、季節などによっては、6時間ではふやけないので、丸1日ないし、2日ひたすつもりでやったほうがいいです。2日もひたす時は途中で何度か水をかえて、腐敗しないように注意。
ファイル 1844-2.jpeg
▲リョクトウをふやかしているところ。


2. 豆がふやけたら、豆を手で握ってひねり、豆同士がこすれ合うようにすると、皮が剥ける。皮と豆は一緒にボウルの水に放っておく。

 本には両手でこすり合わせるとか書いてあるんですが、両手でやっちゃうと色々大変なので、わたしは片手でにぎってはひねり水に放つってのを繰り返してます。かなり強引にやっていいです。少しくらいなら、豆が潰れてもあまり気にしないこと。皮は全て剥かなくても、8割くらい剥けてれば問題ないです。

 ちなみに、ウラッドはインド食材店でチルカといって挽き割りにしたものも売られています。挽き割りの豆でも同じように水に浸して皮を剥きます。

 挽き割りにしてあったほうが簡単に剥けるので、お焼きにするなら割ってある豆を買ったほうが簡単です。


3. 豆と皮が一緒に入っているボウルの水を、ぐるっとかき回す。軽い皮が浮いて水中で舞うので、舞っている間に水を捨てると皮も一緒に流れていく。水を加え、またかきまわし……と何度か繰り返すと、最後に豆だけ水の中に残る。
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▲あらかた皮を取り除いたところ。この写真で使ってる豆はウラッドです。リョクトウも同じです。色がついてるのは皮だけで、中は白いんですよ。

4. 豆をザルにあけて水をきる。

5. 水をきった豆をミキサーに入れ、分量の水(基本の50ml)を加え、ミキサーのスイッチオン。様子を見ながらなめらかになるまで撹拌する。

 ミキサーは、連続で何十秒以上まわしたら壊れる機械もあるので、止めては回し、止めては回しって何度かやってください。
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▲撹拌中のリョクトウ。朝ご飯代わりに適当に作ってるので後ろに飲みかけのお茶が(笑)片づけてないのではさみも転がっているしー。


 ここまでで生地はできあがりました。
 次は焼きますよ。

6. 生地に塩を少々くわえて混ぜる。50mlの水だとかなりもったりした生地になると思うのですが、ここではそのままで。

 塩は、ほんの少し入れると味が落ち着くので入れますが、入ってなくてもべつにいいです。食べるときに醤油かなんかつければいいんですから(笑)

7. ネギをみじん切りにする。ニンジンは細い千切りにする。

8. フライパンを熱して油をひく。6の生地をおたまでフライパンに落とす。7のネギとニンジンを少量生地にのせる。おたまでちょっとおさえておけば生地にくっつく。

9. 火を弱めて数分焼いてから、野菜も一緒にひっくり返して焼く。

 これで完成です。

ファイル 1844-5.jpeg
▲写真はウラッドで焼いたもの。リョクトウでもまったく同じにできます。

 材料は完全に豆だけです。つなぎになるようなものは一切入れませんでした。それでもしっかりパンケーキのように焼けるのでちょっと驚きです。

 豆50mlに水50mlだと、かなりもったりした生地になり、薄く伸ばすのが難しく、本当にパンケーキのように厚めになると思います。

 もう少し水を加え、薄く焼いても美味しいと思います。ただ、生地が緩くなると焼くのは少し難しくなります。弱火でじっくり火を通すのがコツかな。

韓国料理のピンデトッ

 最初のほうで書きましたが、このやり方で作ったパンケーキのようなものは、韓国の伝統料理だそうです。ピンデトッ あるいは ノクトゥジョン と言うそうです。今回は実験なので省略しましたが、本場ではキムチを混ぜるそうですからやってみてください。

ピンデトッ 빈대떡
ノクトゥジョン 녹두전
ノクトゥチヂム 녹두지짐

 チヂミ(チヂム)やジョンはお焼きのこと。ノクトゥは緑豆です。もとが中国語の単語は日本語と発音が似てます。

 ピンデトッは、トッ 떡 の部分が餅のことです。トックと表記されてることが多いです。ピンデ 빈대 は諸説あるみたいなんですが、もとは中国語で餅子(ピンジャ)と呼ばれてたのが訛ったんじゃないかって話です。

 ピンデ 빈대 という単語はトコジラミ(南京虫)のことで、貧乏人の意味もあるとか。お祭りでピンデトッの上に肉料理を盛り、肉だけ食べて、残ったピンデトッは物乞いにほどこしたからだって話もあるらしいです。

インド料理のパーパド

 インドにはウラッドで作った煎餅のようなものがあります。インド料理店でパーパド(パパド)と言って売ってるのがそうなんですが、必ずしも豆で作られたものばかりではなく、米粉だったり、豆と米粉を混ぜたものだったりするようです。

 インド料理店で出てくるパーパドは、とても薄くて、パリパリしている、本当におせんべいのようなものですが、この記事に書いたやり方だと、パリパリしたものは作れず、せいぜいクレープのようにやわらかいものしかできないと思います。

 パリパリにするには、繋ぎに米粉かなにか入れてこねたあと、薄くのばして、日に干して乾かしてから、焼くか揚げるかするんだと思います。

パーパド पापड

 外国語の料理名は、本だとただ「へー」で終わっちゃうんですが、ネットの場合はですね、コピーして検索エンジンのキーワード入れるところにペーストして、検索ボタンをポチッとおしてごらんなさい。外国の美味しいものがいっぱい見られますよ。




 さて、ここで終わったら実験じゃないんです。リョクトウやウラッドでできるなら、その近縁種のアズキだってパンケーキの生地にできるんじゃないの、っていうのが発想の原点ですから、次の記事ではアズキで焼いてみます。

タグ:食材 民族料理

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