記事一覧

岩塩ではない、温泉を煮つめて作る山塩の話

ファイル 1448-1.jpg
 大鹿村歌舞伎の記事にチラッと書いた鹿塩(かしお)の山の塩はこれです。

 長野県大鹿村には二種類の温泉が湧くそうですが、そのうちのひとつ、鹿塩温泉のお湯は塩分を多く含んでいて塩からいのです。伝説によれば、鹿が泉をなめているので発見された温泉とのことです。

 その温泉の湯を煮つめて作った塩が山の塩です。山塩館という旅館で作っているそうですが、数が少なくて実は手に入れるのに少し苦労しました。


 わたしは7月の中頃にも大鹿村をおとずれています。その時「塩の里」という名前の道の駅みたいな施設(道の駅ではないらしい)で聞いてみたところ、生産量がとても少なく、滅多に入荷しないと言われました。

「山塩館という旅館で作っているから、直接行ったらあるかもしれませんよ」

 店の人におしえてもらって旅館にも行ってみました。ところが、旅館の人が申し訳なさそうにおっしゃるには、

「うちでは宿泊のお客さんの分だけ作っていて、中には "二人で来てるから一個でいいよ" とおっしゃる方もいらっしゃって、余った分をお分けしてるんですよ」

ということで品切れだったんです。

 で、どうしたかっていうと、あちことまわっているうちに、あるお店で「身内にあげるぶんだったけど、内緒だけどお分けします」って売ってくれた人がいて、今この塩が家にあるというわけなんです。どこで買ったかは内緒にしてほしいって言われたので書きませんけどね。

 料理に使っちゃうのはもったいないから、茹でた野菜にちょっとふりかけたりして大事に使っていますが、これが絶妙においしい!

 粗塩とくらべてみると、山の塩のほうが塩からいです。それとうま味の質もずいぶん違います。山の塩は、塩というより醤油のようなうま味を感じます。

 たぶん、普通の塩みたいに料理に使っちゃうとわからなくて「なんだ普通じゃない」となっちゃいそうなので、茹でただけの野菜とか、固ゆでの卵とかにかけて食べると違いがわかると思います。この違いに気付くと山の塩のとりこになりますよ!

 村歌舞伎の朝に塩の里をのぞいたら、稀少なはずの山の塩が塩の里に沢山置いてありました。観光客が沢山くるので旅館の人が多めに作ったんだと思います。

 きっと飛ぶように売れちゃうんだろうなと思っていたら、歌舞伎が終わった時も少し残ってました。なければないでガッカリだけど、売れ残っているとそれはそれで寂しいような気がします。

 売り場にはなんの説明もなく置いてあったので、知らない人には意味がわからなかったんでしょう。手にとって「岩塩でしょ?」って言ってるのも見ましたが、岩塩とも違うんですよねー。

 なんでも、塩水がわくので岩塩の地層があるにちがいないって、掘ってみた人もいたらしいんですが、結局岩塩は見つからなかったそうです。

 海から離れた長野県の山奥に塩の水が豊富にわく理由は謎のままですが、大鹿村は鹿塩の地には、今でも塩からい温泉が豊富に湧いています。

 鹿塩温泉には旅館が三軒しかありませんが、それぞれがお客さんの少ない時間帯などに日帰り温泉をやっているので、一度いれてもらったことがあります(料金は数百円程度です)。

 無色透明で香りのないお湯です。しかし、なめてみると海の水のように塩からいお湯でした。

タグ:長野 食材

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary-tb.cgi/1448

トラックバック一覧