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バナナの花

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 アメ横センタービルの地下で買ったバナナの花。1個500円だった。東南アジア方面で野菜として食用にされている。

 花というなら育てば実になるはず。これのどのあたりがバナナの実になるかっていうと……

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 一枚剥いてみるとこんな風になってる。正確に言うと剥いた花びらみたいなものは、苞(ほう)といって、花はその中にあるきれいに並んだ細長い部分。ここが育ってバナナの実になるらしい。そう言われて見るとバナナの房は実が一列に並んだものが二段に重なってるわけだから、なんとなく状況がわかってくる。

 『東南アジア市場図鑑』という本によれば、食べ方はタケノコと同じで外側の固い苞は剥いて捨ててしまうそうだ。花も固いので食べずに捨てるとのこと。

 ほんとに食べられないかと思い、花をひとつかじってみたら、固さよりも渋みが気になる感じだった。この渋みは、バナナの実の渋みをもっと強くした感じ。甘みはない。花だけでなく、苞にも渋みがある。

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 こんな感じになるまで苞を剥いてから使う。この下にも花はついてるはずなんだけど、食べていいかどうかは本には書いてなさそう。ようするに、固くなくて渋くなかったら食べていいんじゃないのってことで適当にやることにする。

 茎の部分を切り落とす。切ると糸が出るのでそれも捨てると本にはあるけれど、捨てるほど糸なんか出ない……と思っていたら、あらびっくり。最初はほとんど見えていなかった細い繊維が、時間とともに黒くなり、どんどん糸くずみたいになってきた。写真をとらなかったのはちょっと残念。とにかくこれは捨てると。

 あとは、花のついてない上の方を適当にざく切りして、定番の豚肉炒めにしてみた。定番というのはバナナ料理の定番という意味じゃなく「わけのわからない野菜を手に入れたら豚肉と炒めればすべて解決」という珍獣の食卓黄金のパターンという意味。

 きれいなクリーム色をしている苞は、傷ついたところからどんどん酸化して黒くなってしまうようで、炒めているうちに茄子の皮みたいな色になってきた。できあがりがあまりにも茄子炒めだったのでこれまた写真に撮りそびれた。

 加熱すると渋みは消えてしまい、まったく気にならない。見た目は茄子の皮だけど、食感はシャキシャキして美味しい。特別に変わった味はしない。日本では珍しいけれど、産地ではごくありきたりな野菜なのかもしれない。なお、アクが気になる場合は刻んでから酢水で茹でて、絞って使えばよいと前述の本にあった。

 花のついてる根もとに近い部分もざくざく切り刻んでパジョン(チジミ)にしてみた。

バナナの花入りのチヂミ

 小麦粉と卵と水で作った生地に、具をまぜて焼くだけ。つけだれはしょう油・酢・ごま油・チリペーストを混ぜただけ。花の固さはどうかと思ったけれど、まるで気にならなかった。下処理はまったくしなかったけれど、渋みもなく美味しく食べられた。

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