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郡山でプラネタリウムを見た話

 わたしは今年、葛飾区内の郷土と天文の博物館っていうところの年間パスポートを購入して、夏のすごく暑い間、避暑地として何度も利用しました。そこは歴史博物館とプラネタリウムが併設された施設なのです。何度も通っているうちに、プラネタリウムに興味がわいてきて、行く先々で見てみようかなって気分になってきた。

 そういえば郡山(福島県)の駅前にやけに高いビルがあって、てっぺんにプラネタリウムがあったはず。青春18きっぷで東北へ行くとたいてい郡山で乗り換えがあるので、そのビル自体は時間つぶしに何度か入ったことがあります。いっつも到着が17時ごろになっちゃってプラネタリウムは見られなかったから、今度こそ見られる時間に行ってみようってことで予定を組みました。

 というわけで、13:13いわき駅発の磐越東線に乗って、やってきました郡山。
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 このにょきっと高いのが問題のビル。24階建てなんだって。今回はツイートしながら回っていたので、ビッグアイという名前のビルなんだってフォロワーさんから教えてもらいました。

 ビッグアイは下の方がショッピングモールになってて、途中にお役所とか入ってて、ずーっと上のほう、20階〜24階が「郡山市ふれあい科学館 スペースパーク」っていう、博物館とプラネタリウムと研修施設みたいなのが併設されてる。ビルの上のほうにガスタンクみたいな球体が見えてると思うんだけど、その球体の上半分がプラネタリウムで、下が展示やなんかに使われてるみたい。

 で、ショッピングモールからエレベーターに乗ると、途中はすっとばして、いきなり22階に着くのよ。球体の外側で、球体の真ん中くらいにあたるフロアなのね。そこは展望室になってて無料で誰でもあがってこられるようになってる。

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 22階から見下ろすとこんな感じよ。東京だと22階建てなんて珍しくないよって感じかもしれないけど、まわりに高い建物がぜーんぜんないからすんごく高く見えるし、膝くらいの高さまでガラスだから視界が開けててすんごいの。高所恐怖症だったらチビっちゃうかも?!っていうくらい。

 22階には鉄道関係のジオラマもあってその道の人たちには評価が高いらしいです(それもフォロワーさんに教えてもらいましたw)。22階だけなら無料だし、午後8時くらいまで解放されてるので、郡山で乗り換えの時は降りてみるといいかもね。


 さてプラネタリウム。22階に券売機とかがあるはず。あるはずなんだけど、いわゆる博物館みたいな感じではないので、いきなりここにくると券売機が目に入らない。有料エリアに入るのは初めてなので、係りの人っぽいおねえさんに「初めてなんですけど、プラネタリウムの次回の上映を見るにはどうしたらいいですか?」って聞いたら、券売機はこっちですよって使い方を教えてくれました。大人400円也。プラネタリウムの入り口はその階段かこっちのエレベーターで23階にあがってくださいって説明がありました。

 上映にはまだ時間があるのでウロウロしてみる。22階はフロアの真ん中に球体があって、そのまわりに鉄道のジオラマや展望スペースがあったりするのね。で、球体に「ここへ入りなさい!」って言わんばかりの入り口があるの。フラッと入ろうとしたら、

「あ、そちらは下の展示スペースになりますからー」

ってお姉さんに止められてしまう。

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▲あ、絵がおかしい。22階は球体の真ん中よりちょい下くらいなので、球体がもっと大きくて床に埋まった感じです。入り口はこんな感じで、もぎりの人が立ってたりしないから、前を通るとつい入ってしまいそうになる。

 アホ顔で「へ?」って聞いたら、ここはプラネタリウムとその他の展示が別料金で「下の展示」っていうのを見るためには、さらにお金払わなきゃいけないらしいの。

 上映まで少し時間があるから値段によっては見てもいいと思いあたりをきょろきょろ。こっちもちゃんと聞かないのがいけないんだけど、お姉さんは別途きっぷを買いなさいっていう説明はせず、もごもごって何か言いたげ。

 ひょっとすると、地元の人たちはここに何があるかみんな知ってて、「展示を見る」「プラネタリウムを見る」って、意思表示がはっきりしてるのかなあって思います。

 だからわたしみたいに「プラネタリウムを見たい(見られるんならほかのものも見たい)」みたいな目的が半端な人が現れると、プラネタリウムの説明を的確にピシッとしてくれるけど、下の展示のことは曖昧な感じになっちゃうのかも?

 そういえば前回ここへ来た時も、球体へのゲートが無言で誘ってくるので入ろうとしたのを思い出しました。その時もお姉さんがすっとんできました。17時ちょっと前だったので、もう閉館なんですよって言われて、下の展示が有料なのも聞いた気がするんだけど、まさに「下の展示」しか眼中にないのでプラネタリウムのことは聞かなかった。

 おねえさんたち、このビルすごく目立つの。よそから来て郡山で途中下車すると、目の前にビッグアイがあって、上のほうになんかあるみたいってなると、上がってくる人けっこういるはずよ。その人たちは何が見られるかぜんぜんわかってないから……あとはよろしく(笑)

 「いつも戸惑う」ってツイートしたら、下も400円だよってまたもやフォロワーさんが教えてくれました。おお、フォロワーさん頼みの人生よ。下の展示も気になるので、次回はもうちょっと時間をとって見にこよっと。



 あ、つまんない話ばっかり長々と。そうそう、プラネタリウムを見に来たんでした。

 そうこうしてるうちに上映15分前になったので階段で23階へ。平日なので来館者は少なくてガラガラ。この回の上映はハワイの空から始まって、夏の星座の説明があって、それから全天周影像で創世の時代へ行ったりして、福島県の海辺(いわき市あたり)の星空を見て…というような構成で、それを素敵な音楽とともに楽しんじゃおうという趣向でした。葛飾区でいうとミュージックプラネットとかにあたるのでしょうか。

 ハワイから福島県への移動時には、光学映写機からドーム内全体に、壁にも床にも観客席にも星を投影して、まるで宇宙をただよってるかのような幻想的なシーンもありました*1

 最近のプラネタリウムはドームの真ん中に光学式の映写機があって、周囲の壁にデジタル影像を写すためのプロジェクターが複数設置されてるハイブリットなのが主流みたい。葛飾区のもそうだし、足立区のもそうだった。郡山のもそう。光学式映写機は美しい星を投影するのに適していて、プロジェクターは映画みたいにダイナミックなものを映し出すのに適してる、らしいです。

 おおまかな形式は同じでも、設置されてる映写機はそれぞれ別のメーカー、別の機種だったりするせいか(あるいは他の要素があるのかわからないけれど)、各地をめぐって比べると画質の違いがあるものです。郡山のは星がすばらしくクッキリ見えるのですごい。いや、肉眼で見た状態を再現するんだと考えたら、そんなにクッキリ見える必要ないとも言えるんだけど、たとえばアラスカあたりで見たらこんなかしらっていうくらい、郡山のプラネタリウムはクッキリでキラッとした感じの星が見えます。

◎五藤光学研究所:スーパーヘリオス
http://www.goto.co.jp/planetarium/h_pla_s-helios.html
 機械に書いてあった機種名を覚えておいて検索したらこのページをみつけました。郡山のはスーパーヘリオスという光学プラネタリウムと、バーチャリウム2という全天周用のプロジェクターを使ってるそうです。


 設置されてる映写機のメーカーがそれぞれ違うのに、番組内容は各地で一致してるのも不思議。そりゃ季節ごとに見える星は同じだから、ゼロから作ったっておおまかなところで同じ説明になると思います。が、「ナントカの星は駅前でも見えます」とかの小ネタまで同じだったら、共通の叩き台がなきゃおかしい。去年は足立区のも見に行ったけど、葛飾区の番組と絶妙に同じこと言ってましたからね。

 あくまで想像ですけど、プラネタリウムの番組に使う素材やシナリオを作ってるメーカーってのが、映写機のメーカーとは別にあるんじゃないですかね。そういう素材を組み合わせて、各地で独自のプラネタリウム番組を制作してるっぽい気がします。シナリオもあくまで叩き台なので、全然別のことを言う解説員さんもいるし、わりと基本通りのことを言う人もいるってことなのかなあって。

 たとえば、郡山では夏の大三角形の説明で、「はくちょう座を北十字と呼ぶ場合もある」と説明した上で「織姫星(ベガ)と彦星(アルタイル)が教会の前で結婚式をあげてるみたいですね」と言ってました。これを葛飾区では「はくちょう座をこんなふうに結ぶと あいあい傘ができます。その下に織姫星と彦星が…」と説明してるんですが、テイストの違いこそあれ発想としては同じですよね。中国の「かささぎの橋」伝説から別々に連想したにしては近いかなって思うわけ。

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▲夏の大三角形:はくちょう座のデネブ、こと座のベガ、わし座のアルタイルを結ぶ。

 あ、もちろん叩き台が同じだからダメってこともないんです。各地をまわるとそういうのが見えてきて、だからこそ館ごとの、解説員さんごとの個性も見えて面白い、という話。葛飾区なんか独自のデータを沢山持っててオリジナル色が強いって自慢してますからね。住んでる町の市町村区とくらべても面白いですから、みなさんご近所一周プラネタリウムめぐりの旅とか、ぜひしちゃってください。

 ということで、郡山のプラネタリウムもなかなか良かったです。10月には全天周映画で「銀河鉄道999 赤い星ベテルギウス いのちの輝き」をやるそうです。えー、ちょっと見たいかもー。10月といえば鉄道の日関係の乗り放題きっぷがあるしー。*2

◎郡山ふれあい科学館スペースパーク・公式サイト
http://www.space-park.jp/index.html
 ここのプラネタリウムは地上23階にあって世界で一番高いところにあるプラネタリウムとしてギネスブックに載ってるそうです。

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 帰りしなにちょいと見ればこんなペナントが。ネコのキャラはミーくんなのかと思ったら、ミーニャンというオリジナルキャラで、メーテルみたいな女の人はエンゼルナさんというそうです。もちろんキャラデザインは松本零士大先生で、スペースパークの名誉館長でもあるそうです。

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◎#青春18きっぷ :金町〜十王〜いわき〜郡山〜金町 まとめ
http://www.chinjuh.mydns.jp/cgi-bin/blog_wdp/diary.cgi?no=1796

*1:自分の体にも星が映っちゃうので、宇宙をただよっているというよりはミラーボールに照らされてるみたいになるのが少しだけ残念ではあるんですが、やりたいことはわかるし、ちょっと面白い。
*2:実は同じ全天周映画を今年の春にスカイツリータウンのプラネタリウム「天空」でもやってたそうです。ぜんぜん気づいてませんでした。

タグ:東北

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  • 2014年09月08日(月)10時11分
  • 日記

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